『万葉集』を読む (月夜)
万葉集には有名ではない歌も多いが、ゆっくり読んでみると、その詩的感覚はとても素敵だ。
(289番)
天原 振離見者 白真弓 張而懸有 夜路者将吉
天の原 振り放け見れば 白真弓 張りて懸けたり 夜道はよけむ
(私の解釈)
夜、どうしてもこの山道を越えなければならない。ふと、見上げると初月(三日月)が、白い弓を引いた形で見える。まるで心細く夜道を通るこの私を、月の弓で守ってくれているようだ。きっと無事にたどり着けるだろう……
どうだろう……このような思いの奥には「私は誠実に生きてきた、どうぞ、お守りください」という感情があるのではないだろうか。人は、こうして、自分の人生を「明るい方向に」導いているのですね。
(291番)
真木葉乃 之奈布勢能山 之努波受而 吾超去者 木葉知家武
真木の葉の しなふせの山 偲はずて 我が越え行けば 木の葉知りけむ
(私の解釈)
初夏、青葉が生い茂る、妻の山という意味の「背の山」を急いで越えている……ゆっくりと貴女をしのぶ時間もない……しかし、このたくさんの木の葉はきっと、私が貴女を思いながら歩いていることを、わかってくれているだろう……
急ぎ足で歩きながらも、思うのは妻のこと……そうですね。
そうであるべきですが……現代は?
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