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大人になったらバカなことしないで生きる方が楽だもんね

※ネタバレ無し

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスを観てきた。

事前に公式サイトを観たときに「よく分からなかった」的な感想が並んでたけど、そんなグチャグチャだったかな?グチャグチャではあるか。
でもそこまで突飛ではないよね?理解の範囲内よね?
私が見た時は会場から笑い声も上がってたし、最後はそこらじゅうからすすり泣きが聞こえてきたから、みんなちゃんと理解してたっぽい。
私もめちゃくちゃ面白かったし、後半は何度も泣いた。自分でも意外に感じるような場面がめちゃくちゃ刺さったりした。
見ながら何度も「そりゃ賞もたくさんとるわな」と思った。

確かに、ネタバレせずにこの映画のレビューをしろと言われると何も書けないよね。
私も今そう思ってる。

ただまぁ、人間てのは普通に生きてるだけで嫌なことや困ったことやどうしようも無いことが沢山ある。そんな中で何度も「どうするべきか」より「自分はここからどう生きるか」という問いかけになってくることがある。
そういうとき、私は他人や人生に向けて自分を開いていくのが最善なんだろうと思った。
結局は「嫌な人間になってまで勝つこと」より「自分なりの良い人間であること」で自分自身が救われることが多かったから。

あと、この映画を観てて「あれ?クレヨンしんちゃんぽいな」と思ったので後から「エブエブ クレヨンしんちゃん」で検索したら、割と沢山ひっかかった。
やっぱみんな思うよね、あのノリ。

ああいうタイプの笑いを見下す人っているけど、あたしは好き。
ちゃんとした大人が、真面目に「面白くしよう」と思って全力でバカバカしいことをしてるのを見るのは良い。

だいたい大人になってからは、バカバカしいことを”する”より、バカバカしいことを”しない”でちゃんとしてる方が簡単なんだから。
枠からハミ出ないで、皆に批判されたりバカにされないようにし続けてる方が楽。

だからみんな毎日ちゃんと時間守って仕事行ってるんでしょ?嫌でもさ。
自分も恋人や友達を作らなきゃとか、どんな格好で行けばいいとか、みんな何持ってくんだろ?いくら包むんだろう?なんて答えるのが正解?つってるんでしょ?

そうやって世の中的に正しくて、ちゃんとした人間でいると、失敗しにくい。枠の中に入ってれば外にいる人を批判する理由が見つけやすい。自分は「ちゃんとしてる」「みんなと同じ」という理由で守られる。

それに、「夢をあきらめる理由」も出来るしね。

忙しいから無理、お金が無い、時間が無い、仕事があるからできない、若いから無理の次は歳を取り過ぎたから無理。自分が悪いんじゃない、アレとかコレとかアイツのせいで挑戦できないんだ。
そうやってれば「大きな挑戦をして失敗する恐怖」や「他人から批判されること」から逃げられる。

エヴリンみたいに、我が子の恋愛対象の性別が多くの人たちと違うからって不安がったり叱ったり隠したり。
作品内に同性愛や色んな肌の色の人がでてきただけで「ポリコレだ!」と騒いで嫌がったりね。
枠の中にいて、変化のない同じような世界の中でいた方が楽だもんね。

エブエブはそういう、「楽な生き方を選んだ末に生まれる生き辛さ」ってのと、「枠をぶち壊した方が本当は楽なんじゃないの?」てのを見せてくれた映画だった。
あたしはこの映画、大好き。

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