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村上春樹『短篇小説のつくり方』(MONKEY Vol.9掲載)

イケてる文芸誌『MONKEY』最新号が短編小説特集で、そこに載っている村上春樹のインタビューが面白い。

冒頭でレイモンド・カーヴァーとグレイス・ペイリーという、いずれも唯一無二の短篇作家について触れている。ふたりとも主流派的な(アメリカの大学の創作科的な)書き方はしていない。二人とも学歴がほとんどなく、”自分で身銭を切って”文体を作っている。

僕も小説家を発掘するような仕事をしているのでわかるが、全然小説を読んだことがない人が生み出した規格外のものにポテンシャルを感じる。村上春樹の指摘するような文体の意味においても、設定やプロットについても、常識と外れたものの方が強かったりする。

他にも面白い話が盛り沢山なので、一部だけ引用する。

(ペイリーは)いろんな人たちと話を交換して、面白い話があれば物語を書いた。カーヴァーも友達と面白い話を交換して、その話、オレがもらった、というようなことをやっていました
ヘミングウェイのニック・アダムズものを読んだ人と読まない人とでは短篇小説に対する考え方が違ってくると思うんです
僕自身について言えば、フィッツジェラルドの「リッチ・ボーイ」を読んだのと読まなかったのでは、僕の中での短編小説の在り方が違ったなと思う。
短篇は一つだけでも、ここいいじゃんという部分があれば、それでいいと思っているんです

短篇小説について言えば、自分のシステムを作らないと絶対だめです。

他にもペイリーの短篇の村上春樹訳が載っていたりとか、短編小説好きにはおすすめです。

コチラ

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