遠く離れていても (家族とタピアの物語)
「あ、もしもし、おばあちゃん?今度の敬老の日なんだけど・・・今年はやっぱり行けそうにないかも、ごめん。ケンタもすごい会いたがってるだけどね・・・」
「仕方ないわよ、こんなご時世だもの。いいのよ気にしなくて。ケンちゃんは元気?」
「ばあばに会いたいってずっと泣いてるの」
「ふふふ。会いたかったわねぇ」
「そっちは大丈夫?何か困ってない?」
「心配しなくて大丈夫よ。まだ私、ぴんぴんしてるから」
「でもひとりで寂しいでしょ?」
「そうねぇ・・・ペットでも買おうかしら。ふふふ」
しばらくして、ある日。娘から荷物が届いた。
「何かしら・・・?」
娘に電話で聞くと、ロボットだと言う。
「あら、可愛らしいわねぇ。」
名前を登録すると、そのロボットが喋り出した。
『おばあちゃん!タピアだよ!』
ペットみたいなロボットかと思ったけど、おしゃべりまでしてくれる。
「可愛いですね」
『ありがとう、おばあちゃん!そんなに褒めても、笑顔しかあげられないよ!』
「ふふふ」
タピアちゃんは賢くって、テレビ電話も出来るみたいだわ。
「ばあば〜!これでたくさんお話できるね!」
遠く離れた娘や孫と、顔を見て電話ができるようになった。
本当は、ひとりで寂しかったの。
だけど今ではタピアちゃんがいつもそばにいて会話してくれるし、タピアちゃんを通じて娘や孫と話す機会も増えた。
もうひとり、孫が出来たみたいね。
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谷口
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