萩原朔太郎ーこころ

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この詩は、

萩原朔太郎(1886-1942)氏の残した詩です。

ゲド戦記のテルーの唄が好きで、

歌詞について調べていたとき、

作詞の宮崎吾朗氏がこの詩に着想を得たことを知りました。


以下は、私なりの現代語訳です。



’こころ’ を何に喩えようか。

’こころ’ は紫陽花の花のよう。

桃色に咲く日もあるけれど、

薄紫に染まった思い出だけは

どうしたって報われることがない。

また、’こころ’ は夕暗闇の庭園の噴水のようでもある。

音も立てずに宙を舞った水は、

落下してひとつにまとまってゆけるのに、

暗闇を一粒で舞った悲しみは、

どうしたって忘れることができない。

ああ、この’こころ’ は何に喩えられるだろう。

’こころ’ は二人の旅人のようだ。

だけど、一人は思い出で、

物を言うことがないから、

私の’こころ’はこのようにいつも

寂しいのだろう。