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効率化思考を突き詰めていったその先を考えてみる

エンジニアに求められることを端的に言えば、「効率化」だと思う。

例えばGoogleMapは道案内、HotPepperは店舗の顧客回転、スマートフォンは人間関係を効率化したサービスだといえる。そういったプロダクト視点のみならず、エンジニアは業務作業自体を効率化することが求められることが多い。

「社内のアンケート調査をシステム化したい」
「チャットツールを開発して無駄なやり取りを削減したい」
「いちいちエクセルに文字入力するのが面倒だから自動化したい」

私はエンジニアになる前、全く異なる業種で仕事をしていたわけだが、やはり当時の私からみても、「エンジニア = 効率化の鬼」みたいな印象があった。今思えばそれは、当時はやってたIT系インフルエンサーによるPRが影響していたのだと思うが、実際エンジニアになってみてもそのイメージはあながち間違いではなかった。

無駄な作業はしたくない。
人間のやる仕事じゃないので、自動化する。
余った時間をより自分にとって大切なことに充てる

これまで出会った優秀なエンジニアは皆さん、そのような思考で常に物事を捉えていたように感じる。そんな環境に置かれているうちに、自分自身もまた自然と同じ考え方をするようになっていった。

効率化によって生じる余剰時間をどう使うかは、人によって違う。別の仕事に充てることでもっと利益を得たいという人もいれば、家族との時間などのプライベート時間にする人もいる。「時は金なり」とよく言ったもので、時間はお金では得られない多数の選択肢を与えてくれるのである。


効率化思考は、少なくとも自分にとっては、心地よいものだと思っていた。ただ、つい最近この考えを根本から覆すようなきっかけを与えられた。それは、ChatGPTの普及である。

AIが普及すれば、これまで以上に自動化が進み、私たちが「無駄な作業」と思っていたことをしなくて済むようになることは間違いない。現に私は、ある程度の仕様を考えたら、まずはChatGPTにソースコードを書いてもらうようになった。


やりたくない仕事から解放される。
これを諸手を挙げて喜んでも、良いのだろうか。
と、ふと立ち止まって考えてみることにしよう。


人生はリセットボタンのないゲームと表現されることが多い。この理論に当てはめて考えれば、「無駄な作業」とはダンジョンに入ってスライムを倒す行為だといえる。どうせ使いきれないアイテムを集めたり、小金稼ぎのためにサブミッションをこなしたり、村人と他愛もない話をしたり。

しかし思い返してみると、それらのアクションは案外楽しいものではなかっただろうか。ボスを倒して振り返った時「スライムなんてただの経験値稼ぎだよ」と思うかもしれない。だが、人生におけるボス戦とは一体何のことだろうか。


現に私はこうして、自分でこの文章を書いている。AIに任せれば一瞬で出力されるものを、繰り返しバックスペースを叩きながら、お金よりも貴重な時間を割いて、わざわざ文章を書いている。

これが無駄な作業といわずして、なんといえようか。
しかし不思議なもので、これが案外楽しい。

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