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第17回「演出編⑥ いったんの総まとめ」~創作ノート~TARRYTOWNが上演されるまで

こんにちは!ミュージカル「TARRYTOWN」の翻訳・演出の中原和樹です。

今回の創作ノートは、いったんのまとめとして演出編の今までの記事の振り返りを行いたいと思います。

■第12回

この記事には第1回~第11回の創作ノートのまとめと、演出編のスタートとしての記事を書きました。演出という業務に関しての僕の考え方です。
その上で、特に重要に思っている「戯曲を実在する一つの社会として読む」という作業の紹介をしています。

この軸はミュージカルのみならず、ストレートプレイの演出の際にも大変重要だと思っています。舞台上にいかに「社会」を顕現させるか、そしてその社会を説得力のあるもの・そして面白いものに出来るか。それが、舞台芸術を創る面白さの大きな要素であるように思います。

■第13回

演出プランの考え方の入口として僕がどう考えているか、そして実際TARRYTOWNではどう考えたかに触れています。
また、演出プランを考える上でも必要となってくる条件面について、「劇場空間をどう作品空間としていくか」という観点で書いています。

劇場空間という場所は特殊な場所です。もちろん、劇場空間以外での舞台芸術の上演もたくさん存在しますが、それも含めて「空間」という
要素はすごく大きな力を持っています。
戯曲は「物語」であると思いますが、文字情報で存在する物語をどう空間に生み出すかということが「舞台芸術の上演」と考えると、生み出される社会の受け皿・ベースとなる「上演空間」というものの属性・特徴は作品そのものの質にかなり関わっていきます。

■第14回~16回

登場人物編と題して、演出をする際に考える「登場人物の人物造形」に関しての分析・探求の作業を、3つの違った観点で書きました。

①その人物に関する情報・事実を戯曲からピックアップ →第14回記事
②その人物の行動の特徴を分析する →第15回記事
③その人物の持つ楽曲の分析 →第16回記事

です。

全てに共通の事柄として「すぐに人物像を決めつけない / 解釈を決めつけない」ということがあります。
創作に向けて人物像を具体的にしていくのですが、かっちりと決め切ってしまうと、創作過程の柔軟性が無くなり、アイディアが生まれづらくなるからです。
ただし、単にふわふわさせておくのではなく、創作中に困った際・迷った際に戻ってこれるような軸・核のようなものは持っておきます。
その探し方のヒントのような記事となっています。


演出家という職業柄もありますが、演出について書きたいことはどんどん湧いてくるのですが、「TARRYTOWN」のご紹介や創作の裏側を知ってもらいたいという想いからこの創作ノートはスタートしていますので、いったん次回は趣向を変えて、昨年2023年11月に上演した「TARRYTOWN」の裏話をちょっとずつ挟みつつ、本番写真などをご紹介していこうかなと思います。お楽しみに!

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

中原和樹

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