●いわゆる,「スクラム組んで」
3人の生徒に共通して「いろいろな先生とやれてよかったー」という感想を残しています。とかく、担任は自分ひとりで頑張ろうとするかもしれないけれど,自分(教師)にとっても,生徒にっても,他の先生に協力してもらうのは必要不可欠なのかもしれません。(でも,気持ちよく引き受けてもらうために,「事前に相談しとく」とか,面接役の先生用に履歴書や質問書の用意,今までの記録などを準備しとくと,「頼まれやすさ」という意味でも,「誠意の伝わり感」という意味でもよいのかもしれません 笑。それに,モノが揃ってると,年上の先輩教師に対しても,少しは頼みやすくなりました。ボクの気分的に 笑)
面接指導を「担任が見る」か「他の先生が見る」かは,子どもたちにとってはおおよそ関係ないようです(メンタル的に関係ある子も少しいるけど)。逆に「担任だとやりづらい」とか「やりやすすぎて困る」とかいろいろ言ってくるし(笑)。
でも,すぐに他の先生に頼る子が現れると「オレじゃないのか…」なんて担任が気にしちゃったりも(笑)。
●本 『たのしい進路指導』 の活用
この本でもたくさん引用させてもらっている『たのしい進路指導』。
試験本番が近づくとき,著者の中さんは,本文の中で,学期後半に配る進路だよりに対して,下記のように書かれています。
中学生に対しての進路指導通信ですが,不安な気持ちは中学生も高校生も一緒。むしろ,高校生の方が人によって進路は様々。失敗して浪人もありえたりするから,不安もひとしおなのかもしれません。
そんな中さんの進路通信。最初は「中学生に向けた文章だから,打ち直したり,一部は自分で考えたりするべきか…」と頭をよぎったのですが,「伝えたい内容は一緒!」と思いなおし,そのままコピーして,朝読の時間あたりに読んでもらう材料としたのでした。試験1~2週間前から,朝印刷して渡すように(推薦入試を受ける子たちだけに渡していたけど,全体に配ってもよかったかな)。その感想は…
試験直前の時期だったからこそ,中さんの想い通り,生徒たちの心にそっと寄り添うことができたんじゃないかな。
使ったページ(候補含む)は
「自分にあった職業って」,「とりあえず決めることのすすめ」
「自信を持っていきるために」,「ある学校選択の話」
「ミスした時に」,「どちらに転んでもシメタ」
「大人への第一歩」,「不安と緊張の中で」,「今からここから」
※ というわけで,『たのしい進路指導』は,中学校の先生に限らず,どの校種の先生にとってもおすすめの本です。近くの書店に売ってなければ出版社(仮説社)かAmazonあたりで。
●進路通信に添えて。
この竹田さんが書いている「先生の紙」というのは,前述させてもらった「中さんの進路通信」に添えた,ボクのメッセージです。「中さんの進路通信のそのままコピーでいいじゃん!」と方針を決めたものの,本のコピーを渡すと「私たち高校生とは全然別の出来事」と感じてしまう可能性があるじゃないかと思い,進路通信と目の前の子たち,そして担任のボクの橋渡しみたいなことができたらという想いで,毎回B5/1枚の紙を添えることにしたのでした。
(全文は別記事で)
(ボクが添えたメッセージたち)
「完璧を求めすぎず」「人間であるから」「絶望はあるのか」「誰だって不安」「早めに決めたらエラいのか」「短所はホントか」「面接準備の悩みは」「苦労は余計か」 (全文は別記事で)
ところで,進路通信&メッセージを渡したところで,その場や口頭でリアクションが返ってきたわけではありません。すぐに目を通さないことだってあります(特に授業の課題テスト当日の日とか 汗)。
だからと言って「読んでいない」「何も感じていない」と判断するのは違うようです。そのことは感想文でも見えてくるけれど,他にも,「先生!私明日通院で休むから2日分のアレ(進路通信と先生の紙)くださ~い!」なんて言われたこともあれば,直接「進路通信とあの紙ど~う?」とボクが聞くと,生徒それぞれの感想を語ってくれました。こうやって,揺れ動く進路の時期だからこそ,ふと立ち止まったり休みたいときに,触れる文章・考え方があるといいなと思ったのでした。
※ 一方で,「ただでさえ進路の時期で教師も忙しいのに,こんなのを書くなんて・・・」と思われた方がいるかもしれません。でも,あくまで『たのしい進路指導』に掲載されている進路通信を紹介するために「オマケでつける文章」のようなつもりでした。時間もない中で「そのまま本のコピーを配ろう」と思っていたのですが,中学生に向けての文章が主なため,何かを添えて「これは中学校の先生が書いた文章だけれど,みんなにも通じる所がたくさんあるよ」と伝えたかったのです。
だから,文章量が少なくても,うまくまとまらなくても,本が補ってくれます(笑)。そんなつもりで書いていた文章ですから,かける時間も,家に帰ったあとの15~20分程度。たまには1時間くらい時間がかかってしまった時もあるけれど,あくまで「その子に対して手紙を書く」みたいな気持ちでキラクに書いたのでした。
●当日に向けて
そんな面接練習と進路通信を配る日も今日が最後。翌日は推薦入試の日のこと。ボクは3人に対してエールを書いたキットカットと,手紙を渡したのでした。こういう「一大イベントの時には手紙やお菓子でエールを送る」というのは高校生たちのマネ。大学の推薦入試にチャレンジする子は予定通り3人だったので,負担感もなく,サラっと書くことができました(しかも,本文のほとんどは『たのしい授業no.457』で紹介されている山路敏英さんの<受験生を励ます年賀状>のマネ。そのままマネできるのはありがたいな)。
●結果は?
推薦入試の結果は,無事全員合格!です。倍率がそれほど高くない(1.1~1.5倍)とはいえ,模試の学力結果ではC~D判定だった3人。ボクも本人たちもホッとしたのでした。
その後,1月に行われたボクが所属する研究会の教育研修の場には,学校の教師を目指すタケナカさん,ナミさんの姿が!研修に参加するのと合わせて,売り場でわたあめ器を売る姿はとても頼もしいものでした。参加費も高校生にとっては高い(4000円)のに,準備から含めて参加してくれたのでした。
また,卒業後はナミさん,タキモトさんから手紙が届きました。元気にやっているようだし,高校時代も良い思い出の様子。苦楽を共にしたからこそ,仲も深まるのかもしれません(担任も? 笑)。
そんなはじめての高校3年生担任。そして進路指導。迷うこともたくさんあったし,次に3年生を担任するときはもう少し計画性が持てればなぁ~とか,研究会の進路指導分野の文章をもっと読んでおきたいなぁ~など,まだまだ勉強不足の部分もあります。けれど,彼女たちの感想文を読んで,「押しつけない,嫌がられない進路指導」はできたんじゃないかな。
そんなことを思いながら,届いた手紙を何度も読むボクがいたのでした。
●卒業後に届いた手紙
(おしまい)
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