うんちを漏らす家系




うんちを漏らしたことがある。

それも3度だ。


勿論、子供の頃の粗相ではなく、きちんと成人をしてから漏らした回数だ。


はじめては、公衆トイレの手前だった。

車の運転中に腹痛に襲われ、自宅まで間に合わないと悟った私は一番近い公衆トイレに急いだ。

精神も肛門もギリギリではあったが、うんちを漏らしたことのない私は、絶対間に合うという謎の自信があり、まだ自らの肛門を信頼していた。


無事に駐車場へつき、車を降り小股でできる限り先を急ぐ。

しかし、トイレが目の前にあらわれた事で油断したのだろうか。
もう少しでトイレの扉というところで私は派手に転倒した。


予期せぬ衝撃に肛門が耐えうるはずもなく、その瞬間うんちが爆ぜた。



大爆発である。



しかし、私はポジティブであった。

まだパンツ内だ。
今ならズボンの犠牲は回避される!

とにかくトイレへ急ごう!と立ち上がる。

しかし、転倒位置からトイレまでのたった数歩の移動で、うんちは全て外の世界へ飛び出していた。



待ったなしである。



足を伝ううんちに、帰りどうしようと途方に暮れつつも、ズボンをおろし爆発現場を目にした瞬間、派手にやったなぁと他人事のように感じている自分に気づき笑いが止まらなくなった。








ある夏の日、親戚が集まった中で、酔っ払ったおじさんが、頻繁にうんちを漏らしてしまうことを告白した。


正確には、おじさんの奥さんが暴露したのだが、おじさんは慣れているのか「そうなんだよ、よく仕事中に漏らして途中で家に帰ってる」と付け加えた。


ちなみに、このおじさんは母の弟なのだが、母もたまにうんちを漏らす。


電話で「また間に合わなかったの」としょんぼりした様子の母を何度か慰めた経験があるのだが、うんちお漏らし暴露大会でこの体質は母の家系の遺伝ということが判明した。


なぜなら、血の繋がっていない私の父や、おじさんの奥さんはうんちを漏らしたことがなく、なぜ人はこんなにもうんちを漏らすのか分からない様子だったが、血の繋がりのある者たちは「あるある!」と大笑いしていた。


うんちを漏らすという、不名誉な遺伝子を受け継いでしまった私だが、家系的なものだとわかってホッとした部分もある。


大人になって、うんちを漏らすのは恥ずかしいことである。

しかし、これは遺伝。
仕方のないことなのだ。



これからも漏らすことはあるだろうが、引き続き、自分の腹と肛門を過信することなく生きていきたい。



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