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ひっっさびさの外

もう外に出ることは無いと思ってた。※出張のこと

外に出るのはペアの営業担当の仕事で、不在の間の留守を守るのが私たちの仕事、みたいなところもあって。

営業担当が外に出ている間、会社にかかってくる電話に出たり、逆に、営業担当が外で請け負った某かを、代わりに処理したりする。

ペア同士、同時に会社を不在にすることは、ほぼ無いと言っていい。と言うか、たぶん、私たちが外に出る前提でこの部署は作られていない。
そういう、役割分担なのだ。

2月ぐらいから、ちょっと仕事に慣れてきた分、色々なことが気になるようになってしまった。

ずっと社内で、わんわん鳴り響く電話に、毎日毎日毎日追い立てられているような気持ちになってしまっていて。
(※なんか電話が悪いみたいな書き方になってしまっていますが、そんなこと無いんですけどね!元々電話の音が苦手なのと、私の心の余裕が無いだけです…)
毎日、何が起こるかわからないのが怖いし、起きてもぱぱっと対処できる知識も技量も足りていないし。

少し離れたい、と願った元の部署に、また戻れたらどうなんだろうとか。
でも、それはそれで辛いだろうな、とか。
(だって、大好きなはずなのに、離れたいなって思ってしまったんだから)
なのに、共用スペースで組版所さんや印刷所さん、デザイナーさんと打ち合わせをしている様子を見かけては、心がじりじり焦げ付くような気持ちになったり。

今も前も嫌だなんて、なんでこんな根性無しなのに、会社勤めしてるんだろとか。

一生では無いかもしれないけど、これからずっとこんな感じなのかと、途方に暮れてしまって。

会社の外も中も、訳もなく憎くて、本当、八つ当たり気味に怒りを燻らせて、ちょっとしんどかった。やれやれ。

という絶好調闇堕ち中の最中に、突然ペアの営業マンから呼ばれて、一言。
「来週オレ外出る予定あるけど、一緒に来てもらうから!もう上に話も通してあるから。あれとこれ説明できるようにしておいてね。よろしく!」
※激務でも笑顔を絶やさない、明るく前向きなとてもいい先輩です。

このコミュ障を連れていって、何の得が?

と真っ先に思った。

そして何より、
知らないところに行く&知らない人に会うの、めちゃくちゃ苦手なんですが…。
と。

当日、会社の車で目的地に向かう道中でも、先輩のケータイは取引先からの電話が鳴りっぱなし。
ハンズフリーで出つつ、軽妙なトークを織り混ぜつつ適切に対応し、切ったと思ったらまた次の電話に出て。社内からの対応が必要と判断すれば、すぐに会社に電話をかけ、適切な人材に対応を振り。
また、次の電話に出る。
それでも車は、迷うこと無く目的地に走っていく。

(営業マンすげぇ~~~!!)

と、今さらながら実感。

何時に帰社するのかもよくわからないのに、帰社してからの約束まで取り付けちゃったりして。
だ、だ、大丈夫なんですか…!?と私がハラハラした。

こんな目まぐるしい世界で働いているのに、私なんかより死ぬほど忙しいのに、軽やかに笑い飛ばしながら仕事をする先輩。
眩しく感じると共に、闇がちょっと晴れるような心地がした。

お客様は、渋くて優しい、イケオジ様だった。
帰りの車中、「渋くて格好いい方ですねぇ」と言ったら、「おお、オレ凄い好きなんだぁ、あの人!」と、先輩は笑う。
「オレもあんな感じで年取れたらいいなぁ~どうやったらあんな風になれるのかなぁ~」
との言葉には、
「…先輩とはちょっとタイプが違う気がします」
と思わず言ってしまった。
「無理かぁ~!駄目かなぁ」
と先輩は笑い飛ばしていたけれど、先輩は渋さよりもその明るさを大事にして欲しいです、なんて、偉そうにまた言ってしまった。

お客様と会っている間にも着信はズラリと溜まっていて、それをまた折り返しながら会社へと帰る。込み入った話になればコンビニに車を停めて話を詰め、まとまりそうになったら瞬時にハンズフリーに切り替えつつ車を発進させ、走りながら終結させる。時間を無駄にしない。

(え、営業マン半端ねぇ~~~!!!)

先輩の圧倒的光属性、働きぶりの様子に、感謝した1日だった。
また闇堕ちする日が来るんだろうけれど、できればこの日感じた闇の晴れる感覚を、忘れずにいたい。

ちなみに帰社したのは、電話でお約束した時間の15分前だった。

あっぶね…!!!

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