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アラレコのアレコレ【前編】

この夏、大野の荒島旅舎1Fをお借りして、絵と音楽が買える2週間だけのレコード屋さん▶︎▶︎▶︎アラレコを営業しました。
荒島旅舎でやるレコード屋さんなのでアラレコ。

JBアラレコ

ふつうミュージシャンが曲をリリースするときは、出来た音源のイメージに合わせてジャケを作りますが、今回はそのまったく逆の方法で、私が描いた10点の絵にラッパーでありトラックメイカーのTSUJI@辻岡くんがイメージを膨らませてサンプリングで曲をつけてくれました。それでできたのがインストEPアルバム「ROUTE8」です。

アラレコCDサイン

アラレコでは、この10曲入りのCDアルバムと10点の絵を買うことができ、絵を見ながら曲を視聴することでその世界観を五感で味わえちゃう!そんな展示でした。

アラレコの世界観をお伝えするために、販促物や来場者特典のステッカーも作りました。ロゴタイプはたかしま、CDサイズのフライヤーは荒島旅舎の桑原圭さんデザインです!


【前編】では企画から開店に至るまでのアレコレを書いていきます。

「コラボしましょう!」

この一言から、アラレコがはじまりました。
5月に久しぶりにラッパーでありトラックメイカーのTSUJI@辻岡くんと会いました。
話していたのもなんと荒島旅舎の前。おたがいの表現や好きな音楽を話しているうちにかなり盛り上がり、「私がジャケ写の絵を描いて、辻岡くんが音楽を作って、この夏シティーポップなアルバム作ろうよ!」と本気の約束をしました。

「荒島旅舎を使ってください。」

ちょうど同じ頃、荒島旅舎の圭さんからこう言われていました。
誘ってもらった旅舎のイベント エヴァナイトで、アスカ愛強めなカンケイ商店の中村さんに出会って、インスタに載せていた絵の中から「これがほしいです!」とメッセージがあり、初めて絵を買っていただいたばかりでした。

絵で私にできることってなんやろ…個展?私の絵を見に大野まで足を運んでくれるかどうか全然自信ないわ…。こないだ辻岡くんからコラボしませんか?って誘われたけど、コラボって…要するにハッピーセットになりましょうってことか????よくコラボしました!って聞くけどあんま深く考えたことなかったな…こらぼ。

初夏に私はバグっていました。絵に自信もありませんでした。コラボの意味を考えはじめて2週間ほど経ち、「絵×音楽」の他力本願なアイデアが浮かびました。

「絵と音楽が買えるレコード屋さんをやりたい!」

これだ!これしかない!思いついた瞬間、頭の中でレコード屋の店員になっている自分が浮かびました。黒いエプロンをしています。荒島旅舎でやるレコード屋さんだからアラレコ。ネーミングも覚えやすいぞ!なにより自分が無闇にやたらと言いたくなる!アラレコ!アラレコ!(覚えたての言葉連呼)

ここ最近までずーっと個人的なストレスがありました。音楽だいすきなのにフェスもないしライブも延期、イベントもできていない。もう楽しみを奪われるのは御免だなと、周りの人たちを巻き込んで(できないことは手伝ってもらって♡)楽しみを自家発電して、この夏本気で遊びたい!と思いました。

6月末に、勢いだけのプレゼン資料を荒島旅舎の圭さんと川端さんに見ていただきました。かなりドキドキしましたが、おふたりとも素敵な笑顔で「いいね!」と言ってくださいました。私個人の絵だけを飾るよりも、辻岡くんや荒島旅舎のファンの方にも喜んでもらえるものになるといいな、なるんじゃないかなということも伝えました。また、大野が1950年代から無名のアーティストを支援する活動「小コレクター運動」を盛んに行なっていて、作品を収集し展示することが当たり前な街だと知りました。アーティストに寛容な街であることがすごくうれしかった。いろんな要素があることに気づき、自然とアラレコにつながりました。

