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もしも魔法が使えるなら

もしも魔法が使えるならどんな魔法がいいですか?

テレビでそんな街頭インタビューが展開されていた。
「こんなアホみたいな暑さの中でアホなインタビューするな!」と怒り出す一般人もいるのではないか?と、
エアコンの効いた部屋で煎餅食べつつポリポリと顔を搔きながら私は思ったのだった(なんか顔がかゆかったのだ)。

だが、怒り出す人のインタビューは放映されないのが常なので、
インタビューに登場した一般人はみんな総じて笑顔だった(勝手に怒り出す人がいたと決めつけている・・・いないよ、きっと!)

もしも魔法が使えるなら。

私はどんな魔法を使うだろう?
単純な私は、さっきまで他人事であった質問がすっかり自分事になっている。
煎餅の手を止め、頭の中で色々考える。

透明人間になる→みんな私が実はここにいるなんて知らない!ひひひ!いろんな話を聞いてしまえーー!!(妖怪・噂BBAの誕生)

1日だけ大好きな芸能人になる→大歓声を受けキャーキャー言われる!髪も肌もツヤツヤ!!(完全な願望)

ポール牧のごとく指パッチンするたびに手から諭吉先生の束があふれ出す→えげつないほどのバブリー生活!!(人としてどうかと思う)

そんなどうしようもない妄想で脳内がお花畑になっていたところだったが、


「私は看護士なので、患者さん達の気持ちがすぐ分かるような魔法を使えるようになりたいです。ご病気でコミュニケーションを上手くとる事ができない方が沢山いらっしゃるので」


自分の欲深さが恥ずかしすぎる。


お花畑を完全に蹴散らかして再び煎餅を手に取った。



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