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Bigger Than My Body

村上春樹と柴田元幸がそれぞれの翻訳への向き合い方を記した「翻訳夜話」を読んでから、翻訳に心惹かれている。今まで翻訳はアカデミックに学んだ文化的素養のある人だけが出来る、ハードルの高いものだと決め込んでいた。しかし村上さんの「翻訳に一番大事なのは、自分が誰よりも作者の言葉を理解しているという一種の思い込みだ。」という言葉に思わず考えをあらためた。

たしかに、「翻訳」という行為は言葉さえ知っていれば(知らなくても調べたっていい)誰もが出来ることなのだ。誰でもできることをわざわざ自分がする意義は「他の誰よりもこの作品を深く理解している」という思い込みの他にないのではないか。そんな風に考えると勇気がでた。僕にも”他の誰かではなく自分に向けて作られたんじゃないか”と思うような作品に出合った経験があるからだ。

それは好き嫌いや良し悪しとは全く別の「これは自分のものだ」という不思議な感覚だと思う。なにが僕のための物語でどれがそうではないのか。それは他の誰にも分からないだろうけど、例えばBack To The FutureではなくてThe Gooniesで、Billy JoelのHonestyよりもStevie WonderのSummer Softなのだ。

そんな風に僕が「誰より理解している」と信じた曲のひとつ、John MayerのBigger Than My Bodyを翻訳してみようと思った。

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This is a call to the colorblind 
This is an IOU
I'm stranded behind a horizon line
Tied up in something true

これは希望や情熱を無くして、世界が白黒にしか
映らなくなってしまった人達への呼びかけ
僕といえば、まだ地平線の裏側で
「本物」みたいなものに
がんじがらめにされているのだけど

Yes, I'm grounded
Got my wings clipped
I'm surrounded (by)
All this pavement
Guess I'll circle
While I'm waiting
For my fuse to dry

得意だと信じていたことも
今ではそんなに自信がなくて
色んな道を目の前にして怖気ずいては
結局堂々巡りをしている
けどこれだけは分かるよ、まだウォームアップの途中だ

Someday I'll fly
Someday I'll soar
Someday I'll be
So damn much more
'Cause I'm bigger than my body
Gives me credit for

もっと軽やかに、もっと高く跳べると思うんだ
もっと強くなる、きっと皆驚くよ
だってこんなもんじゃないから
まだやれるって信じたいから
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自分のものだなんて言ったけれど、本当は誰もが僕と同じように未来の自分に「まだやれる」って期待していたいのかもしれない。僕が訳したことで、この曲が、また違う誰かのものになったらいいなあ。

慣れてなくて一曲全部を訳せなかったけど、また色んなものにチャレンジしてみたいな。(間違ってたり、ハチャメチャな意訳になってしまっていたら申し訳ないです)


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