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2016年に読んでよかった本8冊

2016年は年間でだいたい50冊くらい本を読んだようです。
(写真はツタヤ発祥の地、枚方の蔦屋書店)

自分のために記録している読書ノートから、個人的に特によかった本をご紹介します。2016年に出版された本というわけではなく、あくまで芹川が2016年に読んだ本ということなので、今更感があったとしても怒らないでください。


(ビジネス編)

『ピクト図解』:板橋悟(ダイヤモンド社)

2010年刊なので特に新しい本でもないが、梅木雄平が進めていて面白そうだったので読んでみたら、非常にためになった。なんてことのない、よく見かけるようなビジネスモデルを図解する方法のHOWTO本だが、シンプルで非常に優れた方法論で、めちゃくちゃ参考になった。

ビジネスモデルの図解は日頃から仕事でもしょっちゅう行っていたが、これまで自己流でやっていた。
そのために表記ルールが厳密に統一されておらず、わかりにくかったり時間がかかることが多かった。
この本のルールを採用したことで、毎回表記ルールを考えたりする必要はなくなったし、考える際のフレームワークとしても有効で非常に生産性が上がった。


『ビジネス・フォー・パンクス』:ジェームズ・ワット(日経BP社)

自己啓発本というレベルでやる気の出る本だが、ビジネスを始める上でやるべきこと・やってはならないことを教えてくれるという点で一応ビジネス書に分類した。
信念を貫き正しいと思うことを徹底的にやりきるのが本当の仕事なのだ、ということを教えてくれる名著。
上司とか他人の顔色をつい伺ってしまうとき、これを読んであらためて”空気を読めない人間”になろうと決意する。(やはり自己啓発本なのかもしれない)


『生産性』:伊賀泰代(ダイヤモンド社)

ちきりんの『自分の時間を取り戻そう』とどっちを入れるか悩むが、個人の生産性だけでなく組織単位の生産性も扱っているこちらを選んだ。
「成長するとは、生産性が上がること」
ということをキーメッセージに、生産性を下げている慣習を鋭く指摘している点が素晴らしい。
たとえば、「優秀な社員に後輩を育成させるのはもったいない」みたいな話は甚く共感した。

「ビジネスインベーションが起こるには、その源として常に「問題認識」と「画期的な解決法への強い希求心」のふたつが必要」というような指摘も同意。


(自己啓発編)

『たった一人の熱狂』:見城徹(幻冬舎)

幻冬舎社長の見城さんの本。7gogo上でのやりとりをベースに作られた書籍だが、見城さんの言葉やエピソードのひとつひとつが非常に鋭く重く突き刺さって、ビジネスパーソンとして非常にためになった。
一流の仕事とはこういうものなのだ、というのを改めて思い知らされた。

詳細は過去にnoteに書いたのでこちらを読んでください。


『悩みどころと逃げどころ』:ちきりん・梅原大吾(小学館新書)

お馴染みちきりんと、プロゲーマー梅原さんの対談本。

すぐ読める短い本だが、「いい人生とはなにか」とは考えるきっかけになる本は少なく、一読をオススメする。日常における思考停止ポイントを的確に指摘してくれて、自分を振り返る上でも役に立つ。


(経済・社会編)

『ライフ・シフト』:リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット(東洋経済新報社)

2016年に出版された本の中で、すべての一番読むべき本はこれだと思う。

・寿命が100年になる時代がくる
・そのためにはこれまでと同じ人生設計ではやっていけない
というのがキーメッセージだが、たしかにそうだがイマイチ実感のわかない問題をファクトと世代別のペルソナによるシナリオの組み合わせで説得力をもって説得する。

欠点は、多くの人に読まれるには長すぎるし難しすぎること。うちの母親でもわかるような簡易版(もしくはマンガ)を作りたい。


『服従』:ミシェル・ウェルベック(河出書房新社)

フィクションだが、社会性が強いのでこのカテゴリに入れる。

イスラム社会に対する西欧社会の不安をアイロニカルに描いている。2016年はブレクジット、トランプ大統領当選と欧米が反動にふれた年であり、2017年もフランス大統領選では極右・国民戦線のル・ペンが有力視されるなど、このトレンドが続く。

米英の選挙結果に嘆くネット上のインテリ・リベラル層を見て僕が痛切に感じたのは、インテリの脆さであり、その想像力の貧弱さだった。その"インテリの脆さ”こそがこの小説の本質であり、ウェルベックの鋭さなのではないかと。


(教養編)

『「全世界史」講義Ⅰ』:出口治明(新潮社)

教養人・出口さんの歴史本。山川の高校の教科書より詳しいのではというレベルの歴史本。

この本が教科書より優れているのは、歴史を欧米中心だけでなく中国、イスラム圏を含めてフラットに扱っている点。これを読んでいると、産業革命以前においてヨーロッパというのは基本的に遅れた貧しい地域だったということに気づく。そのフラットさゆえに第2巻は非常に情報量が多く、ちょっと読むのがツライ。

お読み頂いただけでも十分嬉しいですが、サポートして頂けたらさらに読者の皆様に返せるように頑張ります。