半身創痍。
12月の初めに帯状疱疹になりました。
私は痛みより先に外見に異変が起きました。左脇腹から背中にかけて、赤い発疹と水ぶくれがけっこうはっきり出来ていたのですが、まったく気づきませんでした。いつものように仕事を終えて家に帰り、風呂に入ろうとして服を脱いで初めて上半身の異常に気がつきました。
お腹に広がる派手な赤い色にかなり驚きました。思わず頭をよぎったのは『太陽にほえろ』のあの有名なセリフでした。
なんじゃあこりゃああ!
そう、気分は松田優作演じるジーパン刑事です。痛みに気づかず、腹から流れる血を見て初めて自分が撃たれたことに気づくあの有名なシーン。自分の人生において、まさかあれを彷彿とする出来事が起こるなんて!
湯船の中でジーパン刑事ごっこを楽しんだのはここだけの話です。
◇
帯状疱疹を知ってたからよかったものの、知らなかったらきっとひどく動揺したでしょう。それぐらい派手な見た目。知らないうちに赤ペンキで落書きされたのではないかと思ったほどです。巾10cmくらいの太さの刷毛で、勢いよく筆を走らせたような帯状のラインが体にあるのに。なんでもっと前に気がつかなかったんだろう。我ながら不思議です。
ピリピリした痛みがあった気もするけど、言われてみれば…というレベル。仕事してる最中に、服の中で症状が急激に広がっていたとしたら、ちょっとしたホラーですね。見たかった気もしますが。
◇ ◇ ◇
年末までずっと仕事が忙しく、病院に行く余裕もなかったけど、帯状疱疹は放置すると悪化する可能性があるみたいなので、翌朝病院に行きました。
あーこれは典型的な帯状疱疹ですね、と医師の診断。抗生物質と痛み止めを処方してもらいました。
帯状疱疹の原因は、加齢・疲労・ストレスか。ぜんぶ思い当たる…。
仕事が忙しすぎた。自分を騙しだましやり過ごしてきたけど、なんとかなると自分に言い聞かせてきたけど、なんとかならなかった。体は正直ですね。
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帯状疱疹は体の片側にのみ出現します。神経は背骨を境に体の左右で別々になっており、神経に沿って症状が広がるためこのようになるのだそうです。
満身創痍ならぬ"半身創痍"というわけか。気分は満身創痍なのだけど。
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帯状疱疹の病状は千差万別。痛みも回復の度合いも人それぞれ違います。
私の場合は、発症後しばらく痛みがほとんどありませんでした。1週間後、赤い発疹や水ぶくれが落ち着き始めそのまま治るかと思ったら、次第に痛みがひどくなりました。痛みのピークは2~3週間後。火傷のようなヒリヒリする痛みでした。患部をぎゅっと強く掴まれるような痛みが周期的にやってくるのが辛かったです。
それが年末までの話。年を越してからだいぶ痛みは軽くなったものの、まだ全快には至ってません。これは帯状疱疹後神経痛だそうです。
帯状疱疹が治った後も、損傷した神経が痛覚を刺激する場合があるらしい。この病状も痛みや回復の度合いが人それぞれ違うので悩ましいところ。
今後どう変遷していくのか、もっか経過観察中の身の上です。
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帯状疱疹はならないに越したことはない。
自分の身の上に起きたことだからそう断言できます。
調べてみると帯状疱疹にはワクチンがあり、50歳以上は予防接種ができるそうです。知ってたら受けてたのに。後悔先に立たず。
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加齢はともかく、疲労やストレスは溜め込まないほうがいいですね。
今後は心身ともに健全な生活を心がけたいと思います。で免疫力アップだ。
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帯状疱疹になって得たものもあります。健康に不安を覚えたり、痛みに苦しんだりマイナスでしかない経験ですが、これは私の身の上に起こったこと。当事者として得た(gain)ものがある。これをどう活かすかは私次第です。
病気で苦しんでる人の気持ちが今なら分かるなんて、そんなこと言えないけど、自分の経験から想像力を引き寄せて、苦しんでる人の気持ちにほんの少しでも寄り添うことができるかもしれない。
先が見通せない不安を抱えている人の鬱々とした思いに、そうだね大変だねとそっと共感できるかもしれない。
学校や会社に行けず自分を責めてる人に、そうなるのも仕方ないよねと見守ってあげられるかもしれない。
帯状疱疹は願い下げだけど、この心の変化は大事にしたいと思うのです。
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