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《あま咲きコイン ロゴマーク公募》行政不服審査を行いました

この記事は、前回の投稿『尼崎市が『あま咲きコイン ロゴマーク公募』で賞も賞金も支払わなかった件(搾取ってやつか?)』の後日談となります。

何があったかざっくりまとめると
「尼崎市がロゴマーク公募を行い、多数の応募があったにも関わらず応募作から採用が出ず何故か現行作品が再採用され、おかしくない?って市に告げたら『投票の結果です』と言われ、ホームページから公募関連のページがまるっと消され、賞も賞金も誰にも支払われることなく皆の作品が無に帰した」
という内容です。

市の対応があまりにもひどく、自ら決めた募集要項も守らないし、それを言っても適当に言い逃れられ、応募作の扱いがとにかくひどく、沢山の作品がなかったことにされた。
皆が心を込めた作品が意味のわからん言い訳で潰されていくのが悲しくて悔しくて…なんとかならんのか!?と思い、色々考えてやってみたんですが、結果なんともならず…これ以上なんとかするにも心が疲弊してしまい、、嫌な思いを長く引きずるのも嫌で・・・しかし書き残すだけはしておきます。

今回の問題点

詳しくは前回の記事に書いていますが、
・応募者側に落ち度はなく、市の事業を信じて作品を応募しただけ
・市は『応募作から3点を選び投票で決める』と明記し募集をしたにも関わらず、応募作からは何故か2点しか選出せず、現行作が投票候補に加わり3点とされ、結果そのまま現行作が採用された。

賞と賞金を掲げて作品を募集し、沢山の人がそれを信じて自らの創造力等を市に貸したにも関わらず、後で市が急に条件を変えてそれをなかったことにし誰にも対価が支払われなかった、それがおかしいと告げても見直そうとせず、市のホームページからこの公募に関する記事を全て消した…というのが一番の問題かと。
これに対して何ができるのかを考えてみました。

1.刑事告訴

最初に思いついたのが「詐欺やん、警察行くぞ(物騒)」だったんですが、具体的にどうすればいいの?ほんと警察で合ってる?と思い、調べたり話を聞いたりなどしました。
刑事告訴は、誰にどのような被害を受けたかを警察に申告し、捜査をしてもらうことですが、告訴状を書くのに

・法律のどのような点に反しているのか等、法律の知識がいる
・実際警察も動くことになるので、告訴状自体が受理されにくい
・今回の件だと、具体的にどんな罪で誰をどう罰せばいいかが分かりづらい

という、高いハードルがありまして…弁護士さんなどを雇って告訴状を書いてもらっても受理してもらえる可能性が低そうなので、ひとまず見送ることにしました。

2.民事裁判

これが一番一般的な方法かなぁと。
今回の件を弁護士さんに軽く相談したところ「言ってることとやってることが矛盾していて明らかにおかしいし、信頼を大きく裏切られたという点において損害賠償や慰謝料を請求することは可能では?」と回答を頂けたので、それなら裁判もありか〜と思って、正式に依頼できる弁護士さんを探したのですが(軽く相談した弁護士さんは、利益相反(注※当事者と取引があるなど、何か関係があればその仕事は受けられない)の都合で依頼はできなかった)弁護士さん探しが大変で…
まずは利益相反にならない、尼崎市と関係のない弁護士さんを探すところから始まり、まずここでなかなか見つからず…
見つかっても、今回の件が特殊で事例がほぼないことから(公募してるのにその中から選ばない、ましてや現行作が再採用されるなど前代未聞)、受けて頂ける方が見つからず、、もっとよく探せば見つかるんでしょうが、探したり断られたりまた探したりしているうちに不安の方が大きくなり、一旦ストップしています。

3.行政不服審査

それで今回行ったのがこれです。
行政不服審査とは、

行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(許認可の取消し等)に関し不服がある場合
 →処分についての審査請求をすることができます。
(総務庁HPより)

つまり、自治体などの決定に不服があり、それによって自分が不利益を被ってるんじゃい!といった時に、その決定を行った部課に対し審査請求を行える制度です。
審査は、その自治体が契約している弁護士さんが法律に基づいて公平な立場で判断する…とのことです。