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「ゆるさとか隙がほしいな。」

アラレコが決まってから、絵の新作を描き進めつつ、膨大な量の決めごとや段取りに追われて7月の下旬。全体の見せ方の方向性は決まってましたが、PC上で実際の寸法で当てはめてみてもどこかしっくり来ないまま、出力を旅舎で貼る日に。

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先に作っていたアラレコのロゴタイプの雰囲気に合わせて、全体に緑色@アラシマグリーンと黄色を使って、左の視聴ができるレコード屋ゾーンと右のイラストゾーンのパネル出力を貼りました。迫力はあるけど…もやもや作業していると、ずっと黙っていた圭さんが「隙がないのかな。もっとゆるさがあるといいね。」と正直に言ってくれました。この一言が大野からの帰り道にかなり蘇ってきて、勇気がいるけど一度全部捨てよう!とモノトーンにすると、やっとこれだ!という感覚に。メインで入れていた女の子も新しく音楽に関する人物「宇多◯ヒカル」のイメージで描き直し、それから設計士のまきちゃんと1日かけてスチレンボードをカットして完成。後ろに三角の脚をつけただけの簡単な作りですが、持ち運びが楽々で設営もスムーズにできそうだというところで山をひとつ越えました。
(畳でのスチレンカット作業は足腰がガタガタになるのでオススメできません)

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「身の丈で自分らしくどう楽しむかですね。」

それからしばらくして、生活藝人 田中佑典さんの番組「FBCラジオ 福井の微(B)面」に出演させていただきました。ひょんなきっかけでアラレコのことを知っていただいていて、本番前に打ち合わせすることに。アラレコをやることになった経緯から好きな音楽の話、よく行く場所について話すうちに、福井の寂れた買い物スポット「パワーセンターワッセ」の魅力とは?な話に。「本屋、業務スーパー、文房具屋、生活のぜんぶが集まってますよね!」とめちゃめちゃ共感していただいたので、福井の微(B)面として推すことにしました。
番組本番でも「ワッセ?!?!?!」と初めて聞いたかのような最高のリアクションを魅せてくれた田中さんはやはりプロの藝人さんでした…

田中さんのおかげで、アラレコについてかなり整理できました。絵も音楽も買えるというところ、絵と音楽との世界観が連動しているところ、五感で楽しめる展示であること、SNSなどの告知で伝えているつもりでも意外と伝わってなかったかもしれないなぁとも。自分のことほどわからなくなる!あるあるでした。”福井シティーポップ”というおぼろげなテーマも見つかって、福井でも都会でも自分らしく身の丈で楽しむことが福井シティーポップ、ポップな姿勢なんだと思えました。

「搬入、楽しみましょう。」

いよいよ搬入日前日。※作品を会場に設営すること。
正直クタクタでした…これやろう!と決めたのは自分なんですが、搬入の人手どうしよう!と困っていたら福井大学院生で彫刻家の蟻塚くんが「搬入手伝いますよ!」と声掛けしてくれて本当に助かりました。制作って本当に孤独で、だからって孤独はいやではないんですが、これだ!って確信が持てないときは、自分の作ってるものがよくわからなくなります。お世辞を口にしなさそうな人に「いいですね!」と言ってもらえることってありがたい。悪いならそれとなく示してくれたり、そういう存在が周りに少しでもいてくれると、作る人って安心してまた孤独になれるのかなぁと思います。クタクタだった日の「楽しみましょう。」の一言には励まされました。

当日は、段取りどおりスムーズに設営することができました。が、私のミスで額縁に付属しているはずの脚のパーツが入っていないのに気づくのが遅れ、なんとか当日には間に合うけどというヒヤヒヤギリギリな展開に!直前はなにが起きるかわからないので早め早めのスケジュール段取りが大切です(震え声)

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↑搬入2日目の様子↑

【後編】に続きます。アラレコ中に感じたこと、発見したことを書く予定です。

たかしま

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