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アベ社長日記#19:退任まであと14日(いよいよ佳境)

このシリーズは第1次安倍内閣当時の「首相動静」を基にしたフィクションです。

アベ社長日記#19:退任まであと14日

僕の運命の一日(2007年9月12日・水)

 どうやら風邪を引いたみたいで・・。熱っぽくて、おなかも痛い。昨日(9月11日)は夕方早引けして5時過ぎに家に帰った。オーストラリアからの帰りの飛行機が、冷房効きすぎだったのかなあ。

 今朝もおなかの調子が悪い。頭がぼーっとして、熱で目も潤んでいる。午後から、うっとおしい会議なのだが、もうどうでもいい感じ。
 休みたかったが、一応10時前に会社に出る。そのままお昼まで社長室でもうろうとしていた。居眠りしたらしい。夢を見ていた・・。

 ライバル会社のオジャマ社長が、いきなり訪ねてくる夢だ。
社長室に入ってくるなり、
 「何か俺に話があるんだってか、え?」 と僕をぎろりと睨む。
 「ご相談したいことが・・」 と言いかけると
 「ムリ、無理。ガソリンスタンドの話だったら聞きたくもないよ」 と、そのまま出て行こうとする。
 「いや、ちょっと待って・・」 追いかけようとして、目が覚めた。

 午後からの会議はドタキャンした。グループ統括本部のアソ専務に、「あとはよしなに」と、予定を全部押し付けた。早退しようと会社を出たら、業界紙の記者さんたちに捕まった。
 明日から会議はどうするの? ガソリンスタンドの件は? 取締役の不正の件は? 
うるさい! あまりわあわあ言われるので、面倒くさくなった。

 「僕、社長辞めるんだよ!」

 それから後の騒ぎは、あまり覚えていない。17:24帰宅。熱があるので早寝する。今夜はテレビも見たくない。

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注:
2007年9月の臨時国会、懸案のテロ対策特措法の延長は野党の猛反対が予想されていた。9月12日は午後1時から国会の本会議が開催予定だった。しかし10分前の予鈴も鳴らず会議が開かれる様子もない。多くの議員たちはおそらく与党と野党が議会運営委員会でもめているのだろう、くらいに思っていた。
そこに突然「安倍首相辞任」の報が入った。事態は官房長官さえも知らされておらず、全閣僚がしばし唖然としたという。
※『アベ社長日記#19』は、ブログ『tanpopost』に2007年9月13日 付けで掲載したものです。

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