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「アナザーラウンド」を観る

やっと観てきました。

今年4月に行われたアカデミー賞にて一番印象的なスピーチをしたトマス・ヴィンターヘア監督の一本。
撮影中に監督の娘さんが亡くなってしまうというなんとも耐え難い悲劇に見舞われながらも、この作品に懸けたずっしりと重いものが伝わってきます。

"おじさん"が直面する人生に対する不安と孤独

これが大きなテーマです。

妻もいて、息子も2人大きくなって、教師という仕事もあるが、
妻とは気持ちがすれ違い、息子たちからも軽く馬鹿にされてしまいがち。
そんなおじさんが人生に対して漠然と不安と孤独を抱える中、友人3人と実験をする。

血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事もプライベートもうまくいく。

この実験が吉と出るか、凶と出るか。

最初は乗り気でない主人公が、段々と実験に積極的になっていくと同時に友人3人もお酒にのめり込んでしまう。
一度ハマったお酒沼はなかなか抜け出せないのが現実だが、果たして彼らはどんな答えを出すのか・・・!

家族、友人、恋人、、歳を重ねてからの人間関係や生きがいは若い時よりもずっと深く重い。
その価値を大事にできるかどうか、大事にしようと思うか、お酒を媒介にして、人生で欠かせないものを再定義する内容に感じた。

実験結果は観てからのお楽しみだが、観た人によっても捉え方は変わるだろう。

絶妙にどんよりしたおじさん感情を、北欧の至宝 マッツ・ミケルセンが控えめに、でも瞳の奥に危うさを見せながら圧巻の演技をしている。

ぜひ映画館で。