Cody

開発学を専攻しています at University of Sussex 🇬🇧

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最近の記事

バケーションは続く

3月21日「落ち着いて聞きなさい。お父さんが亡くなりました」 父が急死したとの一報が母から入ったとき、僕は烏丸今出川のスーパーで、大学の友人たちと鍋の材料を買い込んでいました。スマホで具材を調べようとしたところ、母と弟から異様な数の着信通知があり、不安になってかけ直したのです。「とりあえず、今すぐ帰るから」と、それだけ告げて、電話を切りました。夜の9時半でした。 実家へ 母は電話で詳細を伝えなかったため、夜の車窓を眺めながら、「何が起こったのか?」と考えていました。死を

    • 満ち足りた「ボク」は、どこか遠くのことで悩みたかった

      これは、「ボク」自身の壮大な回顧録であり、長い内省の結果であり、冗長な反省文です。 ファッショナブルで、なうでヤングでトレンディーな、「こくさいきょうりょく〜」と言っていた時代の自分へ向けてしたためた、些末な忘備録です。 ---------- 1. 国際協力との出会い 「海外で家を建てませんか?」 桜が舞い散る4月のキャンパスで、2年生の先輩から掛けられたその魅惑的な一言が、「ボク」と「国際協力」の最初の出会いでした。 当時、訳あって、同世代の友人よりも数年遅れで

      • 「ICT と 開発」 (後編)

        前編では、「そもそも”科学技術”とは何か?」や「科学技術と開発」について書きました。 後編では、ICTが開発とどのように関係するのかを見ていきます。 1. ICT と 開発昨今、注目を集めているICT (Information and communication technologies) ですが、ICTと開発をめぐる議論には、大きく分けて2つの主張があります。 A. 楽観論(近代化理論・グローバリゼーションと親和性が高い) 楽観論者は、ICTを受け入れる傾向がある。

        • 「ICT と 開発」 (前編)

          2014年の夏、フィリピンセブ島の北部に位置するダーンバンタヤンという小さな村に、Habitat for Humanity の学生ボランティアとして訪れました。目的としては、前年にフィリピンを襲った巨大台風 "ヨランダ" によって甚大な被害を受けた村のコミュニティの再生(という名の、住居建築のお手伝い。しこたま土を運びました...)。今になって思い返すと、この時の、たった2週間ばかりの経験が、僕の中で開発学に対する熱烈な興味を掻き立て、大学を中退してイギリスへ... という流

        バケーションは続く

          「NGO」 とは何か?

          開発学を学んでいると、「NGO」というワードを目にしない日はありません。”貧困” を扱えば、"Save the Children" が、"住居" に関する文献を読んでいると、"Habitat for Humanity"が、"紛争" の授業では、"Doctors Without Borders" が... などなど、etc. etc. このように、「NGO」は開発学(および、国際協力)を語るうえで、欠かすことのできない非常に重要な概念です。今回は、そんな「NGO」について個

          「NGO」 とは何か?

          「開発学」 とは何か?

          初対面の人に、「イギリスで開発学を学んでいます」と言うと、ほぼ必ず「その学問は何ですか?」と尋ねられます。日本では、まず耳にすることがない学問であり、その名前からは学んでいる内容を想像することもできないからだと思われます(時々、IT系だと思われます... たしかに、システム開発って言うけれど)。ただ、説明を求められてもなかなか一筋縄では行かないのが、この学問の面白いところです。 開発学(development studies)とは、どのような学問でしょうか? Univer

          「開発学」 とは何か?

          「発展途上国」という言葉の変遷

          「先進国」の対義語として使われる「発展途上国」という言葉ですが、その表現の歴史を紐解くと、開発学の文脈において欧米諸国が現代世界をどのように捉えてきたのかという、視点の変遷を見ることができます。 1. ラベリングの意味特定の概念(人々・場所・プロセスなど)をラベリングするという作業は、国際開発学において、貧困・富・国際関係を再考するという意味でとても重要な役割を果たします。ラベリングの歴史を理解することは、開発のコンセプト・アプローチの変遷を学ぶことでもあります。 2.

          「発展途上国」という言葉の変遷