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過去に感謝し今を受入れ未来に責任を

 市役所という特殊な職場なので、お役に立てるかわからないですが、経験からの反省を語ります。

 総じて「前例踏襲」「問題先送り」「事なかれ主義」の方が多いと感じながら、約30年勤務しています。
 しかし、組織で生きていくためには、ある程度の「打算・妥協・惰性」が必要とも考えています。
 そして「気づき」をそのまま、自分の意見として主張することのリスクを学びました。

 随分と昔ですが、
「それ、おかしくないですか?」
と先輩に聞いた時に
「俺が間違えているっていうのか!」
と不評を買ったことが、その代表的なことでした。
 それ以後、疑問や違和感を抱いた時には、直ぐに表に出すことは止めて、四段階の手順を踏むことにしています。

 「気づき」→「学び」→「深め」→「活かす」という四段階です。
 どの段階でも、自分の「ナゼ」という気持ちを確認する作業であることは共通しています。

第1段階 「気づき」
 仕事をしていて、違和感や疑問を抱くことがあります。
「何かおかしくない。これ、ちょっと違うような気がする」
という感覚です。自分の担当業務で感じることもありますし、お客様や他の方との会話から得られることもあります。
 この感覚はとても大切にして欲しいです。
「役所の常識は、社会の非常識」
なんて言う話もありますが、「職場」などの限られた場所では、ルールの優先順位がおかしくなることがあります。
 私はルールを3つに分けています。
1 パーソナルルール(個人の考え、主義・主張)
2 ローカルルール(職場や組織内での申し合わせ・伝統や組織風土)
3 オフィシャルルール(法令等の公式な決まり)
 本来優先すべきは、3>2>1の順なのですが、
「声がでかい人が勝つ」
 こともあるようです。

第2段階 「学び」
 違和感を抱いた事象について、独りでコッソリと調べます。ここの「独りでコッソリ」がとても大事です。 
 役所の事務であれば、まずは、根拠法令等を確認することになります。昔と違い、法律や条令、規則等について自分のパソコンで調べられるので便利です。また、過去の資料を確認したりネットで、他市の状況、判例などを確認します。
 役所の事務の場合は、特に「判例」を大切にしています。法令等の解釈は諸説ありますが、最終的には裁判所の判断が最優先すべき「オフィシャルルール」になります。最近では「審査請求」の結果なども参考になります。

第3段階 「深め」
 学びの結果を踏まえ、自分なりの仮説や改善策を考えます。できれば、「おかしいことになった」ことについて、過去の経緯を確認しておきます。
「おかしい」には「おかしい」なりの理由や背景があるからです。
 その後、周囲に尋ねます。
「これって、おかしくない。このままでは、まずいのではないですか」
 大事なのは、あくまでも「疑問系」で尋ねることです。「自分はこう思う」を強く出すとマズイのです。
 なぜなら、ここで大概は嫌な顔をされます。
「今までのことを否定」、「気づかない自分が責められた」と捉える方が多いです、ベテランの方であれば特に。なので、あくまでも「疑問系」で教えを乞うのです。
 その上で、時にディスカッションをして、その方の知識や経験をいただきながら、さらに課題整理や改善案を模索します。この時に自分の中に「学び」から得られた軸が無いと、相手にしてもらえません。

第4段階 「活かす」
 「疑問」「調査結果」「改善案」をさらに周囲に相談します(さらに深めます)。改善案について周囲の同意が得られたら、上長に「提案」します。
 この時の改善案の提案時に大事なのは、「誰かに花を持たせること」、そして、何かしらの「負担を減らす」「効果をあげる」という「利」を出すことです。経費や労働力、波及効果など、何かしらの「利」がなければ「理」だけでは、人はなかなか動きません。
 何かを変えるためには「理」だけではなく「利」が必要だと考えています。「利」が「顧客」に対するものですと、なお良いとも考えています。
 また、決して「過去」を否定するのではなく、
「これまでの手法には、このような理由があったようです。なので、これまではこれで良いとも思いますが、より良くしていくためには、変えることも必要かと考えます」
 という姿勢が必要かな、と考えています。

 正直に申し上げれば、こんなことをしても、給料が変わるものでもなく、反発を受けたり、負担が増えたりとマイナスが多いです。
 「前例踏襲」「問題先送り」「事なかれ主義」の方が、思考停止で作業をしていた方が「楽」です。上司の言うとおりだけ動いていても、それなりに業務は回ります。

 けど、それじゃあ、自分が楽しくないのです。未来の後輩たちにツケを遺すことになってしまうのが嫌なのです。なので
 過去に感謝し、今を受入れ、未来に責任を
 
そんなことを考えながら、今日も明日も楽しんで仕事に励みます。

#何を書いても最後は宣伝
 こういうお話に興味がある方におススメなのが、こちらの本です。

 なお、出世を優先したい方には、馴染まない本になります。
#仕事の心がけ

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