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140文字のほっこり。 (1)

140文字で「ほっこりする」物語を書いています。
まとめてみましたのでぜひご覧ください。

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2020/03/26 04:47
老舗の釜揚げうどん屋さん、入り口が低くてときどきお客さんがコツンと頭を打つ。お役さんは頭をなでながら笑顔。このうどん屋さんの特徴は、とにかくうどんが長いこと。だからお客さんは自然に立ち上がってしまう。この時もまたコツンと頭を打つ。みんなが笑い、店主は無言でうどんを打つ。



2020/03/25 05:23
自転車のスタンドを取り外した。これからこの自転車は自分では立てないのだ。15年前にはマウンティングバイクのレースに出たくらいの名車。錆びついている、傷ついているが、15年間そばにいてくれた。最後に彼の誇りを取り戻すためにスタンドを取り外したのだ。いつも僕がそばにいるからね。



2020/03/24 19:10
トンボ取りの仕事は桜の開花と同時に始まる。まずはトンボ取りの網作り。毎年新しい網を作る。「開花したばかりの桜の花の香りをつける」のが秘訣。トンボがうっとりするからと言う。高級な網にはダイアモンドがちりばめられていて100万円もする。トンボがダイアに目がくらむのは、人間と同じ。


2020/03/24 04:57
飲み屋街の真ん中で熱帯魚を売っている人がいて「どうしてこんなところで熱帯魚を売っているのですか」と尋ねると「熱帯魚に酔っ払いを見せないといけない」と言う。人間は酔っ払って帰ってきて水槽をトントンと叩いて熱帯魚をいじめから、それに慣れされないといけないのだそうだ。なんとなく悲しい。


2020/03/23 05:16
岸辺に水鳥がずっと立っている。この水鳥はいたって怠け者。足元で魚が泳ごうがまったく気にしない。この水鳥の興味はただ一つ。人間……こっちを見ていないようで見ている。横目で見ている……まったくもう……と思っている。そのことに気づかない人間は、この水鳥に意味を持たせる。哲学的な意味を。



2020/03/22 18:25
ある専門家がダイコンとゴボウの祖先は、同じ海底生物であると発表した。6000m以下の深海に棲むゴボウに似た生物からダイコンの遺伝子が発見されたからだ。つまりダイコンはこの祖先から次第に進化し、白いフワフワした生物になった。ゴボウはシュンとした黒い生物になり、その後、陸に上がった。



2020/03/22 04:45
小さな漁村の村おこし。「鯨が通り抜ける網」のアイディアがボツになった。これは一つの網の目がものすごく大きな網。あまりに大
きすぎて鯨さえ通り抜ける。網か、網じゃないかで議論になったが、網である!と主張したのは言い出した青年だけ。彼のアイディアはボツになった。鯨が遠くで、笑ってる。



2020/03/21 05:25
河川敷の公園。川に下りる道を行くと鴨の家族がいた。「わー大魔神がやってきたぞ!」父鴨は子ども叫ぶが、子どもたちも足がすくんでいる。大きな目にちっとも笑わない顔。ずんすんと来る。母鴨は子どもたちに水に潜るように誘うが、子どもたちは怖がっているばかり。大魔神よ、こんな時くらい、笑え!



2020/03/20 04:49
ドライブの間ずっとRadiotalkを聞いていて、とても心を揺さぶられた。音の持つ不思議な力だ。音が映像を浮かび上がらせる。文章を映像に繋げるためには、どうすればいい?

午前4時、新聞配達のバイクの音がする。
若い配達員だろう。
朝早い青年に春はまだまだ来ないが、きっと来る。



2020/03/19 05:20
「スキ」の数を追求するよりも、自分の好きなことを書き連ねる方が、「書き続ける」には効果的だと、感じている。普通に考えればスキは多い方がいいだろうけど、スキの数が自分を消してしまっては逆効果。人の評価より、自分らしい立ち位置の方がよほど大事だろう。自分を極めること。






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