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[童話]毛深き冒険者たちの輝き

昔々、カニカニランドという国がありました。この国には毛むくじゃらのカニ族が住んでいましたが、中でも一際毛深いケガニのジョバンニがいました。ジョバンニはカニたちの中でも美しい青い殻と、しかし自分が持つ毛深さに悩んでいたのです。

ある日、ジョバンニは心に決めたことがありました。なんと、気になる女の子に告白しようというのです。しかし、ジョバンニの胸にはひとつの悩みがありました。それは、彼の身体が毛で覆われていること。果たして、彼の告白はどうなるのでしょうか。

告白の前日、ジョバンニは仲間のケムシ、マイケルに相談しました。
「マイケル、俺、あの子に告白しようと思うんだ。でもさ、自分の毛深さが気になって仕方ないんだ。」

マイケルは優しい笑顔で答えました。
「ジョバンニ、お前の毛深さはお前の個性だろう。きっとそれが魅力になるんじゃないか?」

ジョバンニは少し考え込みましたが、最終的にはマイケルの言葉を信じ、勇気を振り絞りました。「ありがとう、マイケル。それじゃあ、明日、告白してくるよ。」

そして、翌日、ジョバンニは告白の場所に向かいました。しかし、彼の告白は予想外の展開を迎えることになります。女の子は笑顔でジョバンニに向き合い、
「ごめんね、ジョバンニくん。でも、毛深いのはちょっと…私の好みじゃなくて。」
と言いました。

ジョバンニはショックを受け、がっかりした表情を見せました。しかし、彼はそれを乗り越え、自分を変えるのではなく、自分を受け入れることを決意したのです。

その頃、カニカニランドでは脱毛が大ブームとなり、多くのカニたちが脱毛サロンに通っていました。ジョバンニは自分を変えることではなく、毛深さを誇りに思うことを決意し、脱毛サロンに通うことを考えました。そして、ジョバンニは毛深い仲間のマイケルを誘い、一緒に脱毛サロンへ向かうことにしました。
「マイケル、一緒に行こうよ。毛深さを誇りに思うために、脱毛サロンで自分を見つめ直すんだ。」
と、ジョバンニは誘いました。

マイケルは毛を抜かれることに抵抗を感じながらも、
「わかった、ジョバンニ。でも、絶対にツルツルにはさせないでくれよ。」
と答えました。

二人は脱毛サロンに到着すると、そこには脱毛サロンオーナーの力王丸がいました。力王丸は堂々とした風格を持ち、カニたちに愛される存在でした。

「ようこそ、ジョバンニ君とマイケル君。君たちの毛並みは素晴らしい。抜く必要はないよ。」
力王丸は優しく微笑みながら言いました。

ジョバンニとマイケルは驚きつつも、その言葉に救われたような気持ちでいっぱいでした。
「本当に?」
と、二人同時に口にしました。

力王丸はうなずきながら
「そうだよ。君たちの毛は君たちのアイデンティティ。それを大切にし、他の誰かと比べなくていいんだよ。」
と語りかけました。ジョバンニとマイケルは、力王丸の言葉に胸を打たれ、自分たちの毛深さを受け入れることができました。脱毛サロンでの体験を通じて、彼らは自分を大切にし、個性を大事にすることの大切さを学んだのです。

それからというもの、ジョバンニとマイケルは力王丸の教えを守りながら、自分たちの毛深さを活かして自分磨きに励みました。美容やファッションのアドバイスを受け、毛深い体をより一層引き立て、自分を大切にすることで自信を深めていきました。

すると、ある日、彼らは見違えるような姿に変身していました。美しく輝くジョバンニとマイケルは、周りのカニたちを驚かせ、次第に注目を集めていきました。雑誌の記者たちは彼らの成功を知り、取材に訪れました。
「驚異的な変身!毛深いモデルたちがファッション界を席巻し、新しいトレンドを生み出している!」
といった見出しで記事が掲載され、ジョバンニとマイケルはカニカニランド中で有名になりました。

その後、テレビ番組にも多数出演し、毛深い体が逆に魅力となり、彼らの独自のスタイルは多くの人たちに受け入れられました。ジョバンニとマイケルはカニカニランドのアイコンとなり、個性を大切にし、自分を受け入れることの素晴らしさを広く伝える存在となったのです。

しかし、成功の陰には新たな挑戦が待っていました。ある日、ジョバンニとマイケルは力王丸に感謝の気持ちを伝えるべく、脱毛サロンに向かいました。しかし、そこにはかつてのサロンの面影はなく、力王丸の姿も見当たりませんでした。

「え、どうしてだろう?力王丸さんはどこにいるんだろう?」
と、ジョバンニが驚きの表情を浮かべながらマイケルに尋ねました。

マイケルも同様に驚きながら、
「でも、力王丸さんがいなければ、俺たちは今の自分たちじゃないんだよな。感謝の気持ちを伝えたいな。」
と答えました。

彼らは力王丸の言葉や教えが自分たちを変え、成功に導いてくれたことを心から感謝していました。その後、ジョバンニとマイケルは力王丸の姿を求め、カニカニランド中を訪ね歩きましたが、どこにも彼の姿は見当たりませんでした。

それでも、力王丸の存在がなくなったことで感じた喪失感とは裏腹に、彼らは自分たちの毛深さを誇りに思い、個性を大切にすることの重要性を改めて実感しました。そして、ジョバンニとマイケルは新たな目標を見つけ、カニカニランドに元気と笑顔をもたらすことを決意したのでした。

そうして、カニカニランドでは毛深いジョバンニとマイケルが、力王丸の影響を受け、個性を大切にし、自分を受け入れることの素晴らしさを広める活動を続けました。彼らの話は国中に広がり、多くの人々に勇気や元気を与えました。

おしまい。

あとがき

物語を最後まで見ていただいてありがとうございます。この物語から学べることは、個性や特徴を受け入れ、大切にすることが成功への第一歩であり、他者と比較することなく、自分らしく生きることの素晴らしさです。ジョバンニとマイケルの冒険は、読者に自分の個性を大切にし、人とは異なることを恐れずに前に進む勇気を与えることでしょう。

これからも子供向けから大人でも笑顔になれるような童話を作っていきます。
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作者:たま

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