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#23 ファインダー越しの会話
写真を本格的に始めたのは高校のころ。
それまではコンパクトカメラをぶら下げ、駅で列車を撮っていた。
やはり一眼レフを持っていることへの憧れと、もっと写真をちゃんと撮りたいという思いから、中学になって中古の一眼レフを手に入れたのだった。
ただ、写真の仕組みを学んだのは高校から。
「お前たちはまず撮ることから始めなさい。写真をやるからには撮らないと始まらない。」
写真家の先生からの話を受けて、ピンときたものにカメラを向け、自分なりに拘って夢中に切る。
雨粒が気になればそれをメインに。花が気になればそれをという具合に。
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『彩りのフルーツネード』
Photo by Taromaru
シャッターを切っていると高校時代を思い出してきた。
こう切り取ったらどうか、この角度から見たらどうか、とファインダーの世界に没入していった。
連れは呆れながら言う。
「せっかく温かいのに冷めちゃうよ。笑」
この世界に入ったら、撮りきるまで帰って来られない。
マクロ、広角とレンズを変えてまた試す。
色、構図すべてが楽しい。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64840252/picture_pc_7191aa891728f94ed59ab279f89bff53.jpg?width=1200)
『温かいひととき』Photo by Taromaru
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64840288/picture_pc_9647e38d6b9f514700468bb542a0613d.jpg?width=1200)
『Detail』Photo by Taromaru
自分と話をしながら作るそんな時間は、日々の機能的な日常に忙殺されて失くしてしまっていたのかもしれない。
撮り終わって、一口飲んだ。
少しぬるくなったフルーツネードは、ほんのり甘く、優しい味。
「さあ、行こうか。」
何か忘れていたものを取り戻した、十日町でのディスカバー。
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