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正岡子規ばりおもろい

正岡子規といえば、柿食べて鐘鳴るやつとか横顔の写真くらいしか知らなかったけど、先日なんとなく読んだ「くだもの」という短編がとても好かったんで、また同じ感じのものをと思い「旅の旅の旅」という作品も読んでみた。

まずこれタイトルがよすぎない?
「旅の旅の旅」て。

しかも、出だしがこれ

汽笛一声京城を後にして五十三亭一日に見尽すとも水村山郭の絶風光は雲煙過眼よりも脆く写真屋の看板に名所古跡を見るよりもなおはかなく一瞥の後また跡かたを留めず。誰かはこれを指して旅という。
正岡子規「旅の旅の旅」

「雲煙過眼よりも脆く写真屋の看板に名所古跡を見るよりもなおはかなく」ときたもんだ。
そして「誰かはこれを指して旅という」。

最っっっ高。

この作品も「くだもの」と同じようにただ旅をする過程を書いているだけで、特にものすごい事件が起きるでもなく恋が始まったりもしない。
それなのにとても面白い。

この面白さはなんなんだろうと考えるに、それはやはり「描写する力」なんだろうと思い至った。

俳句をしてる人の力だよね。

歩いているときの感覚、目の前のちょっとした変化、景色の広がり、そこから感じる距離感、色んな旅の出来事が鮮明に浮かぶ描写のうまさがリズム良く入ってくるのが面白いんだろうと思う。

ほぼ映像作品だもん、こんなの。
ロードムービーよ。


で、すっかり正岡子規が気に入って他のを漁って見つけたのが「犬」。

「くだもの」「旅の旅の旅」ときて、「犬」。

絶対面白いやん、とおもって読んでみたら、想像と別方向に面白くて普通に声出して笑っちゃった。

正岡子規、今生きてたらTwitter面白かったんだろうな〜。絶対フォローしちゃうよね。

もっと早く読めばよかったわ正岡子規。

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