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#20 甘さ、苦さと温かさ

オンラインでのつながりは、浅く、儚く、一方で終わるときも傷つかず、誰でも容易に作れるものだ。

一方で対面でのつながりは、オンラインのそれよりは深いが、あとはその発展性次第でどうにでもなる。
つながりたければつながるし、つながりたくなければつながらない。
縁という言葉の存在を意識せずにはいられない。

”前作”に次ぐSNSモノである。

岩手から一気に北上し、一路青森へと足を伸ばす。
昔は特急に乗ると、数字の付く駅に片っ端から停まり、2時間かかっていたが、1時間もかからずに着いてしまうのは時代を感じずにはいられない。

―――――――◇◇◇―――――――

翌朝、青森から30分くらいの浅虫温泉。

最初に訪れたのは17、8年前。

その頃から道は良くなった感覚はあるが、ホタテ広場など無く、道の駅で温泉に浸かった以外は写真を撮った経験しかない。

あるときTwitterで「浅虫温泉か。」というワードからこのプリンを見つけた。
せっかくならと並ぶも、いつも連休に来るとお目当ては買えず、Twitterで話すまでであった。

ああ、お話するご縁は無いのかな。と思っていたが、今回はそのご縁が形になったようだ。

「Twitterではいつも見てます。先日は「大丈夫ですか?」ってつぶやいて、誤解されてしまったので、ちゃんとお話ししたくて。」

店主がお店に寄せられる声に対してつぶやいたものを見て、どこか店主の心情が気になって、「大丈夫ですか?」とつぶやいたのだが、上手く伝わらなかったのがずっと気になっていた。

店主「ああ!あのツイートの!!そういうことだったんですね!心配いただいてありがとうございます。頭大丈夫か?と言われたのかと思って。笑」

ここから文脈が埋まり、笑い話に花が咲く。
小粒てんちょも誇らしげだ。

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常連さんも一緒にコーヒーと絶品プリンをいただく。
コーヒーカップのつばめとこけしのスプーン置きがかわいい。
気持ちも顔もほっこり。味はもちろん絶品だ。
甘党男子には至福の時である。

顔が分かってつながったとき、こんなにも笑顔になれ、心も温かくなるのだなと、舌の上のほんのり苦いコーヒープリンを感じながら、思わずにんまりと笑顔になっていた。

常連「どこ寄ってもらうのがいいかね。これからまだ時間あるんだったら、あの古民家いいかも!」
店主「あーでも青森のもの食べてもらうんだったら、違うかなーとも思うんだよねぇ。」

初対面だけど、どこかつながり、こうして考えてもらえること。
ああ、自分は”人”であって、口があれば話をし、心があれば笑い、温かさを感じ、あるいは伝えるのだと考えながら、当事者の私はひたすら、二人の心の温かさを受け止めていた。

「この時間で次回来た時の行く場所まで決まっちゃったなぁ。また来ます!」

店主「ぜひぜひ!またお願いします!」「ぜひぜひ!またお願いします!」

甘く苦い浅虫プリン。そしてSNS。

近代の文明の利器によってつながったご縁。
機能的なものにも、情緒的な使い方があるのだと、どこか見直した。

ただ、肝心なものは文字だけでは伝わらない。
表情、心、言葉、声、どれが欠けてもダメ。

話し始めてからの心の温かさは、温泉に浸かるよりも温かく、ずっと心に残るものかもしれない。

そんな、18年ぶりの浅虫温泉でのディスカバー。

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2020年1月26日 青森・浅虫にて


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