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子どもたちの「好き」の力をとことん信じる  探究という“プロセス“こそ、親子の宝物だ(前半) 〜「実践探究」プロジェクトリーダー“わっきー”インタビュー〜

2021年4月よりスタートした新プロジェクト「実践探究」。探究学舎三鷹校舎のオープンスペースは、親子とスタッフとの活動で活気に溢れ、子どもたちは各々の好きなことを心ゆくまで探究している。
「実践探究」とはいったいどのような場所なのか?
プロジェクトリーダーの“わっきー”こと“宮脇僚(みやわきりょう)”に、インタビューをしました。

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十人十色の”好き!”に寄り添う場所

ーーー「実践探究」とはなんですか?ーーー
「実践探究」は、一言でいうと「子どもたちの“好き!やってみたい!”を全力で応援し、伴走するプログラム」です。

「実践探究」では、週1回2時間、三鷹教室にて、子どもたちが自分で決めたそれぞれの好きなプロジェクトに取り組んでいます。
戦国のジオラマをつくっている子、折り紙をひたすら折っている子、カードゲームを自分で開発している子もいれば、PCやタブレットを使って調べ物をしていたり動画をつくったりしている子もいます。僕たちは、そんな十人十色の”好き!やってみたい!”という子どもたちの気持ちに寄り添い、承認したり、ときにアドバイスやヒントを伝えたり、相談役になったりしています。

僕は“好き!”という気持ちは、本当に可能性に溢れていると思っています。“好き!”はチャレンジすることへの原動力になるからです。そしてチャレンジは、自信につながったり、誰かと協力し合うことが楽しいと感じられるようになったりもします。
このような経験は、子どもたちにとっての人生の糧になる。子どもたちが成長すると、その子自身も周りも元気になれるし、応援したくなる気持ちがどんどん波及していく。そんなことを起こしていく空間、それが「実践探究」です。

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「実践探究」で大事にしている三つの要素

ーーー実践探究ではどんなことをやっていますか?ーーー
実践探究では“メンター”と呼ばれるスタッフが、子どもたち一人一人の担当になります。実践探究は、以下の三つの要素をとても大事にしています。

1.プランニング
2.繋げる
3.ほめる

一つ目は“プランニング”をすること。
子どもが「こういうことをやってみたい」と思いついたときに、自分だけの力では実現するのが難しいと感じることがあると思います。あるいは、やってみたいことが具体的に思いつかないというときも。
いずれの場合も担当メンターが子ども一人一人と丁寧に対話をします。目の前のクリアしていく課題を明確にし、どういうステップでやってみたいことを実現していくのかを相談しながらプランを立てていきます。

二つ目は、誰かに繋げる、何かに繋げる、ということ。
「やってみたい」が決まっても、自分一人では実現が難しそうだな、と途方に暮れてしまうことがあります。しかし、誰かに聞いてみること、できる人と一緒にやってみることで道が開けてきたりすることがあります。担当メンターは、子どもたちの様子を観察しながら、つなげるヒントやきっかけを提案します。

例えば、ここに歴史好きの子がいます。好きな歴史の探究を深められる可能性を秘めているのは、子ども同士の繋がりかもしれないし、別の子の保護者かもしれない。あるいは探究学舎の外の人かもしれない。いずれにせよ、繋がりが子どもたちの世界を広げてくれます。

三つ目は、とにかく褒める、承認する
これが本当に大事。かなり意識的にしています。自分のアウトプットを人に見てもらい、それを褒めてもらう。シンプルですが、その子の自己肯定感が上がっていきます。褒めることはその子の「好き」を加速させ、もっとやってみたい、挑戦してみたいという燃料になります。

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保護者との繋がりをつくる

ーーー保護者に対してはどのようなことをしていますか?ーーー
僕たちは毎週、子どもたち一人一人に「レポート」を書いています。
僕たちがレポートに書いているものは、その子のチャレンジのプロセスです。今週はこんなことをやりましたという事実だけでなく、僕たち目線で感じた子どもの成長や変化などを言語化していきます。

何か成果や結果を求めているわけじゃないし、何かすごいことやって欲しいわけではない。自分で決めた好きなこと、やってみたいことにチャレンジする「プロセス」を、心から楽しんでほしいと思っています。
それでも親御さんからは「本当にこれで大丈夫なのかな?」とよく聞かれます。

なので、月に1回、保護者交流会をやっています。
僕たちが一方的にインプットするわけではなく、あるテーマに対して、それぞれの価値観を共有し合い、正解の無い中で何かをお互いに分かち合いながら学べるような場作りです。そこでまた「繋がり」ができますよね。

保護者とは別に、子どもたちは子どもたちだけの交流会や、ディスコードというチャットアプリで繋がれる仕組みも作っています。

実践探究の場は、保護者、子ども、探究学舎の「繋がり」の中、共に作り上げていける場を目指しています。
成果ではなく、「プロセス」を大事にする、という哲学はこういうところにも反映されています。

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”好き!”の力を育んでいきたい

ーーー「実践探究を立ち上げようと思ったきっかけは?ーーー
子どもたちのちいさな興味の芽が出たあとに、きちんと育んでいきたいと思いました。そう思ったのは、前職であるデコボコのある子どもたちとの関わりが大きいです。

僕は高校受験を控えたある一人の男の子の担当でした。勉強は、どんなにがんばっても点が取れない。そんな彼の進路を家族はとても心配して、彼自身の自己肯定感はどんどん下がっていって。すごく辛そうでした。ある時、1週間だけ勉強をやめて、話したいことを話そう!と提案してみました。本当はどんなことをやってみたい?本当はどんなことが好き?と彼に質問をしたら、絵を描くのがとても好きだ、と。絵を描いている時間はとても幸せだと語ってくれたことが、すごく印象に残っています。そんな話をした日からしばらく後、他の人と比べるのではなくて、自分はこうなりたい!という軸で彼は進路の選択をしたそうです。
そんな彼の、はつらつとした、ふっ切れたようなポジテイブなエネルギーがすごく素敵だと感じたんです。

あと、ある不登校の男の子がいたのですが、彼はゲームがとても好きで僕と話が合い、一緒にこんなことできたら面白いねと毎回話をしていました。そのうち、好きなことの話ができて、いま幸せだし、自信もついた、と言ってくれるようになりました。その前までは、辛くて死にたいと思っていたこともあるそうです。
そんなことがあってやっぱり“好き”って素晴らしいなって。

だからこそ、「子どもたちの“好き!やってみたい!”を全力で応援し、伴走するプログラム」である「実践探究」という場をつくりたいといました。正直、僕は「実践探究」をつくるために、探究学舎に入社したんです(笑)。

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実践探究で回していきたい「正のサイクル」

好きなことをしていると幸せで、やりたいことがその先に見えてくる。そうすると、できるかできないかわからないけれどチャレンジしてみて、その結果スキルが上がったり、自信につながったりする。そんな、「正のサイクル」が回りだす。
他の人と比べるわけじゃなく、どういう風に何をしたいのか。自分の人生にどう向き合うか。
自分で考えて、選択する。
そうすれば、もっともっとその子の人生が豊かになるんじゃないか。そう考えています。


後半へ続く!

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実践探究は現在試行錯誤しながら、探究学舎三鷹教室にて運営しています!
ご入会を検討されている方、どんなプログラムなのか詳しく知りたいという方は、以下のメールまでお気軽にご連絡ください。
practice@tanqgakusha.jp(担当:宮脇)

※実践探究は2023年8月をもってサービスを終了いたしました。今までありがとうございました。
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(ライター 藍以)

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