ヨーロッパ旅行記#7

『松本太郎、死す』とは言いましたが、生きております。

何を死と表現したかったのか。それは僕の咳です。
事の発端は異常な体のだるさ。それ自体は一晩寝るとそれなりに取れました。ですがその翌日あたりから止まる事のない席が猛威を振います。
恐らくこれらはコロナウイルスの症状だったように思います。確たる証拠はないですが、自分の行動を顧みたときにかかってないと断言するのはほぼ不可能でした。かかってしまったものは仕方ない精神です。

ネットで調べても確実な情報は僅かしかなく、この長引く咳が果たして肺炎なのか、どれほど長引くのか若干不安になっていました。
とはいえ映画祭もヴェネツィア観光もまだろくに楽しめていません。気怠さ自体は取れたので、咳と共にヴェネツィア観光をしました。
その日の夜くらいからでしょうか。咳があまりにも辛く、ベッドに横になると気道が塞がってしまって異常なほどの咳と共に起きてしまうという大変な事態になりました。
なんとか寝付けても、悪夢にうなされ(うなされていたらしいです)、1〜2時間で目が醒めるという地獄。
睡眠も取れないですからあまり元気も出ません。
この時点でヴェネツィアは7日中4日目。
この状態が次に行くバルセロナの2日目まで続きます。

それでも楽しむものは楽しむ。本来は体を労るべきですが、楽しむものは楽しもうという事でビエンナーレ・アートに行って参りました。
ビエンナーレというのはヴェネツィアで1895年から開催されている、2年に一度の国際美術展覧会です。ヴェネツィア国際映画祭もビエンナーレ・シネマであり、ビエンナーレの一部のようです。国際映画祭は毎年開催されています。

ビエンナーレ・アート、今回の旅行の一つのテーマとして芸術に多く触れることを密かに掲げていたため、是非とも行きたい!

なんとなく本調子ではない身体を引きずってビエンナーレ会場へ。ジャルディーニという会場なのですが、全く何も調べていなかった僕はチケット売り場で、アルセナーレという別の会場もあることを知ります。ジャルディーニに着いたのが午後15時でしたので、多分間に合わないだろうと悟りました。
ネットで調べたところによると、やはり全てを回るのは相当難しく、行きたい展示をピックアップして回るのだと。

そうですよね!やっぱり!(行きたい展示も調べていない)
母国の日本館と金獅子賞に輝いた英国館、とりあえずジャルディーニにあるパビリオンは全部回るぞ!と意気込み、回ってきました!

そもそも、いろんな国が自国のパビリオンを利用した展示をしているビエンナーレ、アートの文脈であったり、どういうディレクターさんが今どうアツいみたいな、そういうのは一切分からないのでマジで見て聴いて感じて嗅いで楽しむ感じでした。

ブラジル館と韓国館は人体をモチーフにしていました。ブラジル館は人の耳から入るようなパビリオンの構造になっていて面白かったです。治療が必要な人体の様々な箇所がアートとして展示されていて、それは国の腐敗を表しているのだそう。

韓国館には、二重螺旋構造や脳の構造を機械で代替したようなフューチャリスティックな展示が。トランスヒューマニズムを表しているであろうその展示には未来的なかっこよさのみならず、うっすらとした不気味さすら漂っているように思えてこういった技術の行く末から目が離せない、目を離すべきではないと改めて感じる展示でした。

わかりにくいですが。

その他に個人的に興味深かったのは、フランス館の展示です。

元植民地であったアルジェリアの解放やそれらに纏わる国内での文化的運動、映画制作の現場などを主とした展示で、上映室ではアルジェリアからの移民である女性に焦点を当てた短編映画風の映像が上映されていました。
僕は未見なのですが、『ル・バル』から着想を得たバーカウンターや積み重ねられたフィルムなど、フランスの負の歴史と映画文化を重ね合わせた展示が非常に印象的でした。

その翌日はムラーノ島とブラーノ島へ。前者はガラスで有名、後者はレースで有名な島で、どちらもカラフルな建築が目を引く可愛らしい町並みの島です。お土産もゲットして満足です。

ムラーノ島のガラス職人のおじさん
ブラーノ島の可愛い家たち


その後サンマルコ広場に行ったりアカデミア美術館に行ったりしてなんやかんや最終日。その日はアナ・デ・アルマスの『Blonde』の上映があるので多分レッドカーペットでその姿が見れるだろうと思っていました。レッドカーペットの前列は早い者勝ち。早めに行こうと思っていたのですが…ダラダラしてたら夕方4時になってしまいました。大体夜7時とかそれくらいに始まるので、今行ってもいい席は取れません。ミスったなぁと思いながら向かうと案の定高身長の方々が前に陣取っています。「高身長なんだから後ろ行けよ馬鹿か」と心の中で無意味な悪態をつきながら、なんとか隙間にねじ込みますがやはりよくは見えません。

しんどいなーと思っていたその時!!!

ブラピが!!!予想だにしていなかったブラッド・ピットが!!!この距離なのにこの色気はなんなんだ!!

アナ・デ・アルマス嬢も僅かに遅れて登場しましたが、前列まで近づいたりはせず、そこそこ遠い距離でしたのでこれくらいしか写真がありません。お許しください。

この2人との自分史上最接近。これが出来ただけでもかなりの価値があります。依然体調は悪かったのですが、僅かな時間吹き飛んだような気がしました。
冷静に考えて体調が悪い人がこの人混みに行くべきではなかったなと反省しています。

体調が悪いままヴェネツィアは終了!続いてバルセロナに向かいます。

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