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都知事選総括④得票数と支持率と...

様々なデータを分析しつつ、「自民党の強い理由」、「れいわ新選組の良かった点や課題」、「各党の状況」などを明らかにしていきたい。

<1:前回比例得票数との比較>

 昨年の参院選比例区の各党獲得票数と、今回の想定政党支持者数(&候補者獲得数)を比較した結果が下記の通り。
 今回の出口調査で確認された支持政党割合から最新の政党支持者数が想定できる。 
 それが比例獲得票数よりも多ければ「党勢拡大できている」し、逆なら、この1年という中期のトレンドとしてピンチということになる。

比例比較

・一目瞭然。 「党勢拡大できている」あるいは/かつ「党支持者できちんと投票に来ている」のは自民党のみとなっている。

国民民主党は
「自由投票となった」ため支持者の関心が低く投票率が低下した可能性は否定できない。また、党の支持率が低下傾向である可能性も高い。

公明党も
・小池支持を明確にしており「党員はきちんと投票に行く」としても、無風で勝つ可能性が高い今回、通常の「本気の選挙ほど力が入らなかった」ということではないか?

それに比べると、立憲と維新は
・自民党(159%)と比べれば1/2以下で、かなり負けていて「党勢拡大ができていない」が、「他野党に比べればそれなりに頑張った」ようである。

共産党は
・かねてより「支持者の高齢化で何もしないと支持者が減るだけ」と言われており、「コロナ禍で高齢者の外出が控えている」中、この結果は立憲や維新と同等、それ以上に頑張っているとも言えるのではないか?

問題はれいわ新選組である。
まったく振るわない!
比例で「れいわ新選組」と書いてくれたのが24万人、山本太郎(20万)など名簿個人名をかいてくれた票合わせた合計が45万票あった。

なのに
今回出口調査で「れいわ新選組を支持」との回答人数は12万4千人程度。

昨年夏以降の傾向で考えた時に
広がってないよ~~~!!
ショック。

<2:直前の世論調査との比較>

 直前(6/26-28)に都民に行った電話世論調査の各党支持数と、投票時の出口調査での政党支持率を比較した結果が下記の通り。(主要政党の支持率総数で按分済)
 分母を直近の電話での支持率(れいわ新選組0.4%)として、どのくらい投票時に「支持者と回答してくれた人がいたのか?」を上積み%とした。

 つまり、これは上記の「昨年夏以降の中期トレンド」ではなく
 ごく短期の、選挙期間中の活動の成果という視点での評価となる。 

支持率と上積みブースト

上積み%(短期での頑張って成果だした割合)を見ると
◉「れいわ新選組が非常に頑張り脅威的な成果を出した」
続いて
◉「維新の会も頑張った」ことが分かる。
 支持者総数が少ないためにデータのブレが大きいかもしれないが...。
 れいわ新選組固定の支持者は0.4%しかいない。つまり運動を担う人数は0.4%。 でも出口調査での支持率は2%となっており1.6%プラス(4倍をゲット)という素晴らしい結果。
 いわゆる「選挙時の支持率ブースト」と理解してもらってもいいかもしれません。(=通常政治に関心持つ必要もなく情報もなく野党は低い支持率でいるのが、選挙時になると社会の関心も高まり、その選挙プロセスを経て「今回はどの党を支持しようかな」と人々が決めてゆき政党支持率がアップしてゆく。でも、それが選挙後に低下してゆく。)

1年の中期トレンドも含めるとかなり整合性のつく理解ができる。
続いて、各党について上記2結果を踏まえた考察をしてみる。

<自民党・公明党:強さには理由がある>

自民党はこの1年で党勢拡大ができている。圧倒的な強さ。
   -唯一の対昨年比例獲得数比プラス
   -第一野党である立憲の2.5倍の勢い

これは「選挙公示日以降の短期勝負」でなく「日常の政治活動」において圧倒的な力を持っていることを示している。
 つまり、日々の地道な活動で党勢を拡大している。
 だからこそ「選挙期間が開始する時点では”もう勝ちが決まっている状況”を作り出している」。

