＃23【接客の鬼/フリー脚本（男性2人）】

（怪しい取引の売人のような雰囲気を醸し出す路上販売士。）
いらっしゃいませ〜。
あの…ここに来れば売ってくれるって聞いたんですけど。
いかにも。あなた、初めてですか？
いえ、3度目です。
合言葉を。
え…？
合言葉を。
…「ようこそ、ベリーズハウス」
よろしい、確認できました。

いや、あの誰かに見られるとまずいんで早くしてくれます…？

今なら追加で500円支払っていただくと、こちらの◯◯が付いてきますが。
いやあのいらないです。早くしてもらえると…
後は期間限定でブロマガ会員限定、プロマイド付きパンフレットもお付けしますが…
ややこしいですね…誰のですか？
私のです。
いりませんよ！いいから早く！
おまけに当店のキーホルダーや、シールなんかも…
わかりましたって！じゃあもうそれも全部ください！

くっくっく…わかりました。

後は追加で…
もういいですって！
（売人の手元にマックポテトLサイズの無料券がチラッと見える）
…要る。
はい？
…要ります！ポテト券ください！！

…そうですか。あなたも不摂生ですね。身体に差し支えがでない程度に留めておいたほうが
余計なお世話だ。
…失敬。つい…ね。

袋に詰めるのにそんな時間いります？
「安心安全」がモットーでして…
いいから急いでください。

はい。いいですか、持って1ヶ月です。それを過ぎれば、どうなるかわかりますよね？
わかってます。保存の仕方もそれなりに学びました。
そうですか、なら安心です…。

（手を震わしながら）お金を取り出し、支払う。
次は吉祥寺あたりで…（ボソッと）
え？え、なんて言いました？
次は吉祥寺かなぁ…
え、吉祥寺！？わかりました。吉祥寺に来れば買えるんですね。
えぇ。いかんせん、宣伝が出来ん商売ですから…次会えるのがいつになるか。
（ゴクッ）そうですか。吉祥寺ですね…

また会えるのを楽しみにしていますよ。
…。（走ってその場から逃げ去る）

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帰宅後、袋の中からジャム缶を取り出す。

うめぇ…。まるでとめられねぇな。

カレンダーにズームアップ。
該当日に華丸と、「ジャム販売の日」が書かれている。