【青春18で行く】鉄道唱歌1人旅(東海道編第66番)

66番

明けなば更に乗り換えて　山陽道を進ままし
天気は明日も望みあり　柳に霞む月の影

東海道編最後の歌詞、66番。神戸から続く山陽本線の旅を見据えたロマンある歌詞がここでも歌われています。この時神戸にいる自分が、まさか3か月後に鉄道唱歌旅山陽九州編も実施するとは考えもしませんでした。いつかその旅のことも、このような形で書き留めておきたいです。

さあ、一番最後の最後に登場する「月」について書きましょう。覚えていませんか？この月の存在。この歌の一番最初の歌詞、新橋を出発する歌詞をもう一度思い出してみましょう。

1番

汽笛一声新橋を　はや我が汽車は離れたり
愛宕の山に入り残る　月を旅路の友として

今までにこの歌を触れた人間の中にこのことに気がついた人間は何人いるのでしょうか。もしかしたら、僕の知らないところで誰もが知っている常識になっていたら1人で勝手に盛り上がっていて申し訳ないのですが、何度も何度もこの歌を聞いているうちにあることに気が付きました。もちろん真偽は定かではありませんが、僕の考察が正しければ、66番の歌詞は1番で登場する「旅路の友」としての月に別れを告げているのではないでしょうか。

一度この気づきをすると、もはやそれにしか聞こえてきません。日本で一番か二番に長い歌詞を誇る鉄道唱歌の最初と最後が同じ「月」について言及している。たまたまだとしたら相当奇跡ですが、このように解釈することで、今までの旅は1人旅ではなかったのかと、手の込んだネタバラシ的な要素を読み取ることができます。

これまでに数多くの人間が鉄道唱歌を歌い、鉄道唱歌を教え、鉄道唱歌を楽しんできました。最初は地理教育が目的に造られた歌ですが、もはやその目的を越えて、この歌に触れた数多くの人間がこの歌に秘められた旅の面白さや日本という国の美しさ、鉄道という技術の素晴らしさに感銘を受け、想像を膨らましてきたことでしょう。

僕はこの旅を通して、自分なりに鉄道唱歌を楽しむことができましたし、歌詞に隠された素敵な発見もすることができました。長旅・一人旅をする上で、その旅を貫通する目標・テーマが必要であると思いますが、それが僕にとっては鉄道唱歌を隅から隅まで余すことなく味わい尽くそうということだったに過ぎません。

この経験は、言うまでもなく一生忘れることのできない旅になりましたし、年を取っておじいちゃんになった時、若いころを振り返れば、必ずこの旅で見てきた景色、食べてきた食べ物をフラッシュバックすることでしょう。そして、このような形で消えることのない文字としての記憶にも移し替えたことができて本当に良かったと思います。

最後にこの旅で通ってきた全ての駅名を書いて終わりにしたいと思います。ここに書かれている全ての駅を一つ一つ結び、新橋神戸間を結ぶ東海道本線が成り立っているのです。この旅を通して、間違いなく鉄道は繋がっているということを、当たり前のことですが再認識できましたし、3時間かからずに東京大阪間を結ぶ新幹線という交通機関の恐るべき凄さというものも痛感しました。

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帰りは京都駅のみどりの窓口で購入しておいたサンライズに乗車して東京に戻りました。ただでさえ人生初の寝台列車で乗る前から緊張していたにもかかわらず、5日間で進んだ道のりをたったの1晩で寝てる間に走り抜けるわけですから、驚きの連続でした。これもこれでいい経験になったと思います。

これで鉄道唱歌１人旅東海道編は終わりです。またいつか、日本のどこかでこの歌の歌詞を思い出して、鉄道唱歌という素敵な歌を未来永劫忘れ去られることのない名曲として語り継がれていくことを切に願います。

最後まで読んでくれた方はありがとうございました。

前々から告知していた通り、明日からは日本一周鉄道の旅に行ってきます。

その旅の様子も、noteの方に載せていくつもりですので、今後ともよろしくお願いします。