まさに選挙の格言。
選挙は、選挙開始時点では勝負がついている。』ですね。

なので、今回は特に「自民党公認でもなく」「前回都議選では敵だった小池」な訳で、短期で上積み%がマイナスで「そもそも支持者が積極的に投票にいかなかった」のかもしれない。
 だとしても、余裕で勝つ。
 ぐうの音も出ないですね。
 大事なのは「短期の祭り」より「日々の努力」。
  以上。

公明党は
中期で党勢拡大が出来ている訳でもなく、「熱心な支持者が公明党への票獲得に頑張る結果、比例代表では上積み分が出来て獲得票数が支持者数にプラスされる」ということがある。
 そのことで比例得票数から今回の減少は解釈ができる。
そして、今回の「無風で公認していない候補者が勝つ」状況を考えれば、まあ短期上積みが低いのも仕方ないですね。

<立憲民主党:市民派は頑張ったものの...>

通常、政党支持率に大きな影響を与えるのは「情報の接触頻度」である。
つまりは「メディアで取り上げられるか?」ですね。

そういう意味では数ある野党の中でも「野党第一党は特別に有利」なのは明らか。そして、「勝ち馬に乗りたい」心理も働くことから「本来、中期トレンドでの落ち込みも抑え、上積み%も高くてよい」はず...。

結果は
◉野党の中では中期トレンド落ち込みが低く抑えているが
◉短期の上積みはあまり出来ていない

 内部の事情は分からないが「連合東京の動員が欠けた」ことを考慮すれば、残った市民派は非常に頑張ったということかもしれない。
 が、どちらにしても「野党全体をリードする」というパワーはないように見える。

<共産党:支持者拡大に苦心か?>

支持者の高齢化(=減少)という中、なんとか中期の落ち込みを抑えている
とはいうものの、短期上積みは低くなっており、日本で野党として「唯一、全国的な歴史ある組織政党としての野党」だけれども、「支持者を固めることに必死」で「支持を拡大」することが効率的に出来ていないのではないか?

「自由投票となった」ため支持者の関心が低く投票率が低下した可能性は否定できない。また、党の支持率が低下傾向である可能性も高い。

<れいわ新選組:圧倒的な負けから開始>

中期トレンド、日々の活動では落ち込みが激しく苦戦をしている。
他野党が比例総得票数比半分程度に抑えているのに、れいわは1/4ほど。圧倒的に弱い、「支持者の日常的なつなぎ止めができていない」のが明らか。
弱小政党、チャレンジャーとしては「投票で入れてくれるだけ」でなく「積極的に活動する支持者こそ」が必要
 でも、日常の活動がポスター活動では「相手と信頼関係を作る」、「関係の深さ」、「地域人としての信頼関係」を築くまでに至っていないのではないか?
 今後、各候補者が地域に根付いて活動する中で「地域に根差す」「草の根から点を面にしてゆく」活動を充実させてゆくはず。

ともわれ、「野党共闘に対し”孤立無援のれいわ新選組”」としては少数精鋭で奮起するしかない。ということで、「圧倒的な負けから開始」だからこそ「短期で頑張るしかなかった」、「素晴らしい成果だった」と。

<東京維新の会:日常活動と孤軍奮闘と戦略性と>

維新の場合、中期トレンドでの落ち込みはそれほど低くない。
国会議員、区議会議員や候補予定者など含め30名弱のプロ活動家がいる訳ですからね...。
 大阪と同じく「地べたを這って地味な日常活動」&「効率と戦略性」、改めて恐るべしです。

で、都知事選(短期)では、れいわと同じく”孤軍奮闘するしかない”ということでしたね。

 戦の歴史書みたいな展開ですね。
・孤立したれいわと維新が頑張った。
・本来一番有利な野党第一党(連合支持先)が分裂してしまう...

さておき、小野たいすけ陣営の戦略性の素晴らしさは別途書いてゆきます。


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NHKの都民を対象にした電話世論調査

(参考:全国の政党支持率の推移)
 出典:NNNと読売新聞社の全国世論調査

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