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『万葉集』を読む (才女)

万葉集では抜きん出て有名な額田王(ぬかだのおおきみ)は中大兄皇子(天智天皇)とその弟である大海人皇子(天武天皇)との三角関係であったという。

しかしその確証は、わずか2首の短歌でしかなく、現代では「酒の席での余興の歌」ということに定着しそうで、三角関係説は影が薄くなりそうだ。しかし額田王が両方に嫁いだのは事実。

額田王が「才女」であったことは万葉集の多くの歌を読めばすぐにわかる。

ある日、天智天皇が藤原鎌足に「春と秋はどちらが良いか、歌で競わせよ」という宴があった時に、額田王は次のような長歌を作った。これがなんとも日本的で素敵だ・・

原文は・・
冬木成 春去來者 不喧有之 鳥毛来鳴奴 不開有之 花毛佐家礼抒 山乎茂 入而毛不取 草深 執手母不見 秋山乃 木葉乎見而者 黄葉乎婆 取而曾思努布 青乎者 置而曾歎久 曾許之恨之 秋山吾者

冬ごもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取り手も見ず 秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてぞ偲ふ 青きをば 置きてぞ歎く そこし恨めし 秋山吾は

簡単に訳すと・・
冬が終わり春になると、鳥もやってきて鳴き、花も咲くようになるけど、草が茂ってきて山に分け入ることとはできなくなります。しかし、秋は紅葉を手に色々としのぶことができます。青いままの葉だったらがっかりもします。だから(手に取って見ることのできる)秋の方が、私は良いと思います。

「秋山吾者」あきやまわれは

と断言できるところも額田王の才女たる証拠ですね。



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文字を媒体にしたものはnoteに集中させるため



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