これからのエンジニアが意識すべきこと。
こんにちは、白井です。
今回から『アツく生きる』をテーマに、様々なテーマで考え方や在り方について、私の意見や考え方を読者の皆様へ共有していきます。
今回より、テーマを変えていった経緯について、気になる方は以下の記事をご覧ください。
今回のテーマは「エンジニアの在り方」です。
先日、地元(福島県)に勤めている友人たちと会話をする機会があり、そこで企業や自治体でのDX化が進んでいるという話をしました。
地方でも、自治体・企業問わず様々なITシステムが導入されてきています。
その中で、ユーザとして利用している立場の友人がしていた話から、エンジニアが持つべき視点について、深く考えさせられたので、その内容を共有いたします。
システム刷新初期に起こる問題。
その友人とした話を簡単にまとめると、「結構な予算を叩いて開発したシステムが、ほとんどの部署で利用されていない」ということでした。
当然の話ですが、大きな組織になればなるほど、システム導入の提案〜リリースまでの期間は長くなってきます。
大きい組織のシステム刷新は、とても大きなことであり、それだけ組織の人間から注目されます。
にもかかわらず、導入後はほとんどの部署が使っていないとのこと。
システムの詳細は分かりませんが、これまで利用していた刷新前のシステムと比較して、使いにくいシステムであるとのことでした。
これは、当然と言えば当然な話で、新しいシステムは使い勝手が分からないため、どのシステムでも起こりうることです。
例えば、iPhoneを利用していた人が、Androidのスマートフォンに乗り換えた時は、使い勝手が悪く感じてしまいます。
こういったことが、組織のシステム刷新にも同様に起こります。
もしかしたら、こういった現場のリリース後の意見を生で聞くことって、そんなに多くないのではないでしょうか?
少なくとも、私はエンジニアとして働いていますが、直接のユーザからシステムリリースについて聞いたのは初めてでした。
テレビで、DX関連のニュースを見ていますが、紹介されるのは良いケースばかり。
使いにくいといった意見が放送されることは、おそらくゼロです。
開発者側が「良いもの」だと思っていても、利用者が「使いにくい」と言ってしまえば、それは良いシステムとは言えません。
私自身も含めて、エンジニアやITコンサルの方は、現場の意見を自分の理想に変換しないことを改めて意識する必要があると思います。
ユーザに活用されていない現実。
私たちエンジニアは、リリースしたシステムが組織でどのくらい利用されているかを知ることは、ほとんどありません。
保守・運用フェーズで、そういった話の一部を聞くことがあるかもしれませんが、具体的にどういった理由で利用していないのかを、現場の意見として直接聞くことはほとんどありません。
UAT(ユーザ受け入れテスト)というものを、システムのリリース前に必ず行います。
簡単に言うと、エンドユーザの中から何名かが、システムリリース前のテスト段階のシステムを実際に利用し、使い勝手や利用シーンに沿ったシステム設計になっているかを確認するフェーズです。
ここで実際にUATを実施していただくエンドユーザは、そのシステムを使うことが目的になっています。
もちろん、そのUATは実際の利用シーンに合わせてシステムを使ってみることはあります。
当然ではありますが、実際の業務では利用されません。
言い換えれば、本質的な利用価値はその時点では測れないということです。
個人的な考えですが、システム刷新の主な目的の1つに、作業効率化という観点が入ってきます。
こればかりは、実際の利用シーンにてそのシステムを使わなければ判断できません。
こういった理由で、私たちエンジニアは
「そのシステムの良い部分、悪い部分」は分かりますが、
「そのシステムを導入することによって得られる効果」は知ることができません。
リリース後に実際に得られた効果の詳細までは、エンジニア側は知ることはできない場合も多いですが、活用されていないシステム(悪いシステム)をリリースしてしまっていることもあるという現実を受け入れる必要があります。
そのシステムを使うべき理由は何か、それをどう伝えるか?
今回の問題(結構な予算を叩いて開発したシステムが、ほとんどの部署で利用されていない)にフォーカスします。
ここで考える必要があるのは「どうすれば利用してもらえるのか?」という課題についてです。
利用価値をヒアリングするにも、利用実績がなければ判断のしようがありません。したがって、まずは利用してもらうための方法を考えてみましょう。
友人と会話していて、その課題を深掘りしていきました。
そこで得た情報を簡単にまとめると、
・ユーザ研修は行われている
・利用している部署ではそのシステムを頻繁に利用する
・年齢が上がるにつれて利用しなくなる
ということです。
馴染みのない方向けに、ユーザ研修について簡単にお伝えします。
ユーザ研修とは、システム開発を担っている会社が、実際に利用するエンドユーザ向けに、システム概要や使い方のレクチャーをすることです。BtoB向けのシステムリリースで行われます。
今回の事例で言うと、そのユーザ研修は行われているものの、それらは一部の人間だけで、組織全体には全然利用方法が浸透していないそうです。
簡単に言うと、システムリリースのことは知らされているが、システムの利用手順やメリットなどは知らされていないとのことでした。
ここが、私たちエンジニアにとって盲点となることだと思います。
私たちエンジニアは、ユーザビリティ(使いやすさ)の追求は行うが、どう利用させるかという視点の追求は一切行わない場合がほとんどです。
もちろん、リリース後にどう使わせるかは、システムを発注した側の組織の役割かもしれませんが、それでは与えられた役割をこなしているだけになってしまいます。
果たして、これからの時代にそれだけで食べていけるのでしょうか?
今の時代は、ローコード開発ツールやノーコード開発(パッケージ製品等)が当たり前に利用されており、だれでも簡単にシステム開発ができるようになっています。
だからこそ、私たちエンジニアは、発注されたシステムを作るだけでなく、更なる付加価値の追求が必要です。
その付加価値の1つが「どう利用してもらうか?」という部分です。
言い換えるとマーケティングやプロモーションの観点です。
少し話が逸れますが、エンジニアあるあるを1つ。
エンジニアの開発スキルは、それだけで十分食べていける武器となります。だからこそ、そのスキルのみを一点集中で追求してしまいがちです。
もちろん、それは素晴らしいことですが、言い換えると「井の中の蛙大海を知らず」状態に陥ってしまいます。
だからこそ、エンジニアの専門性に関わるスキルだけでなく、マーケティングの視点やプレゼン力など、別の観点での学びが必要だと考えています。
この課題でも、プロモーションの知見があれば、どのように組織内の利用者を増やす設計にするのかを考えることができるようになります。
まとめ
エンジニアとして生きていくためには、システム要件を満たす以外の付加価値の提供が必要です。
その付加価値を生み出すには、エンジニアの開発スキル以外の知見が必要不可欠です。
頼まれたシステムを作るだけのエンジニアは、これからの時代で淘汰されていくでしょう。
私たちエンジニアの1人1人が、自分の出せる付加価値を追求し、浅くてもいいので広く学ぶことを意識していきましょう。
私たちエンジニア1人1人が、そういった意識を持って開発に取り組み、エンドユーザにとって価値のあるシステムを提供することが、よりよい日本社会を創り上げると信じています。
最後までお読みいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!
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