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『万葉集』を読む (海辺)

万葉集は、実は柿本人麻呂の独壇場なのではないかとさえ、思えるのです。

そもそも万葉集は巻物でした。しかも唯一、世の中にただ1冊しか存在しなかったと言われています。残念ながら、その唯一1冊の万葉集は、現在は存在していません。現存するものは全て写本です。

その経緯は、少し落ち着いた時間を過ごせるようになった持統天皇が柿本人麻呂に命じて集めたのが始まりではないかと、言われています。

現在でも「歌会始」のように歌を朗々と歌い上げる儀式が伝わっていますが、この万葉集も「読み手」が声を出して読むものだったのです。

柿本人麻呂はそのことを念頭にして、読んですぐにイメージできる歌をたくさん作りました。それは枕詞の多用と、同じような言葉の繰り返しです。それにもちろんリズム。

しかも、海とか乙女とか……明るく華やかなものが好まれたのです。


持統天皇が伊勢に行幸された時に、都にいた柿本人麻呂が作った万葉集の40番の歌は、イメージ、リズム、それに海、乙女がすべて入っています。音読すると、この歌の明るさがよくわかります。

嗚呼見乃浦尓 船乗為良武 嫺嬬等之 珠裳乃須十二 四寳三都良武香

あみのうらに ふなのりすらむ をとめらが たまものすそに しほみつらむか

(私の解釈)
嗚呼見の浦で、船に乗ろうとしている乙女たちの……スカートの裾にも、波しぶきがかかっていることだろう……

なんとも色っぽい、明るい、乙女たちのはしゃぐ声さえ聞こえてくるようです。




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文字を媒体にしたものはnoteに集中させるため
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