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次代を創る「スマートビル・スマートシティ」:その6「スマートビルとは?」

3.  スマートビルとは?何が「スマート」なの?


3.1.  スマートビルの定義

「スマートビル」とは、IT、AIを用いたビル管理により、施設の運用効率を高め、ワーカーの生産性を向上させ、環境にやさしいスマートな(賢い)ビルを言う。

一般的にはIoTの活用により、建物中に張り巡らされたセンサー等が、従業員一人一人の場所、室内の温度や湿度、照度等を計測し、そのデータをもとにオフィスの環境を自動制御することにより、実現されている。

(参考)
ビル管理システムにおいて、いくつか重要な単語があるので、ここで注記しておく。

・BEMS(ベムス:Building Energy Management System)建物に設置された設備や機器の運転データ/エネルギー使用量データを蓄積・解析し、効率よく制御することでエネルギー消費量の最適化/低減を図るシステムである。

・BAS(Building Automation System)ビル内の設備や機器を遠隔制御するとともに、各種センサーからの情報を収集する。BASとビル内の機器などとは、BAS機器メーカーの独自プロトコル、あるいはBACnet(バックネット)などの業界標準的プロトコルで接続される。

・EMS(Energy Management System)BASを通して収集したデータなどを基に、当該ビルのエネルギー消費の最適化/低減を図る。


3.2.   スマートビルの市場

スマートビル市場は、Mordor Intelligence社の調査によると、2019年から2024年までの5年間で13.6%以上の年平均成長率が予想されている。地域別にみると最大の市場はヨーロッパである。また最もポテンシャルの高い市場は中国で、23.84%の割合で急成長しているとのことである。

スマートビル市場での競争は激化しており複数のプレイヤー企業がひしめき合っている。しかし市場のシェアでみると、わずかなメジャー・プレイヤー企業によって、市場が寡占状態にあるのが現状である。

スマートビル市場の代表的なメジャー・プレイヤー企業として、Johnson Controls、Cisco、United Technologies、Siemens、Schneider Electric等が挙げられる。近年、他のプレイヤーも参入している。


3.3.   マイクロソフトにおける「スマートビル」の定義

マイクロソフトでは、スマートビルを「Base、Middle、Top」の3分類し、提案している。

Level1のBaseが、電源、空調、水質等を管理するビル、いわゆるビル設備管理やエネルギー管理がきちんとなされるビル。物理的な環境特性について、きちんとユーザーの要求に合致しているビルをさす。

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