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恐怖の感情を受け入れる時の10か条

恐怖の感情を受け入れる訓練「Exposure Practice」について前回書いたけれど、今回は、この訓練を行うにあたって従うべきガイドラインがあるので、それについて書いておきたいと思います。

ガイドラインは10項目あり、セラピストさんがメールで送ってくれました。その名も「Guidelines of Conducting Exposure」。直訳すると「(恐怖の)露出の実施についてのガイドライン」。

ざっくり英訳すると、こんな感じ。

1、あらかじめ計画され、編成が組まれ、予測可能であること。

だまし討ち的に行うのではなく、いつ行うのか、どれぐらいの長さにするのかなど本人同意のもとで決めてから、実施しなければならない。また、もし当初のプランがうまく機能しなかった場合のバックアッププランも用意しておくこと。

2、繰り返し、なるべく間隔をあけずに行うこと。

この訓練は間隔をおかずに行えば行うほど、恐怖感の減退を実感しやすい。また、恐怖感が薄らぐまでは同じシチュエーションの訓練を繰り返すのが望ましい。

3、露出のペースは段階的に行うこと。

想像しうる最大級の恐怖にいきなり挑戦するのではなく、少しキツイという程度の恐怖にトライしていくこと。難しいものに対峙したほうが、恐怖の克服スピードはより早くなるが、訓練を最後まで行えるほどの「難しすぎず、簡単すぎず」の選択をすること。

4、居心地の悪さを覚悟すること。

最初の訓練で、ひどい精神状態になることは至って普通。また、訓練後にひどく疲れたり不安になることも普通。これらの感覚は、訓練を繰り返し行うことで次第に薄れていく。訓練の成功はあなたがどう感じたかで計るのではなく、不安や居心地の悪さを感じながらもそのシチュエーションに居続けることができたかどうかで計られる。

5、恐怖や思考と戦おうとしないこと。

不安感や思考にあらがおうとすると、より不安感が増すので、不安感や恐怖感を消そうとせず、起こるがままにしておくこと。その不快感は一時的なものでしかない。

6、訓練中に気をまぎらわすことをしないこと。

気を紛らわせること(音楽を聞く、別の想像をするなど)をしたり、アルコール、薬、途中での退席、衝動にとらわれて実行する、といったディストラクションを使わないこと。

7、この訓練で自分にどんな反応があるか、ネガティブな予想を立てておくこと。

Exposure Practiceを行う前に、訓練中に起こりそうな事態について考えておくこと。そのうえでExposure Practiceの計画を立てること。訓練の最後に、最初に立てた恐怖の予想と実際に経験したものを比べてみるとよい。

8、恐怖スケールを0から100でつけること。

Exposure Practiceを実施している間、自分が今どう感じているのかに意識を向け、不安感が上がったり下がったりするのを客観視するために、恐怖度合いを数値化するとよい。

9、学びが発生するまで十分な長さを行うこと。

不安感が薄らいだり、ストレスを許容できるようになるなど、変化を感じるまで続けること。

10、学びを一般化するよう、さまざまなシチュエーションで行うこと。

セラピストと一緒に、自宅で、などさまざまな状態で訓練を行うことで、より幅広い恐怖感の減少が期待できる。また、自分ひとりで訓練を行うことも効果的(他人がいることで擬似的に安全だと錯覚することがあるため)。


この10か条を事前に文面で送ってくれていたのは、とても助かりました。とくに「ディストラクションしてはいけない」「恐怖感と戦おうとしてはいけない」は、私の中に全くない発想だったので、知ることができてよかった。これを言われなければ、せっかく辛い訓練をしているのに間違った頑張り方をしてしまっていたかもしれない。

「恐怖感に抗おうとすればするほど、恐怖感は強固になる」というのは確かにそうで、実際に揺れるものを見て恐怖感が沸き起こってきたら、起こるままにまかせて放置し、自分の意識を「いま恐怖感70ぐらいだな」とレーティングすることで客観性が生まれるのでちょっと楽になった。なーんだ、戦おうとせずに受け入れればよかったんだな。


次回は、いよいよExposure Practiceを行っていきます。

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