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ラスト・チャンス(46) 〜ゲームの主人公に転生したら、どのルートもバッドエンドだったんですが!?〜

↑1話目はこちら(1話目の先頭に目次あり)

第46話 真のエンディング

 それから恋愛話でもう一盛り上がりしてから解散。シアーラは占い店に寄って買い物してから王宮に戻るとのことだったので、待っていてくれたレオと一緒に馬車に乗り込む。結構待たせてしまったからブツブツ言ってるけど……

「女子って不思議だよな。何をそんなに話すことがあるんだよ」
「ガールズトークは何時間でも続けられるのよ」
「はぁ!? 信じらんねえ」
「男同士でも話すことはあるでしょう? レオだっていつもレジナルドとサイモンと一緒じゃない」
「俺たちは別に一時間も二時間も喋ってるわけじゃないぞ」
「あなた達も恋愛の話とかすればいいじゃない」

 『恋愛』と聞いてちょっとびっくりした様な顔。いやいや、男子だって『あの女子がカワイイ』とか話すんじゃないの?

「お、俺はお前の護衛の仕事があるから、恋愛なんてしてる暇はないんだよ」
「そうなの? それは申し訳ないわね。じゃあ、私と恋愛してみる?」
「なっ……!?」

 顔、真っ赤よレオ。あなたもドロシー並みに分かりやすいわね。

「私とじゃ嫌なの?」
「そ、そういうわけじゃないけど……お前はこの国の王女なんだぞ! そう軽々しく……」
「私のことを一番良く知ってる男子はあなただと思うけど?」
「ま、まあそうだけどな。幼馴染だし」
「じゃあ……」

 対面に座っていたレオの方に身を乗り出し、グイッと顔を近付ける。ビクッとなって後ろに下がろうとしたレオだけど、座った状態ではそれも叶わず背筋がピンと伸びた。彼の顔に手を添えて……

「むぐっ……」

有無を言わせずにキスをすると、レオの体が硬直した様に固くなったのが分かった。フフ、うぶなんだから。私としてもこの世界線では初キス。前世では……まあ、その辺りは内緒にしておこうかしら。カーラたちの前では『キスでもしてみれば』とは言ったけど、相手が幼馴染とは言え心地よい興奮を覚える。
 
「もう一度聞くけど、私とは嫌?」
「い、嫌なわけないだろ。その……お前さえいいなら俺は……」
「じゃあ、決まりね!」
「あ、こら! 抱き付くな!」

 そのままレオの膝の上に跨る様にして抱き付くと、ジタバタするレオ。今のでちょっと恋愛感情も湧いてきた気がする……いや、多分エマも彼のことはずっと好きだったんだろうな。でも近くにいすぎて分からなかったに違いない。

「これからもよろしくね、レオ」
「お、おう……でも、人前ではベタベタしないからな! 今まで通り、お前は王女で俺は護衛の騎士だからな!」
「はいはい。今は人前じゃないから甘えてもいいのよね?」
「ダメ! お前はもうちょっと王女として自覚持てよ!」
「えー、いいじゃない!」

などとイチャイチャしてみる。こういうのも悪くないわね、うん。前の扉の中でエマは三王子と恋愛して結果としてはバッド・エンドだったけど、恋愛体質なところは彼女の記憶として私も引き継いでいるのかも。『プリンセス・オブ・イグレシアス』がもっとちゃんと作り込まれたゲームだったら、レオとの恋愛が真のエンディングでも良かったわね。だとすれば……これで最後の扉は、ゲームは一応完全攻略かな。ここからは王女エマが活躍する第二幕の始まりよ!

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