【駄文】猫を飼いたい姉の話5(前編)
大事なことなので最初に結論を申し上げます。我が家に猫が譲渡されることが決まりました。応援していただいた皆様、ありがとうございました。10日金曜日に引き取りをする予定です。ということで、以下、経緯を記録していますが、安心してお読みいただければと存じます。長くなるので前後編でお届けします。
8日の昼休みに、姉からラインが入りました。「福島県動物愛護センター相双支所」で保護されている2匹の猫の写真が添付されており
「先月から情報が更新されてない。怠慢」
と書かれていました。
(それは怠慢ではなく、新しい情報が無いので、更新されてないのではないでしょうか)
と考えましたが、正論を言うことが正しい行動とは限らないこともあると、これまでの経験で考えております。
「役所仕事だからねぇ」
と姉に返しつつ、画面から滲み出る姉の真意を確認します。
「どっちの子が良いの」
「むぎ君」
光速のレスが返ってきました。昼休みに電話するのは申し訳ないと思いつつも、速攻で「福島県動物愛護センター相双支所」に電話をしました。
「むぎ君を譲り受けすることができるか、教えていただきたいのですが」
「先着順で受付をしていただき、審査で判断します。受付は可能ですが、申込み時と引き取り時、2回来所していただく必要があります」
「私、郡山に住んでいますので、できれば申込みはFAXかメールでお願いしたいのですが」
「駄目です。1回目の来所時にマッチングを行い、その結果も含め判断します」
「(このお役所仕事がー!とは言えず)わかりました。10日(金)の午後なら行けると思います」
頭の中で、金曜の午後に早退するための、仕事の段取りと上司への説明を整理します。
「今日は来られませんか。私、金曜日はいないのですよ」
「(このお役所仕事がー!とは言えず無言)…………….」
「あ、もちろん金曜日でも他の職員で対応しますので、大丈夫なのですが。………….。
けど、今日来ていただければ、最短で金曜日に譲り渡しできるのです」
ズッキューン!
係員の言葉から滲み出る真意が補正されて、脳内をリフレインします。
「最短で金曜日に譲り渡しできるのです(早く、この猫たちを助けてあげてください。少しでも早く引き取りしてください。命を救ってください)」
もちろん、純粋な気持ちだけでなく「早く仕事が減る」「週末に猫のケアをしなくても良い」とかの打算的な考えもあるとは思います。しかし、
(早く、この猫たちを助けてあげてください。少しでも早く引き取りしてください。命を救ってください)
この思いが心に響き、何かの本に書いてあった言葉を思い出します。
『命より大事な業務など無いのです』
(仕事と猫の命、どちらが大切と考えていますか。今日、マッチングに来るくらいの覚悟も無く、猫を飼うつもりですか)
踏絵を目の前に置かれたような心境になりました。
補足説明をしますと「福島県動物愛護センター相双支所」というのは、私が住む郡山から約100㎞の距離にあり、阿武隈山地の中の細い山道を超えていくか、高速道路を利用して150kmくらいの道のりが必要となります。「ちょっと行ってくる」という距離ではありません。そして、外では雨が降っており、相双やいわき市などの浜通り地方には「暴風警報」が出ています。(今日、マッチングに来るくらいの覚悟も無く、猫を飼うつもりですか)
心に響く声に、覚悟を決めました。
「これから向かいますので、15時には到着できると思います。その時間でよろしいでしょうか」
「わかりました。対応できるようにしておきます」
おそらく、電話を切った時の私の顔は青ざめていたと思います。急遽早退するための、仕事の段取りと上司への説明を頭の中で整理します。
そして「福島県動物愛護センター相双支所」に向かい、車に乗り込みました。
マッチングが上手くいく保障も、審査に合格する保障も何もありません。
何かの本に書いてあった言葉を思い出します。
『けど、失敗したところで、もともと無かった話が消えるだけ。ゼロで始まりゼロで終わる。汗をかく価値はある。恥を掻くのもいい。チャンスの神様が現れたのだから逃す手はない。できる限りのこと、動いてみますか』
(元宮ワイナリー黎明奇譚より引用)
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