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ボクが好きな「ものづくり」① ~わたあめ~

●わたあめを実施した感想文

★先生,わたあめ作りさせてくれてありがとーございます。高校の授業で1番たのしかった☆(文化祭よりも)。今度はまた違うものがしたいな(笑)。(高1・渡辺涼)
★電動消しゴム機を使うなんてとても良アイデアすぎて面白かったです。身の回りのあるものでも,工夫して使えば意外と役に立つんですね。わたあめの次はポップコーンですよね?とてもたのしい授業でした。もっと実験とかしてみたいです。(高1・三上文音)

 ものづくりは、普段の雰囲気をガラっと変えてくれる瞬間…という気がします。そんなものづくりの中でも,ボクの授業の引き出しとして一発目に思いつくのは「わたあめ器&わたあめづくり」です。まずは,下記写真をご覧くださいませっ!(写真はすべて生徒・保護者に事前許可済)

高校1年生
出来上がったわたあめ

 高校生とのわたあめ器&わたあめづくりはこんなカンジです。家にわたあめ器がある家庭などはレアで,学校教育でもなかなか作りませんから,それだけ「非日常」だということ。そして理科や技術の授業であれば,「三態変化の応用として…」とか「モーターを使ったものづくりを考える」など,理由はいくらでも設定できそうです(笑)。

 こうして,「わたあめ作りはあっという間に生徒と一緒に笑顔になれるなぁ…,いいなぁ」と思いながら,「ものづくりのたのしそうなイメージ」を最初に持ったきっかけの文を思い出しました。それは,小原茂巳さん(東京・明星大学)が,中学校時代,女子中学生10人に反乱された際に,たのしみごととして<ものづくり>を行い,その経験を踏まえて<ものづくりを通したたのしさの共有>について話していた講演記録です。

何となく,<ものづくり>って,作るのも,作らせるのも,材料をそろえるのもメンドクサイけど,作ってるとき何か「キャッキャ!」とやれるじゃない。だから「キャッキャとやれる。みんなですばやくたのしさを共有できる」というのがスバラシイ(笑)。「あっという間にできあがる」ってのがいいね。『たのしい授業』で紹介されてる<ものづくり>は全員が簡単にすぐできるものばかりだもの。ありがたいよね。
 それに,「あれはどうも俺が手伝えるな。子どもたちに手助けできるな」って思ったの。だって,まずはやり方を俺が教えんといけないでしょう。作り方を教えて,あと一気に一時間でできちゃうでしょ。それでみんな,「ハッピー,ハッピー,ア,ハッピー」(笑)となるでしょう。この「やり方を教えて,手伝える」っていうのが,何かよさそうな気がしたんだな。だって,「プラバンに絵を描いて~」っていうと,だいたい描くじゃない。そして次に,「先生,これ,トースターに入れて~」って言ってくるじゃない。「手伝える」っていうのは,何かコミュニケーションが持てるからさ。「楽しいことでコミュニケーションが持てる。これは仲直りのいいチャンス」っていうのが僕の仮説だったのです。

(『中学教師おもしろい』(小原茂巳・他 共著・ほのぼの出版))

 そうっ,わたあめ作りを通じて,普段「うるさいなぁ」と思っているクラスの生徒たちがたのしんでくれて,ボクも手伝える。普段話さない子ともコミュニケーションの機会がある。準備は確かにメンドクサイけれど,ものづくり特有の良さって,たくさんあるなぁ…と感じるのでした。
 今回主に紹介している1年1組は,普段の教科書授業の時は本当にウルサイ(泣)。授業に行く前は,「あのにぎやかなクラスかぁ…,大変だなぁ…」とつい思ってしまいます。ボクの授業がツマラない・教科書がツマラナイ,など理由は様々あると思うけれど,その姿にどうしてもイライラしてしまいます。「他のクラスはもっと素直に・静かに授業受けているぞ!」と。
けれども,わたあめをやっている時の1組の子達の表情は笑顔そのもの。急にボクの方が,「このクラス,教えているクラスの中で一番イイじゃ~ん」と思えてきます。わたあめが出来た瞬間も,「先生,携帯で写真撮りた~い。今だけ携帯使っちゃダメなの~!?使わせてよ~」と言ってきたりして,ついOKしちゃいます。(本来,授業中携帯が鳴ったり操作していると,放課後残って600字の反省文。続くと1週間居残り掃除。そんな学校です)。

…と,話が長くなってしまいました。肝心のわたあめ器づくりを下記に紹介します。ボク自身でいえば,わたあめ器づくり(50分)+わたあめ実践(50分)で計2コマ欲しいところです。でも,2コマも授業時数として確保できないようであれば,わたあめ器は教師側で準備して,わたあめづくりだけ楽しんでもらう…という方法もありそうです。

 なお、本内容は雑誌『たのしい授業』no.449 に掲載された志田竜彦さんの記事「古殿式「わたあめ器」の作り方」を本人及び出版社の許可をもとに掲載させていただいております。やってみて「よかった!」というリアクションがあればぜひご連絡ください。著者や出版社にフィードバックしたいと思います。

