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マーダーミステリーゲーム 面白さの因数分解とゲームデザイン

本日はマーダーミステリーゲームの面白さの因数分解を
していってみようと思っています。

以前書いた記事でも触れているんですが
マーダミステリーゲームには

1.没入感
2.推理
3.コミュニケーション

の3要素が面白さを深めていると思っています。
この要素を分解してみるので制作者の方も、参加者の方もぜひご覧ください。
ゲームデザインする方の参考になればとも思います。

1.没入感

すっかり熱中して、その世界に入り込んでいるという感じ、浸っている・没入しているという感覚などを意味する語。音楽、映画、ゲームなどのマルチメディア体験を形容する際に用いられることが多い。 by weblio辞書

とあるように集中してコンテンツに向き合える状態のことをいいます。
私が思うのは、没入にも2種類あって、物理・環境型と心理型があると思います。

物理・環境型
これは建物の作り込み、VRで表現してあたかも設定の世界がそこにあるように具現化することでその世界に入ったように物理・環境を使って没入させるものです。

感情・心理型
コンテンツのシナリオ・ストーリーが腑に落ちてジブンゴトとして感情に響き、主観的に没入できる状態です。こちらは目に見えないですが当事者にとっては物理型よりも無限の創造の可能性を秘めている要素かな、と思っています。

どちらも大切ですがマーダーミステリーゲームについては感情・心理型の没入感を狙っていると思います。自分が主人公になる"ジブンゴト"体験ができるというのは数多くあるエンタメの中で意外と少ないのです。

物理・環境型を全開にしたマダミを作ってみたいですがまだ予算と市場の規模のバランスでできなそうです。ですが、作ったらめちゃめちゃ面白くできると思うので予算いただける方よろしくおねがいします。ぺこりmm

2.推理

1 ある事実をもとにして、まだ知られていない事柄をおしはかること。「いくつかの条件から問題を推理する」2 論理学で、前提から結論を導き出す思考作用。前提が一つのものを直接推理、二つ以上のものを間接推理という。 by goo辞書

まだ少々腑に落ちてないのでコンテンツとして成立している推理小説についての引用もどうぞ。

主として犯罪に関係する秘密が、論理的に解明されていく過程の興味に主眼をおいた小説。ポーの「モルグ街の殺人」に始まるとされる。探偵小説。ミステリー。 by goo 辞書

論理的に解明されていく過程の興味っていうのが面白さなんだろうな、と自分の中で腑に落ちました。自分の思ったことが正解する楽しさ、逆に思ったことと違った楽しさもまたありますね。ぴったり正解する、自分が見落としていたことでズレが発生して悔しさと驚きという絶対値の振れ幅が楽しさになるんだろうな、と。

マーダミステリーゲームの中では、物語全体の推理、事件の推理の2つがあります。

事件の推理
殺人を起こしたのはいつ誰がどうやって、というひとつの事柄についての物理的な推理になるかと思います。トリック、証拠、動機という要素を集めて自分の予想と合うか合わないか、白か黒の二択です。これは論理的でならないといけないので論理的にちゃんと作らないとクレームになる要素だと思います。感情としては白か黒なので短期的な娯楽にあたるのかな、と。

物語全体の推理

作品の世界観に、関係した登場人物の正体・関係性、作品の隠されていた事実についての見えない部分。ゲーム的に言うとサブミッション部分ですね。物理的な証拠よりかは心理・感情的要素なのかな。白か黒の二択よりか自分の思い描いた多色の部分が広いので振れ幅は大きそうです。ちゃんと作りつつも勝手に想像できるようにゆるめに創るのが良いではないかなと思います。なので一部非論理的でも良いのかも。作品に没入するほど気になるサイドストーリー的な部分になり、ファンを増やすにはここの要素を強めにした方が良いのではないかと思います。感情としては事後感に作用するの長期的な娯楽にあたるのかな、と。

推理の娯楽感は論理と非論理をうまく組み合わせて作るの良さげですね。物語全体の推理をどう広げるかがエンタメとしての向上できるポイントとして考えて良さそうです。

3.コミュニケーション

1 社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。言語・文字・身振りなどを媒介として行われる。2 動物どうしの間で行われる、身振りや音声などによる情報伝達。 by goo辞書

人と人が会話をして思考が伝達して思いが伝わる時って嬉しいですよね。そんなコミュニケーションの機会が多いのもマダミの特徴です。情報を会話の中から得ることが多いですからね。これも大きく2つ、協力と対立のコミュニケーションがあると思います。なお、以下の説明は”非犯人"の視点であり、犯人だと逆になります。

協力型コミュニケーション
マダミの目的である犯人を探すために"協力"してお互いに情報を伝達・コミュニケーションを繰り返すことで真相にたどりつきます。真相にたどり着く過程、他の人が持っている情報が自分の情報とつながって答えが出るという歓びは他に代えようのないものですね。リアル脱出ゲームは協力型コミュニケーションを主軸にしたゲームですね。エンタメの特徴として当事者の多数派が共通の幸せになる図式です。

対立型コミュニケーション
マダミではサブミッションで自分のやりたいこと、非協力的だが達成しなければならないこともあります。情報を隠し、嘘を流し、自分だけの利益を追求します。犯人側だと対立型がメインになりますね。対立側はテクニック、個人の技量が結構差が出てくる印象です。人狼ゲームはチームがあれども基本は対立型コミュニケーションを主軸としたゲームですね。エンタメの特徴として個人もしくは少数派の幸せが最大化します。

どちらのコミュニケーションもめちゃめちゃ面白いです。マーダーミステリーゲームも色々あって良いと思うので想定ターゲットに合わせてバランス調整をするのが良いと思います。感覚的には初心者向けは”協力型”重視、上級者向けは”対立型”重視で設計するのが良いと思います。

といった要素が複雑に絡み合いマーダーミステリーゲームは構成されています。逆にいうと、面白くなる要素をいろいろ導入できる、というところが魅力だと思います。設計次第で面白くもつまらなくなるマーダーミステリーゲーム。たぬきゲームスの第一弾「ニジカケヌ」は8月末リリース予定です!

葉っぱ

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