カメラを使わない日の保管について
プロ野球の無観客開幕が決まり、自分の中で「そうだよなぁ」という気持ちと「しょんぼり」な気持ちが競り合っております。
試合を撮れる日がまた少しばかり遠のきそうなので、今回はカメラを使わない日の機材の保管方法についてご紹介しようと思います。
これまでご紹介してきた「答えがひとつではないスポーツ写真の撮影方法」とは違って、保管方法はスポーツカメラマンのみならず意外と皆たどりつくところは同じかなと。所持しているボディやレンズが増えてきたら、長く大切に使っていくためにもぜひ保管方法にもこだわってみてください。
保管方法をないがしろにすると何が起こるか
以前、中古店でレンズを物色していたときに、視界の片隅が曇ったレンズを売りにきたお客さんと鉢合わせたことがあります。私が曇ったレンズを見たのはその一度だけでしたが、店員さん曰く「珍しくない」そうです。
曇った、というのも、ファインダーの視界の片隅がぼんやりとモヤがかかったようになっていました。一言で言うと使い物にならないです。店員さんが言うことには、そのままにしているといずれはレンズ全体が曇ってしまうんだとか。
レンズがの曇もりを除去するには繊細なカメラやレンズを分解する必要があり、そのお客さんの場合は中古で同じレンズを買いなおいした方が分解費よりも安く済むとアドバイスを受けていました。
NGな保管方法
それでは間違った保管方法とはなんでしょうか。
カメラやレンズの天敵は「湿気」です。そして湿気がカメラやレンズに「カビ」を発生させます。
この場合、カビといってもお風呂場のような黒カビや赤カビではなく、レンズ全体がうっすらと曇るようなカビです。レンズの中の水滴に微細なホコリがついて、それがカビの原因になるんだとか。
カメラやレンズを湿度の高い部屋に置いたままにしてしまうと、カビが生える原因を作ってしまいます。日本の高温多湿な夏では特に、と言いたいところですが加湿器をガンガン稼働させるわが家では夏だけでなく冬も、つまり年中通して湿気にさらしてしまうことになります。
ちなみに、先述のレンズにカビが生えてしまった方は購入時の箱にキレイに入れた上でクローゼットに閉まっていたんだとか。箱の中には除湿剤もいれていたのに、とおっしゃっていました。
一見間違っていないように思えますが、クローゼットの中は湿気の温床です。箱の中に除湿剤を入れていたのにカビが生えてしまった原因、それは次の項目でご説明します。
カメラ機材の保管方法 初級編
これはレンズがぼちぼち増えてきたころの私の部屋の一角です。
クローゼットの中は湿気の温床だと聞いていたので、部屋の隅に重ねていました。
ちなみに、それぞれのレンズには除湿剤を入れていました。
東急ハンズで購入したものですが、「除湿剤」や「シリカゲル」で検索するとカメラ専門店だけでなく様々なお店で売られています。お菓子に同封されていることもありますね。
「レンズケースが密閉じゃないのに、除湿剤を入れて効果がありますかね?」とカメラ店で聞いたところ、「やらないよりやるほうが全然いい」とのことでした。
ちなみに、シリカゲルでも無限に吸湿できるわけではないため、定期的に入れ替えが必要です。目安は、青色がピンク色になったら入れ替え時期です。
引用:トーヤクシリカゲル(画像クリックで引用元に飛びます)
度々例に出して恐縮ですが、先ほどのレンズがカビてしまったお客さんはクローゼットにレンズをしまう際に除湿剤を同梱していたのに、と肩を落としていましたが、除湿剤はすでにピンク色になっていて使用限度を超えてしまっていました。
カメラ機材の保管方法 中級編
レンズが少ないうちは個々のレンズケースにシリカゲルを入れていましたが、私もそこまでマメな人間ではないのでレンズの本数が増えるにつれてだんだんシリカゲルの管理が苦痛になっていきました。
そこで、「除湿ケース」なるものを使っていたことがありました。過去形です。
便利だった点としては、小口のシリカゲルではなく、業務量に大量に購入したシリカゲルを一度に入れておけたこと、たくさんのレンズをまとめて管理できたこと、でした。密閉されているのでシリカゲルの持ちもよかった気がします(単に大量に入れていたからかもしれませんが)。
ところが割とすぐに手放した理由は、「望遠レンズが入りきれない」ことでした。辛うじて1本入っても、2本目を入れるには不安な大きさで、さらに蓋がきちんと閉まらないことには防湿ケースとして役に立ちません。
世の中、バズーカ砲のようなレンズを担いでいるのはスポーツオタクとアイドルオタク(韓流)くらいでしょうから、普通にお花を撮ったりポートレートするようなレンズを入れる分にはこれで十分なんですけどね。
そんなわけで、さらに一回り大きなドライボックスを購入しようとしていたところ、カメラ店の店員さんから「だったら電動防湿庫買った方が早い」と言われ、今に至ります。次項に続きます。
カメラ機材の保管方法 上級編
「上級編」というよりは、レンズの本数が増えたり、体積のある望遠レンズを所持したら、購入を検討された方がいいかなという実感です。
じゃーん。
防湿庫よりも遥かに目を引くケモノが映りこんでいますが、わが家の防湿庫です。
望遠レンズ4本・近距離レンズ3本・魚眼レンズ1本、さらにボディ3台・外付けストロボ2台を入れてもまだ少し余裕があります。散らばりがちなSDカードやスポーツ写真用の外付けHDDもまとめてここに入れています。
入りきらなかったカメラ機材を挙げるとすれば、レフ版と三脚くらいでしょうか(いずれも入れる必要のない機材なので不自由していないです)。
カメラつながりの友達の中には「知らない間にお母さんが防湿庫に海苔を入れていた」なんていうことを言っていた子もいましたが、カメラにとっての良し悪しはさておき、たしかにパリンと保てそうな気がします。
スポーツを撮っている人が多く所持しているSIGMAの600mmレンズがぴったり収まる奥行きでした。ちなみに300mm2.8Fの巨大な単焦点レンズも入ります。ここが入れば十分かなと。
反射で見えづらいかもしれませんが、防湿庫内のランプが赤く点灯することで防湿庫内の湿度を確認できます。きちんと稼働していてもほぼ無音、さらに電気代も1日数円程度です。(防湿庫を導入してからの電気代にそこまで大きな変化を感じませんでした)
結果から言うと、「はじめから防湿庫買えばよかった」と思っています。初期投資に5万円ほどかかりましたが、シリカゲルの色味に気を遣う生活がなくなりましたし、撮影から帰ってきたらとりあえず放り込んでおけばなんとかなります。
どんな防湿庫を買おうかもっと迷うかと思いきや、メーカーの違いだけでどれもそこまで大差はありませんでした。「全体の容量」「庫内に照明がついているか否か」「段数と、各段に置いてある衝撃緩和シート(高いものほどいい感じのシートが引いてあります)」、選ぶ基準はざっとこのくらいでしょうか。
あ、ただし「乾燥庫」ではなくあくまでも「除湿庫」のため、雨に濡れた日などはきちんと水滴をふき取ってから入れることが大事です。(ちゃんと管理しようとすると一度シリカゲルが詰まった密閉ボックスに入れてからがいいようですが、ズボラなのでしていません、カメラを濡らさないように心がけることが大事)。
選手はともかく撮影オタにとってのオフシーズンがまだ少し長くなりそうなので、ぜひ一度機材管理について検討してみてくださいね。シュタッ
すっかりカメラの腕が鈍ってしまってブレるネコチャン。
次回、ネット抜きの方法でも更新できたら、と思っています。
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