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帰ってきて終わってしまうのか、「帰ってきたあぶない刑事」

「帰ってきたあぶない刑事」を観てきました。

自分が小学生だった頃にはスターだった舘ひろし(タカ)と柴田恭兵(ユージ)が、74歳と72歳にして、今なお圧倒的にかっこいい存在でいてくれることがもう、純粋に嬉しいですよね。

私はもう40半ばですから、子供の頃に好きだった人は少なからず、鬼籍に入られていたり、既に業界では食べて行けなくなっていたり、肉体的に(人によっては精神的に)年には抗えないなとしか表現できなくなってたりする中で。

昔は良かった、と懐しんだり、子供時代に帰りたいとふとしたときに思う弱さや脆さを抱えているのは、おそらくだいたいみんな同じで、それは、こんな年齢の私だってそう。

よほどの人でなければ、どこか、追憶の甘さに縋りつきたくなったり、子供の頃の憧れの存在への依存心みたいなのを残しているものだと思っています。

タカもユージも、姿かたちはさすがに年相応でも、そのやりとりや挙動を見ているだけで、素直な気持ちでかっこいい大人に憧れていた頃の幼い日々の自分を、思い出させてくれたというか。

所詮、人間なんてそうそう強くはならなくて、いくつになっても誰かに頼っていたい、みたいなところが少なからずあって、社会的属性とか年齢とか、そんなもん全部どっかにやっちゃって、甘くて、優しいだけの世界に逃げ込んでしまいたいときもあるはずです。

そういう意味では、懐古厨の心の一番繊細な部分を優しく包みこんでくれる、とても良質なエンターテイメントでした。

内容自体に関する感想については触れないつもりでいますが、「もっとも」より後の映画作品の中では、製作者側から一番、あぶない刑事への愛を感じました。

ファンの自分が、「これなら良いんじゃないの?」って思いました。SNSなどでも、自分と同じくらいの熱量でこの作品を愛しているであろう人たちから、そんな声が多々見られます。

初見の人はターゲットではないはずなので、これで成功でしょう。

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多くのファンがそうだと思うのですが、私もたぶんに漏れず、無印あぶない刑事の、かつ初期が一番好きなんですよ(無印は、最後の最後まで好きです。)。

「かっこいい大人が、小洒落たジョーク交わしたり、時には悪ふざけなノリで派手に騒がしくしてんでしょ。」っていうパブリックなイメージとはかけ離れた、超辛口な時期。

回を重ねていく前の、舘ひろしと柴田恭兵の、芝居や演技というものに対するスタンスの違いだとか、役者として随分違うバックボーンを持っていながら、そこに矜持があるからこそのせめぎあいというか、あと多分、よく言われてるように、最初は2人のソリが合わなかっただとか、とにもかくにも互いの存在に対する信頼感が希薄で、やりとりが殺伐としてるんです。

第3話「挑発」で、タカとユージが(役柄上の)互いの育ちの善し悪しを当て擦りあうシーンがあるのですが、あれ、マジで全く笑えない。
ピリッピリなんですよ。

遡って、じゃあ初期ってどのへんまでなのかな、とも思うのですが、中の人同士の互いへの信頼感とか敬意みたいなものが明確に伝わってくるかどうかという点でいえば、第20話「奪還」あたりまででは、と感じています。

銀星会(暴力団。作中最大の敵)に追い詰められていよいよ後がなくなったタカとユージが、「明日に向かって撃て!」の話をするんですけど、このあたりではもう、中の人たちもしっかりバディになってるんじゃないかと。だいたいこのあたりから、作品にも安心感が出てきます。

軽妙洒脱さという点で分けるなら、ナカさん(ベンガル)が、お姉さんの見合いの話をするエピソードあたりからだろうか。録画映像は全てあるんですが、どの話かは見つけられませんでした。

わりと初期のはずですが、あのあたりから、みんなだんだんちょっとずつおふざけて入れてきてますよね。いや、面白いんですけど。

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ここぞという場面では、柴田恭兵が歌う「RUNNING SHOT」(初登場はたぶん13話「追跡」)その他より、「You're Gonna lose me」(日本語版は小比類巻かほるが歌っているが、劇中歌のこれはまた違う人が歌っている?)の方が映えるんですよね。

この曲は残念ながら、中盤以降ほとんど使われていないはず。

自分があぶない刑事を見てかっこいいと思ったきっかけは、第11話「奇襲」で、これはわりと結構はっきり覚えてる。
宮内洋に襲撃されたタカが、バイクを民間人から拝借し、ボートで逃げる宮内洋を追跡するシーンです。
スピード感も緊迫感も、タカの所作ひとつひとつも、本当に素晴らしい。

それも、この曲あってですね。

劇伴って、自分が言うまでもないのですが、やっぱりとても重要で、この作品にはどんな曲が用意されているのかが視聴者にも理解できる連ドラではなおさらそうで、この曲が来たら痺れるアクション来るぞ、みたいな高揚感だったり、この場面ではこの曲だよね、みたいなのがハマると、すごく気持ち良かったり。

あぶない刑事を象徴する挿入歌2曲。

今回の映画で良かったのは、↑の「cops and robbers」(2曲目の方)がインストながら復活したこと。

あと、こんな本も出てるみたい。さすがにあぶない刑事も今回で最後だろうから、買っておこう。

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