癒えない傷を抱えるあなたへ
死んでいてもかわいいと思ってしまった。
新築のアパート。
白いコンクリートに広がる血。
いつかの小説で読んだ
美しいコントラストを描いていた。
人を殺したことがあるか。
無いならば怪我をさせたことがあるか。僕は一度だけ。君の手を、爪を立てて握りしめて、君の手の甲に傷をつけてしてしまったことがある。無意識だった。僕の爪先の形に沿って剥けた皮、そこから覗く血の滲んだピンク色の肉を見たとき、僕の目は眩んで、視界がぐらりと大きく傾いた。ごめんと小さく何度も呟いた。傷だらけの君の