クリスマスカラス　#毎週ショートショートnote

12月25日、高級ホテルの一室で俺は激しい自責の念に襲われていた。なんでクリスマスイブに彼女と喧嘩なんてしてしまったんだ。彼女と過ごす予定だったホテルをそそくさとチェックアウトするとひらひらと雪が舞っている。「寒いとは思っていたけどホワイトクリスマスかよ…」この幻想的な光景が逆に辛い。

また俺が落ち込んでいると雪に紛れて何かが降ってきた。「ねえ」「うわっ！？」俺に話しかけてきたのは白いカラスだ。「あんた辛気臭い顔してんね、クリスマスなのに。どしたん？」「いや、彼女と喧嘩してしまって」つい返事をしてしまったがどうゆう状況だ、これは。

「へえ、後悔してんの？」「それは当然！」「じゃあさ、電話しなよ。今」「え、でも…」「いいからいいから」言われた通り電話をかけると彼女は電話に出てくれて声を聞いた途端、ごめんと言っていた。彼女も許してくれて今日を一緒に過ごすことになった。

「ね、言ったっしょ」「あ、ありがとう！」「うちはなんもしてないけど。お幸せにね」そう言ってカラスは飛び立っていった。雪が降りしきる中、飛び去る白い羽は何よりも美しいと思った。(471文字)

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