2-4 三者面談,どうする?
-初!三者面談の実際-
今の高校では,秋に三者面談があります。はじめておこなう,生徒との本格的な進路の面談。一体どんなカンジで進めていけばいいのかな?迷ったときは,やっぱり原則に立ち返る。指針となる言葉をもう一度読むに限ります。紹介するのは,生徒との面談について語っている小原茂巳さんの座談会での言葉。
ボクの三者面談の印象は「親と生徒が話し合う場」。そして,ほぼ強制的に保護者に学校に来てもらう機会(しかも平日の夕方なんて時間帯に…)。だから,「わざわざ来てもらってどうも」という切り口の後,「進路やそれ以外も含めて,何か気になっている,話しておきたいことありますか?」と保護者に聞くようにしました。そのあと,進路希望調査の紙をもとに,「お子さんはこう考えているみたいだけど・・・お母さんはどう?」「先月書いてくれた進路希望調査から気持ちの変化はあったりする?」と親,子それぞれ聞くようにしたのでした(いわゆる<共通理解ができているかの確認>ってヤツかな?)。
一方,地域の特性もあるのか,今の勤務校では毎年,学年の約半数の子が奨学金を借ります。ボクのクラスも15人の子が奨学金を考えていました。けれど,奨学金は,わかりやすく言えば「借金」。上級学校卒業後に何年もかけて返さなくてはいけない。借りる金額も,保護者と相談して決めるわけで,そのイメージを持ってもらうために,「仮想,上級学校生活プラン」を考えてもらうようにしました。授業料はいくらで,アルバイトは時給いくらで・・・。週何回入って・・・。就職して一人暮らししたら,こんなところに住んで,何年ぐらいで返す・・・みたいな質問を繰り返します。
もちろんそこに正確性も計画性もいりません。「お金を出してくれる保護者の前で試しに1回考えてみる」ということをしてもらっても良いかなと思ったのでした。
※こんなことを考えてもらっている一方で,ボク自身は貯金がいくらとか,月にクレジットカードをどれぐらい使ってるか,なんてことはさっぱり。(ボクは奨学金を借りずに大学に行かせてもらったので,今返却しているわけではない)。自分の親に感謝するとともに,たとえ生徒たちがとんちんかんなシミュレーションをしたとしても,「そうか,よく自分の頭で考えたね」と言うようにしています。少なくとも「全然違う!親に出してもらうんだからちゃんと調べろ!」なんて声かけはしないように(というか,自分も疎いからあまりエラそうに言えないだけ)。
●3年生に入る前に
面談後,2年生最後の試験,後期期末考査を受ける時のことです。今の学校は,例年,半分以上の子が学校推薦(指定校,公募)で大学,専門学校を受けるみたい。推薦ということは,「評定平均(1年生の頃からの全科目成績の平均値)」によって,推薦をもらえたり,合格率が変わったりします。けれども,生徒たちは「自分の評定平均」を知りません。秘密にしているわけではないけれど,伝える場面がきちんとは用意されてないのです。なので,評定平均が関わってくる生徒には,「今の値がいくつで,次にこれぐらいがんばるとこれぐらい上がる」という資料を渡すようにしました。
「成績だけが生徒のよしあしを図るものさしではない」と考えつつも,入試を受ける大きな判断材料になってしまっているので,まぁそこは仕方がありません。伝えた後,どれぐらい頑張るかは生徒次第。「わかった!来週のテストがんばる!」となる子もいれば,「私,評定平均を気にするのはもういいや!一般入試でチャレンジしまーす」という子もいたり。そのためにできる限りの情報は与えてあげます。
そんな三者面談も無事終わりました。進路についてまだバシっと決まらない子もいたけれど,「考えてみたけど,オレはまだ決まらないなぁ」ということを,生徒本人にも,家庭内でも,共有できていればそれでいいかな。三者面談が,そんな「考えるきっかけの場」であったらいいな。
※ ボクの高校時代を振り返ると,当時のボクは「指定校推薦なんて邪道だ!一般入試で頑張る事こそ意味がある!」という謎の信念を持ち,指定校推薦の枠などまったく見ず,部活が終わったら予備校に通う生活がスタート。一般入試にこだわりました。3年生の秋以降は「受験科目以外の学校の勉強は捨てる(ひたすら受験科目の勉強を内職する)」という方針に走り,2年生の時に5だった化学や生物の成績が急に2に急降下(汗)。若干の罪悪感は今でもあるけれど,そういう意味も含めて,悪くない経験だったと思っています。授業で受験科目を必死に内職する子がいても,その気持ちがとてもわかるのですから・・・。ボクが高校時代に戻ってまた大学受験をするとしたら,どっちを選ぶかな?