ありがとうさようなら二次創作の祭典

先日、100年ぶりに二次創作の祭に有明へ行ってきた。
もう出る事はないだろうと思っていたが、会社員を辞めた直後、時間がありあまりすぎて怖かったので
描きかけのネームがあったのでそのまま描いて本にした。
久しぶりに参加したビッグサイトはコロナ禍の頃からは想像できないほど盛況で人が多く、
暑さにやられ、早めに引き上げてしまったが、
それでも漫画が好きな人がたくさんいる場所に行けて楽しかった。

私は長い事二次創作、人気のあるゲーム、漫画の世界観とキャラクターを借りて創作の真似事をしていたが
ずっと「申し訳なさ」を感じていた。
人様の作り上げたものをオモチャにして金をとっているな~…という罪悪感。
今時この考え方は古い、二次創作は原作者側にもメリットがある、と再三言われているけど、それもわかるけど、オモチャにしている事実は変わらないと思う。その自覚は常に持っていないと思って活動していた。故に楽しさと申し訳なさはセットだった。

二次創作自体の文化は「すごく良いな」と「最悪だな」が常に同居している独特な世界で
SNSが発展してからそのカオスたるや…文化と芸術と愛と政治と憎悪が渦巻く小さな世界で一言で良いとも悪いとも言えない。

良いなと思う部分

・「創作の入り口」になってくれる事。
一番難しいキャラクターと世界を作る事をせず、魅力的なキャラ達をお借りできる事で創作の敷居はグッと下がる。
実際プロ作家も同人経験がある方が多く、いろんな人の入り口になってくれている。

・沢山の人が同じ締め切りに向かって一斉に描く
賞に投稿をするまで気付かなかったけれどこれって特殊な気がする。
漫画家志望者は基本的に孤独に一本書き上げてそれぞれ自分の目指した賞に応募する。
もくりがあった頃、同じジャンルの人達で集まって通話して、クリスタの機能を教えあったのはとても有難い経験だった。

・いっぱい描く
あげようと思えば毎日SNSにあげられるし、その結果フォロワーが増えるなどの反応もあり「描くモチベーション」が常にあった。
上手な作家さんたちがたくさんいて、その中で活動していくのはとても刺激的だった。
一次創作でも毎日描いたらいいのではあるが、確実に一定数の人が見てくれるの大きなモチベーションになった。

悪いなと思う部分

・キャラクター達を過度に崩壊させる性描写
特にいう事はない。表現の自由ですっていうなら自分のキャラクターでやりなよと思うし、
それではダメだ、このキャラ達でやりたいんだと言うなら「じゃあオモチャを乱暴に扱ってるんだな」と思うことしかできない。

二次創作者は全てキャラ達をオモチャにしてる側面はある。もちろん私も含めて。
でもその自覚をもって、読む人達へ配慮をするかしないかの違いはあるんじゃないかなと思う…

・人間関係

ダリ~~~~~
これは年齢とかもあるかも。年をとって全てが面倒になってしまった。
趣味でしか出会えない人と沢山の出会いをくれる場でもあるんだけど、ヤバすぎる人間関係もそこにはある。政治だった。

会社を辞めて数カ月、私は家族と担当さんとしか基本的に会わず、たまに遊んだり作業通話する相手もフリーランスの友人の為、かなり「ちゃんとしてる社会人力」が落ちた。ちゃんとしてなくても良いんだもの。
それでもある程度節度ある規則正しい生活を心がけているのでフリーランスにしてはちゃんとしているつもりでいたんだけど…そんなこともなかったことを知った。

同人女は、やることが多い。本を出した後もやる事がたくさんたくさんあった。

ポスター作って、おしながき作って、搬入、搬出の準備をして、差し入れを用意して、その差しいれに自分の名前の入ったイラストシールを貼って、遠征の人はホテルをとって、交通も手配して、前日、当日から人と遊ぶ人はお店の予約をして…

やる事、おおすぎ!?半分も出来なかった。
差し入れの概念を忘れてて、当日お菓子頂いて驚き、しどろもどろになりながら施しを受け続けるしかなく情けなかったよあたしゃ…

メロスは激怒した。もう自分に同人活動は無理だと。
おつりケースや暑さ対策の扇風機とかなんにも考えてなかったよ。
だってスーパーと図書館と出版社しか行かないんだもん。いらないよ何も…
たまに遊びにいくのも、一人で映画館とか美術館とか観劇とか行って、さっさと帰ってくる。もう一日遊ぶ体力もなくなっていた。
アフターに声をかけてもらったのでヘラヘラとついていったけど、皆親切で優しかったけど、もう同人界隈の政治にも原作のコラボ情報にも興味を持てないので、良いお店を選んでもらったのに、値段高いな~~一人で鳥貴族行った方が楽しめるかも…とか最悪な事を考えていた。

たまにだし、楽しんじゃお!と思って行ったんだけど、もう私はこっちの住人じゃないんだ…と、わからない漫画の話で盛り上げる人達に会話を聞き流していた。
悪いのは全て私です…お声をかけて頂き本当に嬉しかったです…ありがとうございました…

会社員だった頃の自分にとって、ビッグサイトは漫画を描く人に会える場所だったけど
フリーランスになってから、そこはちゃんとした人たちにおののく場所になってしまった…
最後に良い思い出になったよ。参加して良かった。
今まで育ててくれてありがとう、ビックサイトと赤ブー。

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