見出し画像

日医放とっておきシンポジウム「気持ちが伝わるプレゼンテーション」

本日、日医放学会から、Webで開催すると連絡がありました。とっておきのシンポジウムがつぶれてしまうかなと思い迷っていましたが、すくなくともWebでできるので、本日公開します!Webも慣れていますので、張り切って行きますね!

[企画をしてくださった順天堂大学 隈丸加奈子先生、また青木茂樹会長に厚く御礼申し上げます]

第79回日本医学放射線学会総会
The power of imaging
シンポジウム企画
「気持ちが伝わるプレゼンテーション」

スライド:日本語
発表言語:日本語

企画意図
プレゼンテーションの形態には、4分程度のポスター発表、7分程度の一般口演、20分程度のシンポジウム、30〜60分程度の招待講演など様々なものがありますが、共通して言える最も大切なことは「伝わる」ということです。青木会長の企図される「The Power of Imaging」も、相手に伝えてこそ、生きることになります。このシンポジウムでは、各分野のエキスパートのみなさんに、「どうやって『伝わる』プレゼンをするのか」という点についてお示しをいただければと思います。

シンポジウム時間 90分
発表時間 18分(17分✕ 4名)
別に2分の質問時間を含む
上記以外に、10分の予備時間(演者紹介、エクストラ質疑のための時間)を含む

座長
高原太郎(東海大学工学部 医用生体工学科)
森 墾(東京大学大学院医学系研究科 生物物理医学専攻放射線医学講座)

演者
1)高原太郎(東海大学工学部 医用生体工学科)

伝わるプレゼンテーション
How to reach your audience more effectively.

プレゼンの目的は、発表内容を相手に伝えることです。これはあたりまえのことに思えますが、実に奥が深いものです。この発表では、後の3名のエキスパートの話につながる「プレゼンの基本」についてお話しします。具体的には以下のような項目について触れる予定です。

(1) 目的意識を持つ:「伝わる」ことが最大の目的 / 伝達量最大の法則 / 話す速度は1分間350字が原則 /「憎しみの曲線」(松田哲也)/ 聴衆はどんな人か
(2) プレゼンの基本原則: 一枚のスライドを説明する時間は30秒/ ポインタの指し方(矢印の使い方)/ アニメーション不使用の原則
(3) 圧縮する技術・飽きさせない技術:話す速度と読む速度の違いを意識する / too long, too short / 飛び石法 / ゆらぎ / どうやって情報を削ぐのか(リスト・表の表し方)/ 比喩とアイコン / まとめスライド

2) 松木充(近畿大学医学部医学研究科)

自己満OK、楽しんでプレゼンしよう!
Self-satisfaction is ok. Let’s enjoy the presentation!

1) 発表材料探し:自己満するためには、やはり上司から指示された材料より自分で見つけた方がいいよね。材料は、難しい疾患や疾患概念、世界で数例といったrare caseでなくても、自分が遭遇したcommon caseや、ふと気づいた所見でOK!プレゼンは、自分が深く検索し、知識を増やすきっかけにすれば良い。
2) スライド造り:フォント、文字サイズ、行間などあまりこだわりがなくて、昔から変わらないのは背景が白か黒。白だったら文字が映えるし、黒だったら画像が映えるし・・・。スライドは自分の日記あるいはノートのようなもの。やはり発表した後も、振り返って調べる時、分かり易いように。また、後になって新しい知識が増えればスライドに書き足すことも楽しい。またイラストを活用することがおススメ。文字で書かれた文章だけだと、なかなか自分自身理解しづらいこともあり、イラストだと理解しやすく、覚えやすい。そして、なんといってもスライドの最後にオチ(メッセージ?) をつけることも重要。最終的に今回の材料を通じて、自分がどういうことを知ったのか、そして今後どのように対応すればよいのかを簡潔にまとめれば、あとから自分がそれだけみれば、発表の内容を思い出す。
3)プレゼンの仕方:これも本当に自己満。だって自分が理解しやすいノートを作ったものを相手に教えるのだから自由にプレゼンすれば良い。そこで、せっかく自分が見つけた材料だから、まず聴衆と共有できるよう臨場感をもって、パソコンばかりを見るのではなく、聴衆をみてしゃべった方がかっこよく見える。壇上に上がると確かに緊張するよね、でも自分のオンステージ、どや顔で聴衆を自分のファンと思って発表すれば君は最高!
4)最後に:自己満の発表、それこそ引いては自分の向学心、知識の向上に繋がり、また自己満こそ、聴衆にとっても耳から脳に入って残りやすく、おそらく日頃から悶々とした疑問の解決になる。君のちょっとしたプレゼンが多くの患者さんを助けると思うよ。まあ難しいことは考えず、Let’s enjoy the presentation!

