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S高等学校の発表から見える教育の未来

子ども向けオンライン動画制作教室「FULMA Online(フルマオンライン)」を運営するフルマの齊藤です。

教育事業者として、先日のS高等学校の発表は非常に学びがありました。

豪華な布陣、最先端のテクノロジーを使った世界的にもユニークな高校。
そんなワクワクが詰まったS高等学校の会見内容を簡単にまとめてみました。

00 会見の流れ

会見は最初にN高の実績報告、それからS高の説明、という順番で進んでいきました。2時間の内容をギュッとまとめたので省略している部分もありますが、全体像は把握できるかと思います。


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01 N高の生徒数が急増

今回の会見では、まずN高の現状報告からスタートしました。
学校法人角川ドワンゴ学園が2016年にスタートしたN高、現在は15,000人を超えています。

ニーズの確信はありつつも、これほど増加スピードは誰も想定しておらず、

この増加スピードだとN高の校舎キャパ(2万人)を超えてしまう!

と3年前からS高の開校が検討され始めたようです。


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02 生徒1人あたりの指導者は増加

このスライド、痺れました。

急激に生徒が増えると、運営側が追いつかずサポートの質が下がる傾向にありますが、サポートがより手厚くなっています。

これは教育事業者としてのN高のスタンス。
事業としてだけでなく、教育として、しっかりサポートに投資していく。
そんなN高の意志を感じました。

このスライドの時点でN高が好きになりました!


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03 S高とは?

ここからはS高についての説明でした。
N高との比較を合わせて見てみましょう。

S高等学校の“S”には、SUPER・SPECIAL・SHINE・SPECTACLEなど、
さまざまな“S”を生徒一人ひとりが見つけ、自分だけのSを創れるようにという想いが込められています。
N高等学校の“N”には、NEW・NET・NEUTRAL・NECESSARYなど、
さまざまな“N”を生徒一人ひとりが見つけ自分だけのNを創れるようにという想いが込められています。

そんなに大きく中身が変わるわけではないようですね。
事実会見でも学校の場所がうるま市(沖縄)か、つくば市(茨城)か、の違いがあるぐらいで、ほかは共通とのことでした。


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04 校歌はボカロPの40mPさんが作曲した「夢で描けば」

校歌がボカロ、他の学校では絶対ありえないですね。
しかしそこはS高、新しい表現方法をいち早く取り入れています。
生徒が気軽に聞ける、というのも良いと感じました。


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05 Oculus Quest 2を使用したVR授業「普通科プレミアム」

普通科プレミアムに通う子には、全員がOculus Quest 2を使用し授業を受けることになります。

どうしてもVR機器そのものに注目が集まりがちですが、ハードそのものよりも運用前提でカリキュラムが設計されていることが素晴らしいと感じました。

「ずっとVRで授業を受けるのではなく、必要なときだけ使う」という運用をするようです。

夏野さん(ドワンゴ代表取締役)が「ノート取れないんですよ」と言っていて、言われてみれば確かに、と思いました。

それだったら使わなくてもいいのでは?という意見もありそうですが、今の段階からVR授業に挑戦しているドワンゴに対して、VR授業が可能だ!とみんなが気付いてから動き出した時には、大きな差が出来ていると思います。

未来への投資、そんな姿勢が見えました。


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06 note CXO深津さんが教材のUIアドバイザー

S高の教材はN予備校というサービスで使われているものを使用するようです。

そしてこの教材のUIアドバイザーを務めるのはnote CXO 深津さん。

デザインに投資できる教育事業者はまだまだ少ない中で、この人選。
これは非常に使いやすい教材に仕上がる予感ですね、楽しみです。


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07 隈研吾さんがVR上につくった校舎「学びの塔」

新国立競技場のデザインを担当するなど、日本を代表する隈研吾さん。
なんとVR空間上に校舎を設計しました。
校舎の中や外を歩いたりできるようです。

隈研吾さん曰く、現実世界でもこの校舎を建てることはできるそうです。
すごいですね。(現実世界に建てる予定はないようです。)


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08 オンラインとオフラインの中間「オンライン通学コース」

もともと通学コースでやっていた内容をオンラインでもできるようにしたのがオンライン通学コースです。。。

ちょっとわかりにくいですね。

コロナの影響で通学できない高校生が、同じ内容をネットで受けていており、そのままコースにしたようです。

企業が最初からネットに最適化させるのと、リアルなものをネット化するのとでは、結構難易度が変わると思います。リアルなものをどこまでネットで再現できるか、という意味でも非常にチャレンジングな取り組みです。


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09 鈴木寛さんがChief Educational Advisorに就任

鈴木寛さんは教育業界では有名なのではないでしょうか。
元文部科学大臣補佐官、現在は東大と慶應の教授でもあります。
テクノロジーだけでなく、アカデミックな人もしっかり巻き込んでいるあたり、抜け目がありません。


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10 多様な課外授業、豪華な講師陣

S高では多様な授業を受講することできます。

特に豪華な講師陣の授業は、単に知識を教えるのではなく、それが社会でどう使われるか、までリアルな話を聞けるので、最高のチャンス。


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11 学びの開放、オープン戦略

N高の授業を一部開放し、一般の高校生も受講できるようになるようです。
これは嬉しいですね!

夏野さんはこれを「オープン戦略」と語っていました。
今回の事例は、積極的にコンテンツをオープン化していく流れの先駆けになるのではないかと思います。


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12 際立った行政トップのチカラ

茨城県つくば市の廃校がある場所にS高が作られます。
実は当初、つくばに開校する予定はなかったそうです。

しかし、N高が新しい高校を作ろうと候補地を探している事を聞きつけた茨城県知事とつくば市長が

ぜひ、つくばに!

と熱烈なラブコール。

N高としても県や市、教育委員会と良好な関係を築くことは必須であり、トントン拍子で話が進みまた結果として筑波大学やJAXAなど魅力的な場所がたくさんあったことも背中を押したようです。

トップのチカラ、大事ですね。

13 最後に

とっても面白かったですね。

こんな学校が出来るなんて知らなかった!
そんな方もいるかもしれませんね。

テクノロジーを積極的に活用しつつも、現場目線でカリキュラムを構成し、外部の人をたくさん巻き込んで生徒への価値を上げていく。

未来の学校を垣間見た気がしました。
S高からの学びを活かして、自分たちも子どもたちのためにがんばります!

以上、S高についてでした!

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