穴の中の君に贈る #毎週ショートショートnote
せっせと穴を掘る彼女に僕は聞いた。「何でそんなの掘ってるの?」「いや、私が死んだらさ、この穴に埋めてほしいんだよね」彼女はさも当然のように返す。「え、何?死ぬ予定でもあるの?」「うん、私はもうすぐ死ぬよ」「は?」一切躊躇わずされたカミングアウトから伝わる確かな覚悟、嘘ではないと直感で理解した。
「…そっか。で、もうすぐ死ぬってのに穴なんか掘ってるわけ?てか、日本は火葬でしょ」「そうなんだけどさ、何て言うか土になりたくて」「何それ」「私は地球になるんだよ」ロマンチストかよ、と