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【創作SS】フォーエバー メガネレンジャー  #シロクマ文芸部

 (走らないわけにはいかない、もう遅刻は確定だもの。皆が待っているはず)

 敵の本拠地に乗り込み、最終決戦に挑んだメガネレンジャー。
 これまでに登場した怪人、鳥獣、魔怪人など、多くの再生怪人や敵幹部を倒し、首領を追い詰めることに成功した。
 しかし、地球に溢れる邪悪な感情から生まれたエネルギー体である首領には、メガ・ふらっしゅも、ギガノリフラッシュも通じなかった。
 それどころか圧倒的な力でメガネレンジャーを蹂躙し、メガネレンジャーは予備のメガネも砕かれ、変身が解けてしまった。

 どこにでもいる青年男女に戻ってしまったメガネレンジャーたちは平伏すように大地に倒れた。4人の背中に首領の声が響く。
「これまでさんざん邪魔をしてくれたな、メガネレンジャー。積年の恨みを晴らすため、じわじわと弄り殺してやりたいが、余は慈悲深い。
 ひと思いに首を刎ねてやろう。さらばメガネレンジャー。いや、メガネを失いし、生意気な地球人ども」
倒れている4人に静かに近づく。その手には大きな禍々しい死神の鎌が煌めく。

 倒れたままのレッドの指が大地を掻く。顔を上げて首領の顔を睨みつける。
「メガネが無くても、変身が解けても、俺たちは世界を、視界を、地球を守るアイの戦士 メガネレンジャーだ。邪悪な魂に屈っしはしない」
 最後の力を振り絞り、立ち上がろうと片膝を立てる。ピンク、ブラック、イエローもレッドの声に頷き、立ち上ろうとする。
「ほほぅ、まだ、立ち上がる元気があったか。立った方が首を切りやすくて助かるのぉ。
 ハーーッ、ハッハッハッハッ。
 『メガネが無くてもメガネレンジャー』だと、
片腹痛いわ。余を笑い死にさせる気か。
 ミルクが入っていないカフェオレはただの珈琲。メガネ無きメガネレンジャーは、ただの人間よぉ。永遠にさらばだ」
 レッドの前で、大きく鎌を振り上げた。

 刹那

「ピーチヒップボンバー」
ボンッ。
空気を切り裂く声が響き、爆発音が続く。

「ゴリラマシンガンパンチ」
重い打撃に首領はおののくようにして、後ずさりした。
 4人を守るように、首領との間に立つ白い戦士。

「初日から遅刻してすいません、今日からここでバイトする、お尻の大きな女の子「月の戦士 キューティバニー」です。先輩方、よろしくお願いします」

(ぽかさんだ)
(ぽかうさいちごりらさん)
(キューティ)
(戻ってくれたのね、キューティデビルヒップ)

 キューティバニーは魅力的なヒップを4人に向けたまま首領に言い放った。
「来た早々、涙そうそう何ですけど、メガネが無ければ作ればいいのよ。
 欠けても満月に戻る、月が持つ再生の力。
『ムーンプリズム・ルネッサンス』」
キューティのお尻にある丸い尻尾から、銀色の光線が放たれる。
 優しい光は4人の手に、壊れていたメガネを再生し、失われていた体力を回復させていく。
「さぁ、先輩たち、もう一度、メガネレンジャーに変身してください」
キューティの声に戸惑い、変身しようとせずに立ち尽くす4人。
 ブラックが呟くようにキューティに告げる。
「キューティ、アイツにはギガノリフラッシュが通じなかった。倒す方法が無い」

 キューティは振り返るとブラックに駆け寄り、その横っ面を引っ張たいた。横に吹っ飛ぶブラック。
「ブラックの馬鹿、さっきのリーダーのセリフを思い出して。あなたたちは地球を守るアイの戦士なのよ。地球の希望なの。自分の力だけじゃなく、魂の奥にある地球の光を見て」

(オープニングテーマの曲が流れるとともに、過去の名場面が画面に流れる)
♪光に集いし戦士達よ 地球を覆う闇を切り裂け 
 視界の平和を守るのだ メガネ冠

 場面が変わり、荒地の崖の上に立つ4人の青年。
 同じ動きでメガネを装着すると、
「変身!」
声を揃え、姿を変えた。
続いて、一人一人名乗りを上げる・
「メガネレッド、暮らしを豊かにする希望 炎の力を宿す戦士」(ポーズ)
「メガネピンク、命を生む海の力 愛の力を宿す戦士」(ポーズ)
「メガネブラック、安らぎと慈しみ 夜の力を宿す戦士」(ポーズ)
「メガネイエロー、植物を育み 風を起こす 大地の力を宿す戦士(ポーズ)
『四人揃って 地球を守る愛の戦士・メガネレンジャー』
「地球に寄り添う月の戦士 キューティバニー」(ポーズ)

『我らがいる限り 地球の未来 視界は良好!』
ちゅどーん(背後で大きな爆発)

『大地・闇・愛・炎・月 5人の想いを 地球の力を今こそ一つに』
レッドを中心に5人がスクラムを組んだ。
レッドの前に青く光るバズーカーが現れる。
『邪悪な魂を打ち砕く地球の力 必殺 テラ・ブラスター』
バズーカーから金色に輝く弾丸が放たれ 首領の体を打ち抜く!

「ば、バカな。ワシが敗れるだと……」
首領は大地にバタリと倒れた。首領に背を向ける5人。

ちゅちゅちゅちゅ ちゅっっどーーーん
(大・爆・発)

(本文ここまで)

小牧幸助さん主催の
#シロクマ文芸部
に参加です。

ぽかさんに捧げるお話となりました。

 キューティーデビルヒップあらためキューティーバニー🐰に、美味しいところを全部持ってかれました。それはそれで、満足感はあります。
 
 シリーズを通じてメガネレンジャーの個性を表現できなかったことが反省です、力不足です。
 しかし、もともと【毎週ショートショートnote】のお題「メガネ冠婚葬祭」に参加するために誕生したメガネレンジャーが、【シロクマ文芸部】の世界まで進出して活動したのは、正直ビックリです。

 また、個人的にはシリーズを通じて「バイト→メガ→ギガ→テラ(地球)」という言葉遊びができて嬉しかったです。
 また、キューティーデビルヒップ(ぽかさん)を「月の戦士 キューティーバニー」に昇華できたことも、達成感がありました。
 「さらばキューティー」の時から、いずれピンチを救うために再登場させる構想はありました。
 が、「白い月の戦士」として、「再生の力」を身につけて来るとは考えてもいませんでした。
 ぽかさんのアイコンが「白兎」だから生まれたアイディアでした。

 さて「月の戦士」は「次の戦士」として、新たな物語を創るのか。今度は戦隊ではなく、謎とお宝に挑む「トレジャーハンター」の世界観が合うかもです。

『お宝 月兎(ゲット)   キューティーバニー』
みたいな新尻ーズ、いや新シリーズですね。
 その際はライバルとして「お尻の小さな女の子」を登場させたいです。
「ハニー フラッシュ」🍑

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