●わたあめ器の作り方

1. 材料(すべてホームセンターか百均で購入可)
(1) φ65mm茶こし(ステンレス製) 
(2) 0.2mm厚のアルミニウム板
(3) φ3mmのステンレス製ボルト(ナット、ワッシャー付) 
(4) アルミ網戸 網押えゴム 太さ4.5mm

2. 加工に使う道具
(1)アイスピックか千枚通し (2)ラジオペンチ (3)+ドライバー (4)工作用ハサミ (5)鉛筆 (6)清潔な軍手一枚

3.作業の手順
① 茶こしの底部の中央に千枚通しで穴を開けます。この穴をボルトが通る大きさに無理やり広げ、茶こしの内側から外側へ、ワッシャーをつけたボルトを穴に通します。ボルトは、茶こしの外側からワッシャーをつけたナットでとめます。ボルトの先に網戸押えゴムを無理やし0.5~1cmぐらいねじこみます。

② アルミ板の上に茶こしを伏せておき、その縁に沿って鉛筆で円を描きます。その縁に沿って鉛筆で円を描きます。その円の外側に、半径が5mmぐらい大きな円を描きます。
③ 外側の円に沿って、ハサミでアルミ板を切断します。
④ ③で切り抜いた円形のアルミ板の外周から内側の円まで切り込みを入れます。間隔は、10~20mmぐらい。

⑤ 茶こしの底部(ボルト取り付け①から15~20mmぐらい外側)にザラメを入れるための穴を開けます。千枚通しで穴を開け、その穴を無理やり押し広げ、その穴からハサミを入れて網目を切り取ります。穴の大きさは使用するスプーンなどの大きさに合わせます。

⑥ 茶こしの開口部に④で切りこみを入れたアルミ板を取り付けます。まず4箇所は軍手を装着した手で折り曲げて止め、位置を固定してからすべての切りこみを曲げます。最後にペンチを使って、切りこみをしっかりと折り曲げ、とめます。

⑦ ボルトにつっこんだ網戸押えゴム部分に,電動消しゴム機のてっぺん部分を接続して終了!

●わたあめのやり方

出典:雑誌『たのしい授業』no.449 ~「古殿式「わたあめ器」の作り方~

1.準備するもの
(1)モーター(2)古殿式<シダ型>ワタアメ器(3)手ピカジェルと火器(マッチ、ライターなど)(4)ワタアメ受け皿用の大きな植木鉢かボウル(5)燃えにくくて熱に強い敷物(6)ザラメ、割りばし、紙コップ(7)アルミカップ大・小(8)水の入った消火用バケツとぬれ雑巾(9)ホールトマトの空き缶(わたあめ器とモーターをちょいとおいておくのに使う)

2.作り方
(1)初めてのワタアメ作りの時は、予めモーター軸を綿棒やティッシュペーパーなどで機械油をよく拭いておく。
(2)ワタアメ受け皿(植木鉢やボウル)に燃えにくくて熱に強い敷物を敷き、中央にアルミカップ大の中に手ピカジェルを2押し分を入れたアルミカップ小を置く。かたわらには、水バケツとぬれ雑巾をお忘れなく。
(3)紙コップにザラメを入れ、紙コップ上端をつぶして、ザラメをわたあめ器(茶こし)半分ぐらいまで入れる。
(4)チャッカマンなどで、ジェルに着火する。
(5)モーター軸をわたあめ器ジョイントの中にしっかりと差し込む。
(6)植木鉢の内部でわたあめ器を回転させながらわたあめ器を近火であぶり、「底」のザラメを融かす。
(7)わたあめ器を火にかけながら、モーターの電源を入れる。モーターは、スタンドなどで固定するよりも人が軽くもった方が回転振動のぶれを吸収して、きれいに回転する。
(8)回転がはじまると、間もなく白い繊維状の佐藤が<シダ型>から飛び出してくるので、割った割りばしの太い方でワタアメを絡め取る。

※ なぜ「手ピカジェルか?」というギモンが思い浮かぶと思います。提案者の志田さんは最初アルコールランプで行っていたそうですが,ずっと燃え続けるアルコールランプよりも,手ピカジェルのプッシュ量で燃焼時間と火力を調整する方が安全だということを発見したそうです。オトナ相手だとアルコールランプでもよいかと思いますが,校種によっては手ピカジェルが断然おすすめです!

※ 出版社・著者の全面協力のもと、本記事の掲載許可をいただきました。ありがとうございます!

(追記)それでも,どうしても「わたあめ器作るのがメンドクサイ」という方もいるかと思います。生徒に作ってもらえればいいとも思うのですが,授業時数の関係や校種によってはそれも難しい職場環境の方もいることでしょう。だからといって,「先生が生徒のためにわたあめ器を10個作っておく」なんて,慣れていても数時間かかります。そんな方に「わたあめ器の販売」も行っています。値段は要相談。材料費+人件費で,ワタシが1台ずつ作ります。注文したい方は下記フォームよりご連絡ください。




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