審査請求を出すのに必要なものは
・審査請求書(PDFなどで配布されていて、それに記載されている事項を記入するだけです。主にどういった件でどんな処分を望むのか…といった内容で、具体的に法律のどこに違反しているなど分かれば書いておくと良いみたいですが、そうでなくても請求書の提出はできます)
・参考資料
これだけで、審査に対する費用などはかかりません。
作業としては書類を市役所内の行政不服審査担当局に出すだけで、あとは弁護士さんの判断を待つのみです。

いやでも市の決定に対して市に不服を申し立てて、市の弁護士さんが審査するってそれ身内を身内で裁くようなもんじゃない?信用できるの?と思ったんですが、行政不服審査の担当者さん曰く
『あくまで第三者的な立場で公平に判断するのでその点はご安心ください』
とのこと。
今回の件は特殊なので、審査請求書の書き方も分からないし、書けたとしても受理されるか分からない…と担当者に伝えたところ
『請求が受理されるかどうかは弁護士さんの判断によります。書類の内容は担当がチェックしますが、これで良いとか悪いとかそういった判断はできません。あくまできちんと記入がされているかの確認のみです。』
とのことで、とりあえず書類書いて出してみないと分からない仕組みのようで、書けてさえいればとりあえず弁護士さんに見てもらえるようでした。
この件で市役所にも足を運びましたが、行政不服審査の担当者さんはとても丁寧で、話もしっかり聞いてくれ理解もしてくれて…「不安もあると思いますが、ちゃんと審査請求しますので安心してくださいね」と何度も仰って頂けて、連絡もこまめにくれて、市役所は悪人ばかりではないのだなと思いました。
そんなこんなで書類を提出し、審査自体ができないということはなかったようで、審査まで進みました。

審査請求書に書いた内容

私が審査請求書に書いた内容を軽く書いておきます。

審査請求の趣旨
・令和3年1月4日〜同29日に行われた「あま咲きコインのロゴマーク募集」の応募作の中から、採用作品及び賞金の支払先を選出するよう求める。
審査請求の理由
・募集要項、尼崎市公式ホームページに「応募作品の中から3点を選出する」旨の 記載があるが、応募作品から2点しか選出されなかった。同じく募集要項と尼崎市公式ホームページには「未発表の作品」との記載があるが、すでに発表済みの現行作品が投票候補に選出され、それをもって計3点とされた。
 上記2点について、募集時に提示した条件に違反する部分があった。
そのことを担当職員に告げたところ「申し訳ない」「誤解があったかもしれないが違反したつもりはない」との回答があった。
しかし誤解があった等の認識があるにも関わらず、選出過程や結果の見直しを行わないばかりか尼崎市公式ホームページからロゴマーク募集に関する全てのページを消去した。
まず募集の時点で民法93条・心裡留保や虚偽表示に該当する点があると思われる。
創造性・デザイン性やそれを表現する能力は個々が持ち得る貴重なもので、通常は一堂に得られるものではない。それらを得るために条件をつけて募集し、実際に沢山の作品が集まったからには条件を守るよう信義誠実の原則に則って行わなれるべきである。本件は、提示した条件を守るように努めず応募者の信頼を裏切った不法行為であり、条件を信じ、市のためにと想いを込めて作品を制作した応募者達の信頼とその作品の権利を害し、相手方に不当な不利益を与えないという信義則上の注意義務を怠った。

一部省略していますがこんな感じです。
これと合わせて、募集要項やホームページのスクリーンショットなどの資料を提出しました。

行政不服審査の結果

結果が出るのには、案件にもよりますが半年くらいかかるかもしれません…と言われていたのですが、2ヶ月も経たないうちに結果が届きました。

結果は…
本件審査請求を却下する
つまり、私の訴えは却下されたわけですね。

却下された主な理由ですが、

・今回の件は、募集要項に基づき進める「私法上の行為」に過ぎず、行政庁の行為によって直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが「法律上認められているものではない」ので処分に該当しない
・私法上の行為なので「公権力の主体として」優越的かつ一方的に行われた行為に該当しない
※私法…① 為政者の手によらず、民衆が私的につくった法。
② 私人相互の権利関係を規定した法の総称。民法、商法など。
(コトバンクより)

とのことでした。
つまりは「それ用に決めた条件で進めている(この場合だと民法の範囲内ということでしょうか)から行政不服審査は関与しない」ということなのでしょうが・・・
市の事業として行われて(行政庁の行為)、それにより国民が賞や賞金をもらう権利が定められてそれが侵害されたはずなのに「私法上の行為」に分類されるの…?
行政の事業やそれを進めるために公示された条件は「私法」なの?
行政の決定によって国民の権利が侵害されてるけど?