3) 松葉香子(GEヘルスケア)

企業視点のプレゼンテーション:失敗例と成功例からのヒント
(Presentations from a Corporate point of view: Successful cases and Lessons learned from failure)

「気持ちが伝わるプレゼンテーション」を考える際に、医師の先生方が行われるものと企業勤務者が行うケースにおいて本質的には共通点も多くあると思料しますが、異なる視点からの参考として企業活動における事例をご紹介します。
 具体的には、顧客である医療従事者の方々向けのプレゼンテーションを「営業・提案活動」と「情報提供」に分けて、また社内における例として「ビジネスレビュー」を取り上げ、それぞれのケースにおける文脈と目的を踏まえながら失敗例と成功例をお示しします。
上記各例では「課題認識と解決策」、「効果・アウトカムの提示」、「簡潔箇条書き」、「目標達成を促す」、「モチベーション向上」といった要素を織り込んでのご紹介を試みますが、是非聴講される先生方お一人ずつの視点でこれは使える、使えないと言ったヒントを得ていただくことにつながればと考えております。 
最後に、緊張やプレッシャーのもとでどのようにプレゼンテーションに臨むか、私なりの「心持ち」についてお話させて頂くことをご容赦ください。

4)長縄慎二(名古屋大学大学院医学系研究科 総合医学専攻高次医用科学講座量子医学分野)

英語でのプレゼンのコツと座長の役割
演題名 英文:
Tips for the Presentation in English and the Roles of Moderator

日本人のプレゼンは、内容は素晴らしく良いのに、ときに英語のプレゼンの仕方で大きく損をしていることが多い。一般演題、教育講演、招待講演ですこしずつやり方は異なってくるが、共通して大切な事は、聴衆が聞き取りやすいようにはっきりと、ゆっくり目に話すことである。英語における抑揚とリズムを意識して身振りを交えてややオーバー目に話すこと、日本人が苦手な発音の用語は発音が容易な用語に置き換えること、スライドのすべてを話そうとせずにキーポイントに絞って、話す内容は少なめに、とにかくすこしゆっくりと話すこと(引き算の美)など、比較的常識的なことが大切である。自分のリハーサルをビデオに撮って自分でチェックしておくことも役立つ。また、なるべくプレゼン前半に伝えたいことをメッセージとしてはっきりと提示しておくことが重要である。一般演題なら特に、“目的”のところですこし時間をとって明確に聴衆と共有しておくこと、長めの教育講演や特別講演ならアウトラインやメッセージスライドをはじめの方や途中にも提示して、聴衆をひきつけ、決して迷子にしないことである。特に招待講演などのすこし長めのプレゼンでは、ジョークを入れて場を温めるのも忘れないようにしたい。

本講演の後半は座長の役割についてもすこし述べる予定である。座長の立場の理解もプレゼンの上達には重要である。さて、座長の役割は、単に演者の紹介やタイムキープ、質問が出ないときの質問係というわけではない。特にシンポジウムのように複数の発表者がいる場合のセッション全体の成功のためには、やはり座長による”名指揮”が必要である。座長の根源的な役割は聴衆と演者、もしくは演者と演者の間のギャップを埋めるべく立ち回ることであり、座長には”Fill the gap!” を念頭に入念な準備の上で臨んでもらいたい。また基本姿勢として、座長はあくまで(多少の意見の相違はあるにしても)演者の味方という姿勢が、全体の美しいハーモニーを生み出すと思う。


朝、500mLの魔法瓶用にコーヒーをたっぷり淹れて出発します。意外と半日以上ホカホカで飲めるんです。いただいたサポートは、美味しいコーヒーでアイデアを温めるのに使わせていただきます。ありがとうございます。