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プロダクト開発の意思決定に迷ったら、ChatGPTにゆだねてみよう

「新機能を開発するときに、どっちの案を採用する?」プロダクトマネージャーにありがちな状況をAIにサポートしてもらうお話です。

はじめに

こんにちは、プロダクトマネージャー(PM)のTannyです。最近のマイブームは、プロダクトマネジメントの業務をAIに奪ってもらう方法を探求することです。

……と言いつつ、以前に書いた記事で、「プロダクト開発における意思決定は、今後もPMの仕事として残るだろう」ということを書きました。

しかし、AIに与える情報を工夫すれば、AIにも意思決定が可能ではないか?と思うようになりました。この記事では、AIにプロダクト開発の意思決定をゆだねる方法を考えてみたいと思います。

プロダクト開発の意思決定

PMが担当する業務領域は多岐にわたります。その中でも、PMに常に求められているのは「意思決定」であると感じています。今回は、プロダクト開発における以下のような意思決定について考えてみます。

  • エンジニア:この機能の実装にはA案とB案が考えられますが、どちらにしましょうか?🤔

  • PM:それぞれメリデメがありますよね...う〜ん。ちょっと持ち帰って検討させてください😅

こんな時は、事前に収集した情報や、これまでの経験などを加味して、最適な案を意思決定することがPMには求められます。しかし、経験の浅いPMであったり経験したことのないプロダクトである場合、背景知識が薄く、意思決定に時間がかかり、不安も残りますよね。

そこで、膨大な背景知識を持っているAIに意思決定を依頼することで、PMの意思決定の質と効率を向上させることができるのではないか?と考えました。


プロンプトを考える

今回は、プロダクト開発のフェーズにおいて、プロダクトの実装案が複数存在する場合を考えてみます。事前情報をAIに与え、それにAIの背景知識を加えることで、最適な意思決定をAIにしてもらうことを目指します。

プロンプトの方針

色々と試行錯誤してみた結果、以下のような要素をAIへ依頼することにしました。AIはChatGPT3.5を利用します。

AIへのインプットの概要

  • 入力

    • 「プロダクトの概要」「機能の仕様」「機能の目的」「実装案」など

  • 出力

    • 採用したい案

    • それぞれの案のメリット・デメリット

    • 意思決定のプロセス

    • より良い意思決定のための追加情報の要望

    • 追加の案の提案

このようにして、意思決定においてPMが行なっている思考プロセスをAIに代替してもらいます。また、意思決定のための情報が不足している場合、追加情報を提案してもらいます。

プロンプトの例

今回はプロダクト開発の意思決定の例として、「Twitterの閲覧回数の表示」の件について考えてみます。昨年末に実装された機能ですが、ユーザーからは賛否両論がありました。(このため、ChatGPTの学習には含まれていないはずです)

自分がこの機能の意思決定を任されたと仮定して、AIに意思決定を委ねてみることにします。この機能の開発背景を想像して、以下のようなプロンプトを与えてみました。

あなたはプロのプロダクトマネージャーです。以下の条件において、どの案で実装するかを意思決定してください。

# 入力
プロダクト:140文字以内のつぶやきを投稿するSNS
開発する機能:つぶやきの閲覧回数を表示する
目的:投稿の宣伝効果の大きさを広告主に伝えるため
方針1:閲覧回数を表示しない
方針2:閲覧回数を投稿者だけに表示する
方針3:閲覧回数を投稿者と閲覧者に表示する

# 出力の条件
・最初に、採用した案を回答してください。
・次に、それぞれの案のメリット・デメリットを表形式で出力してください。デメリットがメリットの裏返しにならないように記載してください。
・次に、意思決定のプロセスをStep-by-stepで説明してください。
・最後に、より質の高い意思決定を行うために、追加で入力するべき情報や、追加の案があれば、箇条書きで出力してください。

AIの回答

先ほどのプロンプトを入力すると、以下のような回答が返ってきました。この前提の場合、「案2:閲覧回数を投稿者だけに表示する」が最適であると判断されました。以前のTwitterの仕様ですね。

 ChatGPTの回答(途中まで)

メリット・デメリットの回答としては、ある程度納得できる内容になっています。また、意思決定のプロセスも回答してもらったことで、回答結果の妥当性も判断しやすいです。

このくらいの回答なら、ある程度経験のあるPMであれば、簡単に導き出せるかもしれません。しかし、自分の専門外の機能であったり、ジュニアPMで意思決定の経験が少ない場合は、AIの回答は良い助けになりそうです。

追加の情報

さらに、より良い意思決定をするための追加情報も提示してくれています。

これらの質問に対して、Twitterが広告収入に大きく依存していることなどの情報をAIに与えました。これを踏まえて、もう一度AIに意思決定を依頼してみます。

 ChatGPTの回答(前回の続き)

すると、今度は「案3:閲覧回数を投稿者と閲覧者に表示する」が最適であると判断されました。これは現在のTwitterの実装と同じですね。デメリットを考慮しても、採用する価値があると判断されました。

ChatGPTの追加回答(途中まで)

今回の例は少し恣意的だったかもしれません。ですが、AIの意思決定ロジックは納得感のあるものでした。このことから、適切な事前情報を与えることで、AIに意志決定を依頼することができると言えそうです。また、意思決定に必要な情報が足りない場合は、AIにそれを教えてもらうことができます。

まとめ

今回は、PMが十分な前提条件をAIに与えることで、AIがロジカルな意思決定を行えることを示しました。プロダクト開発の意思決定の場面において、AIをうまく活用することで、PMが正確かつ迅速な意思決定を実行できるようになりそうです。

PMが1人で意思決定を行おうとすると、考え方が凝り固まってしまい、意思決定の結果も偏ってしまうことがあります。その点、AIは(プロンプトの与え方にもよりますが)フラットな視点で意思決定を行うことができるため、PMの思考を補助するのに適していると考えます。また、説明の内容もロジカルなため、PMが意思決定の結果をチームメンバーに説明する際の助けにもなりそうです。

簡単なプロンプトを与えるだけで、瞬時に回答を返してくれるのもAIの強みです。皆さんも意思決定に迷った時は、とりあえずAIにゆだねてみてはいかがでしょうか?


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