法律について詳しくないのでよくは分かりませんが、私法ではない『公法(憲法)』では

第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

と定められてるんですが、これは公権力になると思うんですが、これは関係ないのか…?
そもそもこれを解決するための行政不服審査では?
公務員が条件を決めて勝手に条件を変えてそれを応募者(国民)に押し付けることは「優越的かつ一方的な行為」ではないのか…?
などと疑問点が沸々と・・・
なんか、ここでも知らんぷり決め込まれた感じがしないでもない・・・
私が書いた「応募者達の信頼とその作品の権利を害し、相手方に不当な不利益を与えないという信義則上の注意義務を怠った」という部分は無視なのね…っていうか該当しないのね…。
まぁ、行政不服審査じゃなくて、やるなら民事裁判でやれってことなのでしょうが…

身内で身内を裁いてる感ぱない。

この決定に対し、裁決の取り消しを訴えることはできるそうですが…
こんな身内を庇うような裁決出されて誰がこの制度を引き続き利用しようと思うんだよ・・・。
そもその公募の時点でおかしくて、それを何とも思ってなくて、指摘したらホームページまるっと消すような自治体の制度に頼ること自体が間違っていたのだ・・・。
現行ロゴ案を候補に入れたの市長だしな。
その市長あてに行政不服審査を行ったけれども(市役所の部課の長は市長なので、市長あてに行うことになるそう)
行政不服審査の裁決書に判子押してるのも市長だし。
何だったんだこの制度…不信感ぱない…。
結局は無意味だったのだ…。

最後に

こうなると、この件を何とかしようとすると民事裁判しかなくなったわけですが…
民事裁判ならなんとかできるかもですが、お金が欲しいわけではないし(そりゃもらえるものはもらうけども)
それよりも、ここまで来てどっと疲れてしまい、、納得いかないし憤りもやるせなさも悲しみも消えたわけではないのですが、こんな市のことを長く考えるのも引きずるのも嫌で…この件にもう向き合いたくない気持ちが強いです。
だって厚意で応募したのに、なんでか悪意しか返ってこない。ずっと。

公募という、クリエイターにとっての大きなチャンスでこんなことが行われる、公募には私もお世話になっているので何とかしたかったしこんな事例クリエイターの未来にいらんし今後のためにも判例の1つくらい出してもいいんじゃないかとは思っていますが…しんどいね。

想いが沢山詰め込まれて作られた作品達が何故不当な目に遭うのか
公募というクリエイターが夢を掴むチャンスが何故悪用されるのか
そしてそれを主催の誰も悪いと思っていない
それどころか納得するよう半笑いで責められる
ルールを守って厚意から協力した人が貶められる

こんなだからクリエイターの搾取は減らないんでしょうかね。
クリエイターに関わらず、弱者への搾取か。
これが市のSDGs事業の一環っていうんだから笑うしかない。

ルールを守って、市のためにと作品を応募しただけなのに、何故こんな不当な目に遭って、それを指摘すると悪意とも取れる行動を向けられるのか分かりません。
成す術はあるのでしょうが、もう関わりたくないし…
ただひたすら悲しいし悔しいし、虚しくもあります。

締めが一気に暗くなってしまった。

とりあえず私が言いたいのは、これ以上こんな公募が出ませんように…ということ。
クリエイターの未来を潰すのはやめて頂きたい。
もっと人間らしい心のある判断を主催者にはお願いしたい。
いやこんなことされたのは私の経験上尼崎市だけですけどね。
他の自治体の公募に応募したりそれで賞をもらったりしたことは今までにもありますが、みんな丁寧で、作品に対する感謝や尊重を感じられました。
ので、今回の件が本当に特殊なのだとは思います。

今後何の役に立つかは分かりませんが、この経験をここに書き記しておきます。
不当な思いをする人が減りますように・・・。


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